Hatena::ブログ(Diary)

Classic 8-bit/16-bit Topics

Classic 8-bit/16-bit Topicsでは、海外での出来事を中心に、旧世代のコンピュータ/ゲーム機に関する雑多な話題を書き散らしています。ただしゲームミュージックやチップチューンなどに関してはVORCで専門に扱っていますので、ご興味がおありのかたはそちらもどうぞ。

2014/05/29 長年放置しておりまして、申し訳ございません。ここやVORCで書いていたような研究は現在、主に各種『ゲームサイド』誌に書き綴っております。よろしければご覧くださいませ。またそのほか最近の動向に関してはtwitter:@hallyvorcにてお知らせしております。いずれ更新を再開したいとは思っております。



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06.28.2004

[] ジャレコが個人開発のファミコンエミュレータを無断使用

ジャレコが五月に発売した、ゲームボーイアドバンス用の新作「じゃじゃ丸Jr.伝承記」には、「ジャレコレもあり候」というサブタイトルが示すように、往年のファミコンゲーム五本 (「忍者じゃじゃ丸くん」「じゃじゃ丸の大冒険」「エクセリオン」「シティコネクション」「フォーメーションZ」) がカップリングされています。いずれも「ファミコンミニ」シリーズと同様、再現にはエミュレータを使用しているのですが、どうも動作がGBA用ファミコンエミュレータ・PocketNESに酷似しているというので、しばらく前から物議を醸していました。

その後エミュレータ開発側による調査により、やはりソースが無断使用されていたことが明らかになりました。しかしもともと「ソースは好きに使っていい」と明言していたため、ジャレコに責を問うのは妥当ではないとの結論が下されています (厳密にいうと一部はGPLだったのですが、その部分はジャレコも使用していません。確信犯だなあ)。以下は原作者であるloopy氏のコメントです。

もともとはパブリックドメインとしての利用を想定してフリーライセンスにしたのであって (中略)、やっぱりジャレコからは一言欲しかったけど、そのことで夜も眠れなくなるほど気を揉むつもりもないよ。別に誰かに褒めてほしくてPocketNESを書いたわけじゃないからね。みんながオールド・ゲームで楽しめるようにと思って書いた。そしていままさに、それが起きている。任務完了だよ。

エミュレータ開発者がここまで譲歩するのは大変珍しいと思います。彼の意向がはっきりと示されたことにより、PocketNESの商用利用を妨げる要因はなくなりました。「ファミコンミニ」人気の風潮を受けて、今後ほかにもPocketNESを使用しようというメーカーが現れるかもしれませんね。

MoliceMolice 2004/06/29 00:43 ジャレコというと、例のネットゲーセンのMAMEパクリ開発会社が絡んでいるかもですな。あの件の顛末は色々聞いていますが、「無断使用してるけど何か問題でも?」という感じの堂々たる開き直りでした。文化の根本が違うのであるなあ、と痛感。

OKOK 2004/06/29 05:03 ソース付属のドキュメントには「クレジットに入れてくれ」って書いてあるのに、ひどいことする開発者もいたもんですね。ともあれloopy氏の大人な対応は開発哲学はCoolだと思います。

OKOK 2004/06/29 05:04 ↑うわー書いてる途中でEnter触ちゃった…X-(

加山。加山。 2004/06/29 12:06 ジャレコということで思い出したけど、ダライアスRの内情は明らかにならないかなあ...

hallyhally 2004/06/29 17:05 Moliceさん: ジャレコはいまや家庭用が主軸ということで、複数の開発ラインを持っていることですし、わざわざGBAについてノウハウのないあの会社を引っ張り出してくるとは考えにくいですが…まあなんにしても、Jalecoはもう香港の会社になんだなと、改めて実感させられますね。

hallyhally 2004/06/29 17:27 OKさん: あああ…これがあるから、コメント書くの嫌になりますよね。連続して修正コメント入れておいてもらえれば、あとで失敗のほうを削除しておきます。しかしソースのドキュメントにしても、「あれは単なるお願いに過ぎないでしょ?」って一蹴されてしまうのでしょうね。聞けばPocketNESは、地域によっては他にもいろいろ無断商用利用されているそうなので、これで当たり前みたいな感覚になっている人がいるのかもしれません。

hallyhally 2004/06/29 17:40 加山。さん: あれもまた、誰か止める人間はいなかったのかと思わせる要素をいろいろ孕んでいた問題作でしたね。今回の「じゃじゃ丸」も同じラインで作っていそうな気がしてなりません。

