Hatena::ブログ(Diary)

Classic 8-bit/16-bit Topics

Classic 8-bit/16-bit Topicsでは、海外での出来事を中心に、旧世代のコンピュータ/ゲーム機に関する雑多な話題を書き散らしています。ただしゲームミュージックやチップチューンなどに関してはVORCで専門に扱っていますので、ご興味がおありのかたはそちらもどうぞ。

2014/05/29 長年放置しておりまして、申し訳ございません。ここやVORCで書いていたような研究は現在、主に各種『ゲームサイド』誌に書き綴っております。よろしければご覧くださいませ。またそのほか最近の動向に関してはtwitter:@hallyvorcにてお知らせしております。いずれ更新を再開したいとは思っております。



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04.29.2004

[][] Tulip Computers, C64 Direct-to-TV の発売を予定

いやはや、プラグ・アンド・プレイ復刻の潮流はどこまで拡大していくのでしょうか。今度は、昨年7月にコモドールの商標を買い取ったオランダのチューリップ社が名乗りを上げました。正式なライセンスを持つメーカの参入としては、JAKKS Pacific, INTV Corp., Radica Gamesに続いて、四番手ということになりますね。

チューリップがアナウンスしたのは、コモドール64のゲーム30本を収録した「C64 ダイレクト・トゥ・TV」。今年下半期に30ユーロで発売するとのことです。米国向け (NTSC仕様) も予定されているので、日本のテレビにも接続できそうです。肝心のラインナップについては、いまのところエピックス (アタリ・LYNXの設計に深く関わったことで有名。現在はアタリが権利の大半を保有) のClassic Gamesシリーズ、つまりSummer Games, Winter Games, World Games, そしてLYNXファンには堪らないCalifornia Gamesの四本が挙げられているのみで、それ以外は不明です。形状は見たところJakks Pacificの「Activision 10 in 1 TV Games」によく似たものになるようです。しかしコモドール64の名作にはキーボード操作を要求するものが少なくないので、収録タイトルは必ずしも人気作ばかりとは限らないかもしれません。

それにしても例によって、内部のメカニズムが気になるところです。コモドール64をワンチップ化する具体的な試みは聞いたことがないし (というか、サウンド部にアナログ回路を抱えている関係上、FPGA/PLDテクノロジによる完全ワンチップ化は事実上不可能といわれています)、チューリップにその方面の技術的蓄積があるとも思えないので、おそらくJAKKSやINTVがやっていたように、手作業による移植に走るのではないかと見られます。となると、移植精度に問題が出てくる可能性も高いでしょう。じっさい、Slashdotにはすでにその種の不安が渦巻いています。まあコモドール64の場合は、アタリやナムコと違って正式な復刻そのものが珍しいわけですから、こういう製品が出るだけでもまずは十分歓迎に価すると思いますけどね。

from Lee's Peek`n' Poke

[] MSX互換マザーボード「eMSX2++」開発プロジェクト始動

MSX用のさまざまな同人ハードウェアを開発・販売しているスペインのLeonardo Padial Electronics (LPE) が、MicroATXケースに収納可能なMSX2+互換基板開発をスタートしました。これまで試行錯誤を重ねていたEMSXをコンパクト化しつつ、さらに一歩前進させたもので、MSX Resource Centerの記事によると、以下のような仕様を予定しているそうです。

  • 3.5MHzから50MHzまでで動作可能なZ80プロセサ
  • V9958 VDP
  • 512kB RAM, 128kB VRAM, 512kB FLASHメモリ
  • RTC (リアルタイムクロック)
  • PS/2キーボード接続可能
  • Joystickポート
  • 双方向EPPプリンタポート
  • カートリッジスロット

100%互換を謳ってはいるものの、いまのところPSGはあえて搭載しない方針のようです。LPEは一方でPSG/SCC/FM (OPLL) 搭載のMSX用新音源カードを販売してもいる (現在は休止中っぽいですが) ので、サウンドはこれに任せて、メイン基板はとにかく低コストに抑えようということなのでしょう。サウンドをあえて完全互換にしないところも含めて、この設計思想はロシアのZXスペクトラム互換機・Sprinterにかなり近いものといえます。これは私の知る限り、まがりなりにも商業ベースに乗っている唯一の現行8-bit互換パソコンです。それだけにeMSX2++は、CIEL 3++MSX Phoenix Projectのような、一向に進展する様子のない他のMSX互換機プロジェクトよりは、よほど有望といえるのではないでしょうか。もちろんMSXである以上、実機と100%同じBIOSを使うことができないというネックが、どこまでも付き纏います。そこがスペクトラムとは決定的に違うので、今のままでは思うようには普及させられないでしょうけどね。

