2011-11-17
■ペニシリンは今でも効果的
皮膚の細菌感染症、要するにばい菌がついたとき、最も重宝するのは今でもペニシリンです。もちろん、飲み薬や点滴治療の場合です。これは、ペニシリンが持つ高い抗菌作用が好まれることや、副作用が少なく安全であることも大きな理由です。
専門的に言えば、皮膚の感染症はグラム陽性球菌が圧倒的に多いです。黄色ブドウ球菌などのばい菌のことです。黄色ブドウ球菌は名前の通り、黄色っぽい分泌物を作ります。ガーゼなどの色を見れば大概見当がつくほどで、とびひなど、子供さんにも縁の深いばい菌でしょう。
ペニシリンが登場したのは、ちょうど第二次世界大戦の頃ですが、細菌培養中のフレミングが、誤って付着させてしまった青カビの周囲に最近が見られなかったことに着目したのがきっかけです。このお話は有名なので、ご存じの方も多いでしょう。その青カビ、学名ペニシリウムにちなみ、ペニシリンと命名されたわけです。フレミングはこの功績でノーベル賞を受賞しています。
発見から80年を超えた今でも、ペニシリンは抗菌剤の代表といえます。ペニシリン失活のために細菌が分泌する物質により、効果が落ち込んだこともありました。しかし近年、この物質の作用を押さえる化学物質と一緒に使うことで、再び効果的な治療ができています。量を今まで考えられていた以上に増やすことで効果を取り戻す研究もされています。
ペニシリンが安全性なのは、その作用が人間にはない細胞壁を壊すためで、従って人の細胞にほとんど影響を与えないためです。腎臓が悪いなどの悪条件さえなければ、相当大量に使ってもそれほど副作用はありません。かつて言われたペニシリンショックも、今ではペニシリンそのものではなく不純物が原因だったと考えられています。実際、ペニシリンの点滴で薬疹などの副作用を起こす患者さんはほとんどいないのです。
もちろん、長く使われているため、ペニシリンが効きにくい細菌も増えています。それでも、大量に使って効果が出るのなら、これからも十分使用に耐えるだろうと思います。新しい画期的な抗菌剤が生まれにくくなっている今日、ペニシリンはこれからもエースであり続けるでしょう。
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