よしおみよしおみ 2004/06/30 00:44 ダライアスRってなぜかファンタジーゾーンの曲が入っているのですがどうして?

baddybaddy 2004/06/30 01:14 『ダライアスR』の件に関してですが、あるところより調査依頼がありました。当方で可能な限りの調査を行い、報告を提出済みですが、その後の対応をどうされるかは不明です。が、少なくとも著作者(作曲者の川口氏)には連絡が入ったはずです。

MoliceMolice 2004/06/30 08:17 例のシステムの開発元である香港のB社はジャレコと付き合いが深いはずなのですよ。あと、エミュレータ技術は「特殊技術」と見られているため、開発経験のある会社に外注で出すのが常態化しています。何故言い切れるかというと、今現在僕の会社に山のような発注がですね(げふげふ)

MoliceMolice 2004/06/30 08:19 注:弊社ではソース転用するなんてヌルいことはせずに、ぎっちりゼロから組んでおりますとも。一部他のエミュレータから流用があったとすれば、それはつまり開発者本人が(げふん)

hallyhally 2004/07/01 11:17 Moliceさん: ええ、地元香港では、ジャレコ親会社PCCWとB社が共同で、ネットゲーセンの元になったシステムをいまだに運営していますね。ノウハウの有無に関係なくそういう位置付けの会社になっているという可能性は、たしかにありそうです。

06.25.2004

[] PDP-8互換機キット・SBC6120 発売中

いや驚きました。こんな衝撃的な物が、三年前に人知れずアナウンスされていたなんて。かつてDECがIBM-PCの対抗馬として発売していたDECmateというワークステーションがあるのですが、これに搭載されていたHD-6120 (Harris) というCPUで、PDP-8互換機を製作しようという代物です。フルキット ($350) からドーターボードのみ ($9) まで数種類のキットが利用可能なほか、別売でPDP-8のフロントパネルを再現したFP6120なんてものもあります。

開発者はカリフォルニアのロバート・アームストロング氏。HD-6120およびその前身にあたるIM6100 (Intersil) は、もともとPDP-8のCPUをワンチップ化するべく生まれたものでした。しかし実際には細かい相違点がいろいろあって、完全互換にはなっていません。ロバート氏は1983年から、これを克服するためのファームウェアをエミュレータ上で開発していたのですが、実際にハードウェアを組むとなると、当時は困難を極めたそうで、ようやく試作機の製作に手をつけることができたのは、1999年になってから。その後同人ハードウェアとして製品化にも成功し、2001年より販売中というわけです。

SBC6120は、現在50人ほどの手に渡っているそうです。ユーザーのなかにはVGAモニタやコンパクトフラッシュなど、今日的なインターフェイスに対応させるための拡張キットを開発・販売している猛者もいるので、これを使えばWEB上でアーカイブされているソフト資産も有効活用できそうですね。ちなみに、「ハムラビ」「ハングマン」「ルナランダー」といったコンピュータゲーム初期の名作は、PDP-8版がオリジナルだったはずです。

[2004/09/03追記] PDQ8なる別の互換機を発見。こちらは2002年発表。FPGAベースです。

[] ENIAC-on-a-chip

このSBC6120にはじまり、Brown Box, IMSAI 8080, Apple Iと、伝説的機種の復刻がここ数年で急に目立つようになってきましたが、他にも何かないだろうかと探してみたところ、恐ろしく古いものが出てきました。元祖コンピュータのひとつとして有名な、ENIACのワンチップ版です。

これはENIAC生誕五十周年を記念して、ペンシルバニア大学電子工学科の学生たちが中心になって作り上げたもので、残念ながら一般には流通していません。1995年にごく少数の試作チップが製造され、博物館や研究機関に寄贈されたのみだそうです。そんなわけで詳細な動作レポートなどは見当たらないのですが、ソフトウェアの供給方法に関しては、ちょっと興味深い説明がありました。ここまで小さくなってしまうと、さすがにモジュール結線によるプログラミングまでは再現できないので、PC上で結線パターンをシミュレートし、それを外部プログラムとして供給する仕組みなのだそうです。