Iggy DIggy D 2004/04/30 03:28 コモドール1のFPGA技術を利用しようと思っているのでしょうか。まさかのことですが...実のC64復刻を作らない場合、どんな仕様に移植しようと思っているのかしら.又ワンチップ化ファミコンになれるんですかね。両プラットフォームが大きく違っているので昔のゲーマー達がどんあ様にこの「偽物」を歓迎するかは不安ですね。まあ、30ユーロの値段で価値もあまり無いと思います。そんなお金で欧州全土で本物が簡単に手に入りますから...

hallyhally 2004/04/30 04:55 そうですねえ、C=1そのものがまだ発売されていない現状では、やはり考えにくいですね。私も結局ワンチップファミコンに落ち着くのではないかと見ていますが、形状が形状なので、あるいは実はJakks PacificがOEM供給…なんて線もあるかもしれません。30ユーロはさすがに高すぎると思いますが、現実問題としてライトユーザーには本体よりもソフトの入手が大変でしょうから、しっかり移植できてさえいれば、そこそこ需要はあるのではないでしょうか? もちろんゲームのラインナップが充実しているという条件付きでですけどね。

BKCBKC 2004/04/30 23:19 おそらくその話からいくと、ファミコンの音もアナログ出力ですからFPGAによる1チップ化は不可能ですが、FM音源エミュレーションと同じく別の方法で実現できるのではないかなと思います。ただ、あまり詳しくはありませんが、SIDの場合はフィードバックするようなので、それはエミュレートになると思いますが…。

hallyhally 2004/05/01 01:32 SIDの問題はまさに、フィルタ回路がアナログだということなのです。別の方法で実現しようにも、挙動がまだ完全に解明されていないわけです。

BKCBKC 2004/05/01 08:40 それだと互換機を作る以前の問題なのではないかと思います。SIDのエミュレータが発する音は完全ではないとなれば解析を進める必要があるんでしょうね。しかしフィルタ回路がチップの中に搭載されているのであれば難しいのでしょうけど。話を戻すと、FPGAを使うことだけがワンチップ化だけではないんですよね。先のワンチップファミコンもFPGAではないですし。FPGA化よりもASIC化の技術があればよいと思われます。

hallyhally 2004/05/01 12:22 フィルタ部が適当でも現実的には致命傷にならないということで、まあ互換機の作成自体は (ライト層が許容するレベルでは) 問題なくできると思います。ご指摘のように、エミュレーションやFPGAではいつまでたっても埒があかないというだけで、最近はアナログフィルタ部再現の手段としてFPAAに注目が集まっています。ただこれは本当にごく最近の話なので、まだ具体的な成果は上がっていません。

PANGPANG 2004/05/02 18:20 無知なものでして。よろしければ64のサウンド部のアナログ回路について、簡単にご解説いただけないでしょうか。

OKOK 2004/05/03 23:38 SIDのフィルタは2048段階しかないらしいので、2048段階分のインパルス応答を調べればそれで終わりな気がするんですけど。,それ以上の正確さが要求されているのでしょうか…聴いて差がわかるのかなぁほんとに(^^;

OKOK 2004/05/03 23:42 あ、ちなみにSIDチップは僕も良く知らなかったので、ここ→tp://stud1.tuwien.ac.at/~e9426444/sidtech.html を見ました.フィルタはチップ内に埋め込まれてるみたいですね.

hallyhally 2004/05/06 15:50 PANGさん: C=64のサウンド回路は、すべてSID (MOS 6581/MOS 8580) という三声同時発音可能なチップに集約されています。サウンドの基本となる三要素 (音色, 音量, 音程) はデジタル回路が生み出すので、ここまではいわゆるPSGに近い構造といえるでしょう。PSGならあとは発音するだけで終わりなのですが、SIDの場合はそのあとさらにフィルタを通すことで、音をこもらせたり、低音を弱めたり、特定の音程だけを強調したりできます。そしてこれは、アナログシンセサイザと同様の仕掛けで行われているわけです。