[][] デモシーンの起源

メガデモ方面に興味のあるかたはすでにご存知だと思いますが、先週フィンランドより「Demoscene: The Art of Realtime」と題したデモシーン本が発売されました。いまだ完全には解き明かされていないデモのルーツについても、かなり深く考察しているという話で興味津々なのですが、そういえば、私も以前Byterapersの許諾を得て、「デモシーンの起源」なる記事を翻訳したことがあったなと、ふと思い出しました。埋もれさせておくのもなんですし、いい機会なので改めてご紹介させていただきましょう。

ところで「Demoscene: The Art of Realtime」は、デモシーンについて著したはじめての書籍という触れこみになっているのですが、これはさすがにおかしいだろうということで、ちょっとした議論になっています。少なくともドイツからは、「Hackerland」「Hackertail」の二冊が出ていますし、日本の「Coding Style」(光琳社出版) だって忘れてはいけません。ちょくちょくコメントを戴いているイッギ・ドルーゲ氏によれば、スウェーデンにもLinus Walleij氏による書籍があったそうです (タイトル未確認)。シーンという社会的性質でなく、デモの技術面のみ述べたものまで含めれば、さらに多くなります。しかし英語で全体像をまとめたのは、なんだかんだ言ってもこれが最初ということになるのかもしれませんね。

Iggy DIggy D 2004/07/03 01:30 リーヌスWの書いた「Copyright finns inte」は印刷された書籍ではなく、昔からネットで公開された書物です。今上リンクより確かめて、なんとバージョンアップもあって、英語訳も出来ています。LWのHPの左側でDLできます。

hallyhally 2004/07/08 17:01 おお、これはありがたい。さっそくダウンロードさせていただきましょう。

Iggy DIggy D 2004/07/09 04:30 なんだ、実は僕が数年前読んだ頃から、誰かがヴァレイさんの書籍のBSDライセンスのおかげでその本を印刷したそうです。おどろき。

hallyhally 2004/07/12 13:33 なんとまあ。それだけ読む価値が高いということなのですね。

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06.24.2004

[] Arcade Legends Tetris 近日発売

「アーケードレジェンズ・セガジェネシス」, 「アーケードレジェンズ・スペースインベーダーズ」といったプラグ・アンド・プレイ式ゲーム機を間もなく発売するラディカ・ゲームズが、これらと同時に、「アーケードレジェンズ・テトリス」を発売することになりました。名前通り「テトリス」だけが収録されていて、「スタンダード」「クリア」「タイム」「ホット・ライン」「バトル」といった5種類のルールで遊ぶことができます。二台あれば同時プレイも可能とのことで、希望小売価格は29.99ドル。スクリーンショットを見た感じでは、これも画面はメガドライブ級といったところですが、幻と消えたメガドライブ版「テトリス」とは何の関係もなさそうです。

「アーケードレジェンズ」シリーズの詳細な発売日はまだ不明です。しかし海外ではすでに多くのオンラインショップが予約を受け付けており、早いところでは6月11日 (とっくに過ぎちゃいましたが)、遅いところでも8月25日に出荷とアナウンスしています。

from 廃刊ダメゲーマー

miraimangamiraimanga 2004/06/25 11:59 プラグアンドプレイ式は筐体デザインが遊び心があって楽しい物が多いですね、これもまたそうなんですが、でもボタンが一つしか見えないような?あと、テトリスはサルが出てくる「セガ版」の方が楽しいと思います。

hallyhally 2004/06/26 08:16 このテトリスは、そもそもどれがボタンなんだか判然としないですね(笑 中央のものもレバーというよりはダイアルのように見えるので、かなり変わった操作感覚になりそうな気がします。ラディカのシリーズのなかで、個人的に印象深いのは「スペースインベーダ」の筐体です。同じアーケード志向の「ナムコ・アーケード・クラシックス」と違って、しっかり左右にボタンが配置されているこだわりよう。テトリスはまあ、わざわざライセンス取ってセガ版出す異議もないだろうという判断でしょうかね。

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06.23.2004

[] 吉田電子古物商 開店

海外製ヴィンテージ・コンピュータ専門店・吉田電子古物商のオンラインショップが、本日オープンしました。開店直前のお忙しいなか、新宿の事務所に少しお邪魔させていただく機会がありましたので、今日はそのときの様子をお伝えしましょう。  所狭しと並ぶ往年の名機たち (整理中)

私が訪問した頃、入荷はまだ第一段階で、量的な充実はこれからという感触でした。しかしそれでも、アップルII、アタリ (800系/ST系)、コモドール (VIC-20/64/AMIGA) など、人気機種を一通りそろえた頼もしいラインナップは、大いに好奇心をかきたてるものだったといえます。ソフトや周辺機器にもいろいろと興味深いものが見受けられたので、全体的にはなかなかの壮観でした。というか、これだけ幅広い品揃えは、いまや欧米でもなかなか見られないはずですよ。「商品を実際にご覧になりたい方は合資会社ディーアーツ事務所にてご覧になることができますのでお電話にてご確認の上ご来社ください」とのことなので、東京近郊の旧世代機ファンは必見です。

商品はいずれも手入れが行き届いており、かなりの美品ぞろいでした。なにかと気難しいアミーガたちも、動作チェックは万全な様子。ソフトのほうは、箱・取説完備の獲がたい稀少タイトルから、ディスク+マニュアルのみで提供の手頃な人気作まで、広範に扱っています。ただし、現在商品リストに挙がっているのは、まだ在庫の1/3程度。これからさらに面白いものが出てくるはずですよ。

チップチューンファン垂涎のSX-64。
マジックボイスカートリッジで喋る
「GORF」が動作中。
スティーヴ・ウォズニアクのサイン入りアップルII GS。
近年はずいぶん手頃な価格に落ち着いてきたようです。

「こういうものは単にコレクションとして置いておくのではなく、やはり実際に活用してもらいたい」とは代表・吉田宣幸氏の談。そんなわけで、タンディやTIといった活用する余地の少ないマシンたちは、いまのところ入荷予定に入っていないそうです。ただし「希望があれば検討します」というお話でしたので、お探しものがあるかたは、「この商品を入れてほしい!! 」投票フォームからお願いしてみるといいでしょう。なお、ヨーロッパ (PAL) 製品や、アタリVCSをはじめとするゲーム専用機の取り扱いは、考えていないとのことでした。

吉田氏はヴィンテージ・シンセサイザについてもかなりの知識をお持ちで、「今後はとくに音楽系のソフトや周辺機器を充実させていきたい」とも語っておられました。これはチップチューンフリークやアタリ愛好者にとっては朗報ですね。日本では手にすることさえ難しかったSIDやPOKEYのサウンドが、これで一歩身近な存在になりそうです。

それにしても、いまや旧世代パソコンを扱う店舗はめっきり減ってしまいました。国内の海外機専門店としては、もはやOld Apple WorldVintage Computer LLCが最後の生き残りという状況だったように思います。そんななか8-bit機の人気が再燃しようとしているのは、なんとも皮肉な話ですが、吉田氏ご夫妻には、このご時世を追い風に、末長く頑張っていただきたいものですね。

[][] 「Spy vs Spy」を題材にしたTVコマーシャル 放映中

「マウンテン・デュー」というペプシの炭酸飲料をご存知でしょうか。日本だとそんなにお目にかかりませんが、数年前に猛威をふるったCODE REDワームのおかげで、インターネット界隈では妙に有名になったこともありますし、名前だけご存知のかたも多いかもしれません。さて、5月からオンエアされている「マウンテン・デュー」の最新コマーシャルが、往年のファミコンゲームとして知られる「スパイVSスパイ」を実写化してフィーチャし、話題を呼んでいます (画像下のリンクよりQuickTimeで鑑賞可能)。[6/24追記] もうひとつ別バージョンも出ていました

正しくはクラシックゲーム関連というよりはコミック関連のネタなので、当雑記で取り上げるのは不適当かもしれませんが、日本では『MADマガジン』連載の原作が話題になることはほとんどありませんでした。このへんの事情はヨーロッパ各国でも同様だったようなので、アメリカ人以外にとっては、まあ実質的にゲームネタであるといって差し支えないでしょう。