hallyhally 2004/05/06 17:40 OKさん: ハイパス/ローパスフィルタは2048段階ですが、さらに16段階のレゾナンスも同時に使用可能なので、あわせれば32768種類…で合っているのかな。とにかくより多彩な音がフィルタから出ることになると思います。曲者なのはこのレゾナンスのほうで、信号レベルの強弱で劇的に反応が変化するのです (詳細はこちらを参照してください: http://groups.google.com/groups?selm=ud8zfojk9i.fsf%40sid.nimrod.no&oe=Shift_JIS&output=gplain)。これでは、下手をすると50万通り以上のサンプルが必要になるのではないでしょうか。それから、もうひとつ問題を厄介にしているのが、SIDのアナログ部が非常に安っぽい構造になっていることです。リヴィジョンごとにフィルタのかかり具合が異なるのはもちろんのこと、厳密には同一リヴィジョンでも完全に同じ音にはなっていないそうです。いちばんまともなSIDエミュレーションを行っているlibsidplay2がどのリヴィジョンを参考にしているのかは分かりませんが、このことが改善点を見えにくくしているのは確かでしょう。

OKOK 2004/05/06 18:20 ぐわ。斜め読みですんません。レゾナンス見てなかったです(^^; ニュース記事も読みましたが、SIDがエミュレーションがここまで奥深いとは知りませんでした!

04.27.2004

[] ロンドン 8-bit/16-bit リポート (1)

イギリスのヴィデオゲーム市場は1990年代後半から目覚ましい勢いで拡大を遂げ、現在ではアメリカ、日本に次ぐ世界第三位のヴィデオゲーム消費大国となっています。そしてここでもやはり、レトロリバイバルは商業的に無視できない要素になろうとしているのですが、具体的にどこで何が起きているのか、メディアはなかなか伝えてくれません。8-bit時代、日本はもちろんアメリカとも異なる独特のヴィデオゲーム/ホームコンピュータ文化を築いていたイギリス。その遺産がいかなる形で生き残っているのか、足で見て回ってきました。私の目にした情景を、二回に分けてお伝えします。

[] レトロショップ事情

ゲーム好きなロンドンっ子をつかまえて「昔のゲーム機なんかを売っている店が、どこかにないだろうか?」と尋ねてみましょう。たいてい真っ先に教えてくれるのが「コンピュータ・エクスチェンジ」 (CEX)、もっと正確にいうと、ロンドン地下鉄地図のど真ん中・トテナムコートロード駅そばにある、中古ゲーム館です。ここはロンドン市内でもっともレトロ関係に気合いを入れている店舗といえますが、ではコモドールやスペクトラムがごろごろしているのかというと、残念ながらそんなことはありません。というよりコンピュータ方面にはほとんど力をいれておらず、私が行ったときには、Acorn Electron (UK政府公認機・BBC Microの弟分) がぽつんと一台、約4000円で売られているのみでした。聞いた話では、レトロコーナーは最近元気がないそうなので、タイミングが悪かったのかもしれません。

コンピュータ方面で何か探すなら、CEXより見逃せないのが、ノッティングヒル・ゲート駅 (トテナムコート駅から地下鉄で一本) の正面にある「コンピュータ・ゲームズ・エクスチェンジ」です。この一画には「ミュージック・アンド・ビデオ・エクスチェンジ」系列の古着屋・中古レコード屋・古本屋などが建ち並び、ちょっとした中古ショップ街の趣を呈しています。「コンピュータ・ゲームズ・エクスチェンジ」もその一軒で、主力ゲーム機の中古ソフトはもちろん、アミガやPCのディスクゲームから、日本ではまずお目にかかることのないコモドール64やZXスペクトラムのテープゲームまで、幅広い品揃えを誇っています。ただし残念ながら、こちらもハードウェアはほとんど扱っていません。スペクトラムからアミガまで共通していえることですが、旧世代パソコンを店先で探すのは、簡単ではありません。街外れに点在する古道具屋や、UK各地に展開する「キャッシュ・コンヴァーターズ」チェーン (質屋兼中古屋) をしらみ潰しに当たっていけば、まあ見つからなくもないですが、ネットオークションとか雑誌の売買欄 (これが意外に活発) のほうが簡単確実です。どうしても現物を物色したい場合も、後述するフリーマーケットに足を運んだほうが効率的でしょう。

さて、両店ともに目を惹いたのは、なんといってもセガ・マスターシステム用カートリッジの充実ぶりでした。NESの中古と流通量が大差ないあたりは、さすが世界随一のマスターシステム大国。セガの面目躍如といったところでしょうか。価格も一本200円からと非常に手頃なので、好きな人にはたまらないでしょう。対照的に肩透かしを食らったのは、アタリ関係です。2600からJAGUARにいたるまで、中古ソフトはそれほど市場に出回っていない感触でした。とはいえ見つかったら見つかったで、一本500円から2000円くらい (プレミア品除く) のものだったので、それほど稀少というわけでもないのでしょう。単純に人気薄なのだと思います。CEXのほうでは、メガドライブ、ドリ−ムキャスト、ネオジオ、PCエンジンなど、日本製ゲームの中古が妙に充実しているのも興味深かったです。思ったより需要はあるようですね。

とまあ、そんな感じで、両店ともそれほど大きくはありませんが、一度訪ねておいて損のない店であることは間違いありません。

[] ストリートマーケット

イギリスでは、日曜日にはたいていの店がシャッタを下ろしています。24時間営業を売りにしているスーパーでさえも休業。しかしそのかわり、ロンドン各所で数多くのフリーマーケットが賑わいを見せるようになります。出品傾向は場所によって大きく異なるので、それぞれに違った楽しみがあるのも特徴です。私が訪れたのは、まずインド/パキスタン系住民が多いことで知られるブリック・リーン (オールドストリート駅そば) のマーケット。ここは数あるフリーマーケットのなかでも特に変なものが集まるガラクタ市 (あるいは宝の山) で、200円のマスターシステム (完動・付属品付) をはじめ、なぜか大昔のPC-9801用18禁ゲームなどにも遭遇しました。どこから流れ込んでくるのやら。

もうひとつはカムデンタウン駅そばのカムデン・マーケット。こちらは若者に人気のファッショナブルなマーケットで、盛況ぶりは祭りさながらです。ここで手に入るものは、衣類、レコード、アクセサリなどが中心なので、8-bit/16-bitリバイバルとは基本的に無関係ですが、コモドールやスペクトラムのシャツなど、いかにもなアイテムを入手するには最適な場所として、一応ご紹介しておきましょう。ちなみに私が見たときは、コモドールが2000円、スペクトラムが5000円ほどしてました。

[] E-Shirt

カムデン・マーケットのすぐ近くには、トランス族御用達のファッションブランド・Cyberdogの大規模な店舗があります。なにかのテーマパークと勘違いしそうな、過剰なまでにサイバーな施設なのですが、ここで意外にも、レトロゲームフリークの心をくすぐりそうなものを発見しました。米テキサスのHouse of Raveが開発した、Eシャツと呼ばれるものです。

こんな感じに簡単なアニメーションを点灯表示する、超薄型蛍光パネルを施したTシャツで、面白いことにパターン表示の仕組みや雰囲気が、往年のFLゲームそっくりなのです。将来的には、本当にこれでゲームができてしまうのではないでしょうか (意味があるのかどうかはさておいて)。しかしシャツの中に、単四電池4本を収納するドライブユニット/バッテリボックスも仕込まなければならないのは、少々野暮ったいかもしれません。

Cyberdogの通信販売 ("T-SHIRT" 内の "LIGHT TEES" または "LIGHT VESTS") では、また違ったデザインのものも扱っています。こちらのほうが、もっとゲーム寄りですね。というか、Cyberdogのロゴが「テンペスト」の自機に見えて仕方ありません。なおこのEシャツ/ライトウェアシリーズ、日本支店でも入手できるのかどうかは不明です。

[] レトロ関連雑誌

さて、再びトテナムコート通りへ。ここはしばしば「ロンドンの秋葉原」とも紹介されるイギリス最大の電気街なのですが、実のところそんなに大層なものではなくて、規模的にはせいぜい名古屋・大須程度。しかも軒を連ねているのは、さして割安でもないPC屋やオーディオショップが大半ときています。残念ながら、前述のCEXを除けば、実はあまり好奇心をそそるような場所はないのでした (CEXもどきが他にもあるにはありましたが…あまり存在感がなくて、忘れてしまいました)。

マニアックな店はむしろ、トテナムコート通りの南に続くチャーリングクロス通り方面に集っています。たとえば、UKきってのオタク向けフィギュア/ノヴェル/コミックショップ「フォービドン・プラネット」なども、この近辺にメガストアを構えています。