「スパイVSスパイ」は、原作ゲームについてもあまり話題になりません。オリジナルはケムコではなく、ファーストスター・ソフトウェアというアメリカの会社が、アタリ400/800、コモドール64、アップルII向けに発売したものでした。日本では二作目までしか出ていませんが、欧米ではもう一作続いています (詳しくはtamurayaさんのアレ。をどうぞ)。ファーストスターは「バルダー・ダッシュ」の開発元でもあるのですが、原作メーカとしての存在感は、こちらに関しても同じように希薄ですね。なお、会社そのものは現在も存続しているものの、インタラクティヴ製品の開発・販売はもう行っていないとのことです。

from orange juice

miraimangamiraimanga 2004/06/25 01:28 吉田電子古物商>ビジカルクやピンボールコンストラクションセットなど本体持ってないのに欲しくなるソフトが並んでますね。ハード類はいくらぐらいか気になります。学生の頃、マウンテンデューはよく飲んでました。SPYvsSPYもよく遊んだなぁ。

hallyhally 2004/06/26 08:05 個人的にはKawasaki Rhythm Rockerに感激しました。これも実際に見せていただいたのですが、まさか当時のパッケージにお目にかかる機会があろうとは思っていなかったので。マウンテンデュー、私は近年まで飲んだことがなかったです。大阪周辺では、当時本当に珍しかったのですが、あとで調べてみたら関東ではそうでもなかったようですね。地方色丸出しの文章になってしまいました^^;

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06.21.2004

[] Apple II Clones.com 公開

アップルIIといえば、IBM-PCに先駆けて実質的なスタンダード・アーキテクチャとなり、南米、東南アジア、東欧からソ連にいたる世界各地で多種多様な互換機が製造されていたことでも知られています。しかしそれら互換機の情報を集大成しようという試みは、これまでありそうでありませんでした。今年3月にオープンしたapple2clones.comは、その全体像を曝け出してくれる貴重なアップルII互換機ポータルといえるでしょう。ライセンス品からデッドコピーまで、現在確認されている約130機種を網羅しています。詳細不明のため写真だけ掲載というマシンも少なくないのですが、それにしてもこれだけ揃うと圧巻です。なんとまあ、やはり互換機の多さで知られるZXスペクトラムよりも種類豊富なのですね。

[] アップルII互換機の歴史

アップルII互換機の歴史は、合法互換パソコンという商品カテゴリが生まれるまでの歩みそのものであるといえます。最初のアップルII互換機は、1979年の西海岸コンピュータ・フェアに出展された、オレンジという名のマシンであるとされています。しかし、この機種に関する詳細はどこにも記されておらず、また市場に出回っていた形跡も見当たらないので、参考出展程度で終わったのではないかと思われます (後年登場する同名のクローンはおそらく別物でしょう)。

同年には、はじめてのオフィシャルな互換機であるITT 2020も登場していました。これはイギリスのアップルII販売代理店だったITTコンピュータ・プロダクトが、アップルと共同開発したものです。本家アップルIIのヨーロッパ版は、米国版とほとんど同時期に発売されていたのですが、ITT 2020は、ハイレゾモード用のクロック調整や、フランスのSECAM方式TV受信機対応など、さらに踏み込んだ調整を盛り込んだものだったようです。

1981年になると、台湾製をはじめとするノーライセンスなアップルIIクローン機 (あるいはキット) が出回りはじめます。JAPPLEと呼ばれる日本製クローンも、もとはこれから派生したものと考えられそうです。実際1981年頃にクローン機を組んだというかたは、日本にも結構いらっしゃるようですね。しかしこの時点ではまだ、アップルII互換機はあまり表立って取り沙汰されることのないものでした。

同じ頃、教育現場でのアップルII流通を受け持っていたオーディオ/ビジュアル機器メーカ・ベル&ハウエル社が、II plusの学校用カスタムモデルを製造したりもしていました。ベル&ハウエルが梃入れしていた事実は、アップルIIの成功を語るうえで無視できない要素といえます。アップルはこのおかげで教育市場での足場づくりに成功し、やがて自らの手で供給を開始。教育用パソコンとして不動のシェアを獲得するまでになっていったからです。クローン機の脅威やライバル機たちの急激な低価格化に翻弄されることなく、アップルIIがマイペースで勢力を保ち続けることができたのは、この方面での優位に助けられたところが大きかったはずです。

[] Franklin Ace - 違法判決を下された最初のパソコン

1982年、当時もっとも成功したアップルII互換機として知られるフランクリン・エース 100シリーズが登場します。これはアップルに無許諾で製造されたクローン機ですが、それでも当時は、おおよそ合法的な存在として認識されていました。というより、そもそもアルテア8800以降のパーソナルコンピュータ市場を支えたのは、幾多のアルテア互換機たちだったわけで、その流れからいってアップルII互換機もまた、ことさら違法性を強調されることはないだろうと信じられていたわけです。実際「BYTE」誌をはじめとする当時のコンピュータ雑誌も、アップルII互換機の広告を堂々と掲載しています。

フランクリン・エース100は、正面切って世に現れた最初のアップルII互換機のひとつでした。しかしアップルはその振る舞いを黙認することなく、発売後ただちにフランクリン社を告訴します。内蔵ROMに埋め込まれた専用プログラムがなければ使えないという点で、アップルIIはアルテア8800とは決定的に性格の異なるものでした。そしてフランクリンが純正のROMプログラムとオペレーティングシステムをそっくりそのまま使用していることを、アップルは見逃しませんでした。これらのプログラムが単なる機械的な部品ではなく、著作物にあたると主張することで、アップルは互換機の存在を退けようとしたわけです。

現代から見ればあまりに当然の主張ですが、当時はまだプログラムに著作権を認めるのが妥当かどうか、法解釈が固まっていませんでした。厳密にいえば、ソースプログラムは著作物だと認められていましたが、そこから生成されたバイナリプログラムまで著作物と認めていいものなのかどうか、疑問視される面があったのです。またこの時点では「基本プログラムは独創性の入り込む余地のないものであり、これに著作権を認めるのはおかしいのではないか」とも考えられていました。そのためアップルの請求は、一度は却下されることになります。

この棄却で勢いづいたものか、これ以降カナダ、韓国、ドイツなどからも、次々と互換機が登場するようになります。互換機というと単なる廉価版のイメージが付き纏いますが、とくにドイツの製品には、洗練ぶりにおいて本家を凌駕するものも少なくなかったといいます。このままいけば、アップルは大打撃を被っていたことでしょう。しかし1983年8月、裁判は差し戻され、判決は逆転しました。結局フランクリン・エースは違法商品であるということになり、フランクリンはコンピュータ産業から撤退。こうして北米におけるアップルII互換機の歴史は、一度幕を下ろすことになります。

[] Laser 128 - 合法アップルII互換機

さてこの判決は、裏返せば、ROM内のプログラムさえ著作権に抵触しなければ、互換機の製造・販売を妨げる法的根拠は、もはやなにもないと宣言するものでもありました (もちろん特許を持つ機種に関しては別ですが)。フランクリン対アップル裁判の行方をひっそりと見守っていたのは、IBM-PC互換機の開発を目論んでいた企業たちです。アップルの請求が一度却下された直後に、コロンビア・データ社は史上初のIBM-PC互換機・MPCを発売しました。これに数ヶ月遅れてコンパックが続き、コンパック・ポータブルをアナウンスしています。

コンパック・ポータブルには、従来の互換機にはない特色がありました。内蔵ROMが本家のコピーではなく、100%クリーンなリバースエンジニアリングを経て生み出された互換プログラムに置きかえられており、著作権問題で叩かれる恐れを完全に排除してあったのです (と同時に、基本プログラムに独創性の余地があることを完全に証明してもいました)。コンパックにこの互換プログラムを提供したフェニックス・テクノロジ社は、フランクリンがやがて辿り着くことになる結末を、最初から予見済みだったのでしょう。彼らの編み出した「クリーンルーム」方式は、コンパックの互換機を大成功に導き、今日まで続くPC互換機市場の礎を築きました。

コンパックの方法論は、もちろんアップルIIに対しても有効なはずでした。apple2clones.comのarticlesセクションに目を通すと、フランクリンもそのことは承知しており、互換プログラムを書こうとある程度努力していたことが分かりますが、彼らは結局挫折してしまいます。いえ、彼らだけでなく互換機メーカのほとんどすべてが挫折しました。アップルIIのBIOSは、IBM-PCとは比較にならないほどトリッキィなものだったのです。もしBIOS構造がもっと単純だったなら、IBM-PCの歩んだ歴史を、アップルIIが歩んでいたかもしれません。