チャーリングクロス通りは、大書店や古本屋が多い場所でもあるので、旧世代機関連の書籍を漁ってみるのも一興でしょう。トテナムコートの西にも南にも大型店を構えている「ボーダーズ」などは、発行部数の少ない雑誌をチェックするのにも最適です。イギリスでは雑誌と書籍の流通が基本的に別系統化されており、通常の書店では雑誌を扱っていません。雑誌は雑貨屋かスーパー、あるいはニューススタンドで買うものと相場が決まっているので、気の利いたスポットを知っていないと、小部数の雑誌を入手するのは結構大変なわけです (「Edge」誌のレトロ増刊号が、ロンドンでもなかなか入手できないと嘆かれていたのは、多分このためでしょう)。しかし「ボーダーズ」をはじめとする、一部の巨大店舗なら、そのあたりも抜かりありません (「ボーダーズ」は無謀と思えるほど便利のいい書店で、他の意味でもいろいろ驚かされるのですが、ご興味がおありのかたはこのあたりも読んでみてください)。

さて、以前にご紹介した「レトロゲーマ」誌を、私はここでようやく入手することができました。なんでも今年一月に出た創刊号は、あっという間に完売してしまったのだそうで、季刊の予定が急遽隔月刊に変更されたとのこと。いまでは月刊化も視野に入っているという人気ぶりです。部数が少ないうえにその売れ行きでは、そりゃ見つからないわけですね。

もっとも以前に目次だけ見たときには、それほど目新しい記事もないような印象がありました。それがそんなに好評というのがどうも不思議だったのですが、ページをめくってみると、予想外に堅実な編集で、マニア向けにも初心者向けにも偏りすぎない、かなりバランスのとれた内容になっていることに驚かされました。私の購入した第二号は、オールカラー約110ページの構成で、ふんだんな史料を活かしたコモドールの歴史と、8-bit黄金期のゲーム雑誌「CRASH」に関する特集を中心に、ゲーム紹介、コレクター向け情報、エミュレータ特集などが掲載されていました。旧世代機をリメイクしたフリーゲームや、各種エミュレータを収録したCD-ROMが付録で、価格は約1200円。イギリスの物価の高さを差し引いても結構な値段ですが、その価値は十分にあるといえるでしょう。

ほかには「旧世代機風 (二次元) ゲームをWindowsで自作してみよう」という内容の記事が目を惹きました。レトロゲームは単に懐かしむものではなく、ひとつのジャンルである―――そういう認識は、2002年に創刊した「ゲームズ」誌からも覗うことができます。この総合ゲーム情報誌は、毎月誌面のおよそ1/5をレトロゲーム情報に割いていて (今後増ページの予定)、内容的には広く浅くといった感触ですが、ネオジオポケットなどほとんど注目されなかったハードを特集するような懐の深さも持ち合わせています。基本的にビジュアル重視の編集ですが、文面に浮わついたところはなく、さまざまなゲーム機/ソフトの特色や歴史的位置付けを淡々と、かつ簡潔にまとめています。日本の雑誌によく見られるような、思い入れたっぷりの主観評、あるいは現在の視点から無碍に扱き下ろすような、「クソゲー」式記述がほとんどないおかげで、誌面の中心である最新ゲーム情報の中に、読み物として違和感なく共存しています。こういうドライな空気は、日本のリバイバルには見られないものといえるでしょう。

その他の雑誌を見てみましょう。まずレトロゲーム系記事に先鞭を付けた「EDGE」誌ですが、こちらはもともと数ページの連載に過ぎなかったこともあり、上記二誌が頑張っている現状では、すでにレトロ方面の求心力を欠いているといえそうです。それから、このページでも何度か紹介しているRetro Martを連載中の、週刊「マイクロマート」。実物を購入してはじめて気付いたのですが、なんと掲載記事はすべてホームページから検索/閲覧可能なのですね。通して読んでみると、他にも「アミガマート」という連載があるかと思えば、「ワードプロセサの革新」とか「DOSの発展」なんていう興味深い特集を頻繁に載せていたり―――まさに隠れレトロPC誌ですよ、これは。