それから数年して、以前教育玩具の話で触れた香港のVTech社が、ようやく互換プログラムの開発を成し遂げました。彼らは真に合法なアップルII互換機として、Laser 128を完成させます。本格的に北米市場での流通が始まったのは1988年頃からでした。この頃すでにアップルIIの人気はピークを過ぎていましたが、安価なうえに本家を凌ぐ高性能ぶりだということで、Laser 128シリーズは一躍評判となり、当時ローエンドでもっとも人気のあったコモドール128のよきライバルとして健闘するまでになります。その売れ行きの良さに慌てたアップルは、旧アップルIIのラインナップを四年ぶりに復活させ、対抗馬としてアップルIIc plusを発売したほどでした。

ZAKKZAKK 2004/06/21 22:38 でもKeganiは無かったのね。Vectrioとかも。あっ、でもこれって基板の名前ですね。

miraimangamiraimanga 2004/06/23 00:32 いやあ、アップルの互換機ってこんなにあったんですね。デザインは本家をベースにしたものが多いけど、その中でもフランクリンとlaser128は完成度が高いように感じました。でもネーミングがすごいですね、オレンジやパイナップルなんてオヤジギャグです。1980年代頃は高校生でgeneralのpaxonというmsxで遊んでました。

hallyhally 2004/06/23 04:46 ZAKKさん: そうですね、基板の名前だからという理由もありそうですが、それ以上に、やはり日本の互換機事情はほとんど認知されていないようです。かくいう私もよく分かっていないのですが、Vectorioは『Byte』誌でも言及されたことがあったらしく、ちょびっとだけ知名度があります。あと名前を見かけたのはSeagullくらいで、Keganiに触れている海外サイトは見たことありませんね。このへんまとまった資料があれば、結構重宝されそうです。

hallyhally 2004/06/23 04:53 miraimangaさん: フランクリンのハードウェアはたしかに評価高いですね。後にはポータブルタイプの互換機を製造しようとしていたそうで、生き残っていれば本家を凌ぐ勢力にもなれたのではないかと思います。互換機のネーミングが投げやりなのは、今日のファミコン互換機に至っても変わりませんねえ^^;

junk2junkjunk2junk 2004/06/23 21:48 Keganiは創刊1年くらいのテクノポリス誌(当時はまだ軟派に落ちきっていなかった)で触れられていたような気がします。あと、遊撃手でも少しだけ出ていたかな? 当時の本は大分捨てられてしまったのが痛いです。ただ、当時でもあまり雑誌で見た記憶がないので、当時の店主の方が生きている間に秋葉原でインタビューを敢行した方が早いような気がします。ラジオデパートの人は親切だったよなあ……

hallyhally 2004/06/24 11:15 テクノポリスとはこれはまた意外な。当時はそんな記事まであったのですね。「生きている間にインタビューを」というのは、最近いろいろな方面で切実に思うところですが、当時の御店主がまだご活躍なのですか!

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06.20.2004

[] アーケードレジェンズ・セガジェネシス 国内発売決定

少し古い記事になりますが、以前ご紹介した「アーケードレジェンズ・セガジェネシス」が、「メガドライブプレイTV」の名称で日本でも発売されることになりました。実はこれ、ラディカの単独ライセンス生産ではなく、セガトイズと共同開発したものだったそうで、実際の製造はセガトイズが取り仕切っているようです。

なんにしても、一連のプラグ・アンド・プレイ復刻ムーブメントが、これでいよいよ日本にも本格的に流れ込むことになりますね。国内発売に踏み切った背景には、「ファミコンミニ」の爆発的な成功なども影響していると思うのですが、さて市場の反応やいかに。

miraimangamiraimanga 2004/06/21 13:52 /.jでもこのネタが取り上げられ、ソフトは何を復刻してもらいたいかで盛り上がっていました。そこでも書いたんですがハードがもうしすこし小さいかコントローラ型にしたら、もっと売れるのになーと感じた次第です。コンシューマ機は場所とりますからね。できればゲームギアを今のGBA並みのスペックで復刻というのが理想ですが、ビジネスになりませんね。

hallyhally 2004/06/21 21:31 いやあ、それが実はすでにこんなのが出ているのですよ: http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Namiki/3640/md3.html ...これを開発しているLite starは中国の会社なのですが、会社概要を見るとどうも正式にセガと提携しているみたいです。なら素直にこれを出せばいいのになあ。ゲームギア/SMSはすでにワンチップ化されているはずなので、ワンチップファミコンのようにDVDプレイヤに寄生するとか、いろいろな形での復刻が考えられそうな気がしています。