PANGPANG 2004/05/02 18:21 イギリスレポートお疲れ様です。楽しく拝見しました。ゲームが出来るEシャツですか。爆笑ですねえ。(^^ 明和電機&クワクボ氏辺りの次回作候補筆頭かも。また、ゲームズ誌の解説もフムフムとうなずきながら拝見しました。日本的クソゲー的記述は、結局知識のない者の書く感想文だという思いが沸いてこないでもないです。結果、最新記事と断層がないというのは勉強になりました。はい。

hallyhally 2004/05/06 18:02 クワクボさんというとBITMANですね。たしかにベクトルとしては近いものを感じます。日本のゲーム雑誌は、感想文レベルの文章が多いのはもちろん問題ですが、多少知識がある人間でさえも個人的な好き嫌いに振りまわされがちなのが、見ていて辛いところです。

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04.15.2004

[] ラルフ・ベア氏謹製のブラウンボックス・レプリカ登場 (AtariAge)

世界最初の家庭用ヴィデオゲーム専用機・Odyssey。その最終試作機として知られるブラウンボックスが、開発者ラルフ・ベア氏自らの手で再製作され、今年のPhillyClassicにお目見えしました。会場では実際にプレイすることもできたそうです。うむむ、キット化して売り出してくれないかなあ、これ。

レプリカといっても、完全に同じ仕様というわけではなく、画像をヴィデオ出力するように改良も施してあります。あと外面的には、ステッカの貼り位置まで細かく再現してあるものの、フロントのオン/オフスイッチらしきものが欠けています。とはいえ、ブラウンボックスのゲームを実際にプレイできるという意義の前では、そんな些細な違いなどあってないようなものでしょう。

ブラウンボックスの隣に立っているのはレオナルド・ハーマン氏。ビデオゲーム史研究者必読の書「Phoenix: The Fall & Rise of Videogames」を著したかたです。彼のRolenta Pressは、今年後半にベア氏の著作「Videogames: In The Beginning」を出版するそうなので、こちらも要注目ですね。

(補足: ところで本家ブラウンボックスはどうしているのかというと…おそらく完動の状態でベア氏の手元に保管されているはずです。少なくとも1999年のClassic Gaming Expoで行われたベア氏の公演では、問題なくデモンストレイションをこなしたという話なので)

[] よりぬきPhillyClassic 5

今年で5回目を迎えたPhillyClassicは、米国でもっとも成功しているクラシックゲーム祭典のひとつです。Classic Gaming Expoが西海岸の代表とすれば、こちらは東海岸の代表ですね。そういうわけで、ブラウンボックス以外にも興味をそそる出展・出品が、今回も数多く見られたようです。AtariAgeのフォトギャラリから、注目株をいくつかピックアップしてみましょう。

アタリがゲーム開発に用いていたミニコンピュータ・PDP-11/53

アタリがゲーム開発に用いていたカスタムS-100ボード群と試作インターフェイス。Altair 8800から生まれたS-100バスが、米国でどのように浸透していたのかを示す興味深い事例といえますが、それにしても右手のマイクは一体?

試作型Jaguar。左に見えるのは幻のJaguar Virtual Reality System

・Atari VCS「ヤーの復讐」「E.T.」でお馴染みのハワード・スコット・ワーシャウ氏と、彼がアタリで最後に手がけた「Saboteur」(未発売)。今回のPhilly Classicより同人カートリッジとして発売。

物販の目玉・Stelladaptor。PCのUSBポートで、アタリ仕様のジョイスティックを使用できるようにする代物です。ただし日本独自の拡張2ボタン仕様は、基本的に海外では認知されていないので、残念ながら日本人にも優しい設計になっている可能性は低いと思われます (本家アタリが2個目のボタンを仕様に盛り込んだのは、実はX1やMSXなどよりあと、Atari 7800の時代になってからのこと。したがって配線は日本式と異なっています)。

プリンプリン 2004/04/16 00:21 VIDEO出力版ブラウンボックス、ひっくり返りました。氏はよっぽど、(ブッシュネル氏などに比べて)自身の置かれている知名度に不満を抱いているんだなあと推察しますね。あのお歳でハード製作とは、なんとバイタリティ値の高いことか!それで、本家ブラウンボックスですが、2003年末のDiscoveryChannelで放送されたものも実機でしたので元気そうです(^^。実機は機嫌が悪いと映らないことが多いようでして、ああいうjr.が作られたんだと思いますね。ハーマン氏発のベア氏本情報といい、baer氏の野心はとどまるところを知りません。(^^

hallyhally 2004/04/28 12:34 なるほどー、DiscoveryChannelの特集は未見でした。レプリカの製造は、あるいは将来的な博物館入りも視野にあるのかもしれませんね。 しかしベア氏の本もそうですが、向こうの自費出版は出版社顔負けに気合いが入っていて驚かされます。Atari Gaming Headquartersも、なにやらずいぶん濃いアタリ歴史本を計画しているようですよ。

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04.14.2004

UKより帰国後、数日間東京に滞在していたため、復帰が遅れました。今回は主にチップチューンDJとしてのロンドン行きだったのですが、時間的余裕がかなりあったので、あちらの8-bit/16-bitリバイバル事情などもつぶさに調べてきました。詳細なレポートはまた後日。

[][][] JAKKS Pacific, Atari Paddle 10-in-1Ms. Pac-Man TV Gamesの詳細を公表

当ページでも先々月に少し触れた、おなじみJAKKS Pacificのコントローラ型ゲーム機 (TV Gamesシリーズ) 新作が、正式にアナウンスされました。「アタリパドル」のほうは「Steeple Chase」「Night Driver」「Demonds to Diamonds」「Street Racer」「Breakout」「Super Breakout」「Warlords」「Circus Atari」「Casino」「Canyon Bomber」と、Atari VCS/2600初期の作品を中心に十本収録。「ミスパックマン」のほうは、以前の予告通り「ミスパックマン」「ギャラガ」「ポール・ポジション」「ゼビウス」「マッピー」(いずれもアーケード版) を収録。ともに発売は今夏とのことです。

Classic Gamingによると、「アタリパドル」では、ついにエミュレータでオリジナル版ROMを走らせることになったそうです。これまでの商品は手作業でゲームを移植していたために、いずれも細かいバグや不具合を抱えており、一部で不評を買っていたのですが、いよいよそのあたりを本気で考慮する気になったということでしょうか。ハードエミュレーションかソフトエミュレーションかまでは不明ですが、ひょっとすると、ここでいよいよワンチップAtari2600の出番になるのかもしれません (プロジェクト沈黙の時期ともちょうど符号することですし)。

[][] JAKKS Pacific, Capcom TV Gamesの発売を予定

JAKKS Pacificは今後、ほかにも「ピンボール」「スパイダーマン」「ミッドウェイ 10 in 1」の発売を予定しているわけですが、私の渡英直前、さらに「カプコン 5 in 1」がアナウンスされました。なぜか日本ではまったく話題になっていないようなので、一応ご紹介しておくと、「1942」「魔界村」「ロックマン」「ガンスモーク」「サイドアーム」が収録されるそうです。一作だけファミコンというのが異質ですが、海外のロックマン人気を考えれば、やはり外せないのでしょうね。

[][] Namco Arcade Classicsの内容に迫る

ちょうど一週間ほど前に、CLASSIC VIDEOGAME STATION ODYSSEYさんが、JAKKS Pacificの「ナムコ・アーケード・クラシックス」について、詳細なレポートを発表しておられたので、ついでにご紹介。移植精度に関しては私もVORCのフリートーク掲示板で大雑把にまとめたことがありますが、先日ほぼ一年分のログとともに消滅してしまいました。

はまはま 2004/04/14 18:30 ナムコ〜は、ゲーム性にハードな操作や、連射力は求められないので良いとして、カプコンに列挙されるラインナップを見ると、ゲーム性を配慮してハードを作らないと(連射をつけるとか)故障が頻発しそうですが^^;

プリンプリン 2004/04/15 00:14 hallyさんお帰りなさい。アタリパドル、涙ものですね!サーカスアタリがどうしてJOYSTICKでリリースされたのか微妙にひっかかっていましたが、これで溜飲が下がった感が。しかも、エミュレートによるリアル感にも期待大です。似て異なるブレイクアウトを2種収録というのは、そのあたりの志向もうかがえるようです。

hallyhally 2004/04/15 08:23 はまさん: そうですね。ミッドウェイともども、ただでさえ難易度の高いゲームばかりということで、そのへんはしっかりやってほしいところです。あとFM音源のサウンドは大丈夫かなあ…。

hallyhally 2004/04/15 08:48 プリンさん: いやもう、パドルが標準でペアになっていることといい、今度は誰にも文句言わせないというこだわりをひしひし感じます。それにしても渋いラインナップです^^; (メーカー違うので無理ですが、やはりKaboom!がほしいところ)

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