BKCBKC 2004/06/22 00:09 国内でのプラグアンドプレイなゲーム機といえば復刻ではないものの神剣ドラクエがヒットしましたよね。意外にあたるのかもしれません。それよりも68000とZ80が本当にワンチップ化されているのかが気になります(笑)

hallyhally 2004/06/23 05:07 剣神ドラゴンクエストは、むしろ復刻機のあとに来るであろうものを先取りした印象があります。あれのおかげで、日本にはこの手の復刻機がマニア以外にも受け容れられる下地が、多少なりとも整えられている気がするのです。だから、もっていきかたひとつで面白いことになりそうですね。ワンチップメガドライブは、やはりこの目で見るまでにわかには信じにくいですよね(笑

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06.19.2004

[] The World of Commodore オープン

昨年よりコモドールブランドの正統な後継者となっていたオランダのチューリップ・コンピューターズが、ついにコモドールリバイバルの公式サイトを立ち上げました。

メインコンテンツは、今後の柱となるであろう「ハードウェア」「ミュージック&ムービーズ」「メディア&マーチェンダイズ」「ゲームズ」といった四カテゴリの紹介となっています。「ゲームズ」セクションでは現在10タイトルのコモドール64用ゲームを、ディスクイメージ (と思われる) として販売中。それぞれ価格は約5ユーロで、ラインナップは以下のようになっています。

エピックスのタイトルは、以前にご紹介したC64 Direct-to-TV収録予定のものとも被っていますね。他のタイトルもこれに取り入れられることになるかもしれません。あと気になったのは、「エミュレータ」という商品カテゴリが用意されていることです。まだ何もリストアップされていないのですが、コモドール64の公式エミュレータがお目見えする日は、そう遠くないのではないでしょうか。

そして「メディア&マーチェンダイズ」セクションでは、だいぶ前に触れたコモドール・メディア社のCD-RやDVD+RWを紹介しているほか、近日中に衣料品の取り扱いも開始するようです。

「ハードウェア」セクションにはコモドール印のフラッシュメモリやMP3プレイヤなどを掲載。一部のアミーガ系ニュースサイトからは「こんなものにPETやVICの名前を冠するなんて悪い冗談だ」という声も聞こえています。なるほど、ブランドの切り売りばかり先行してしまっては、チューリップがどこまで本気でリバイバルに取り組むつもりなのか、疑わしくなるのも仕方がありません。そういう意味では、もっと酷いのが「ミュージック&ムービーズ」セクションでしょうか。こちらはもはやコモドールとは何の関係もなく、一般的な音楽作品のダウンロード販売を行っています。コンピュータブランドをかざしてこういう真似をやられると、アップルの劣化コピーみたいな印象を与えかねないと思うのですが、考えすぎでしょうか。

この公式サイトの登場で、チューリップがコモドールの名前をどういう風に扱いたがっているのか、良くも悪くもある程度見渡せるようになったといえるでしょう。それからもうひとつ重要なことは、アミーガがリバイバルの対象に入っていない事実が明白になったことです。アミーガブランドはアミーガ・インクが所有しているので、まあ当然といえば当然ですが、足並みを合わせれば、より大きなリバイバル効果を狙うこともできたでしょうにね。

[] TABキーの語源 (RetroPC.NET)

缶飲料のプルタブと同じ「Tab(タブ):つまみ」です。

文字入力時には、ひとつまみ分くらいカーソルが移動します。

つまみとしての "tab" は、引っぱる、掛ける、開ける、情報を引き出す…といった操作をするための (平たい) でっぱりという、わりと抽象的な意味なので、この単語から「ひとつまみ分」なんていう長さを導き出すのは、いくらなんでも無理があります。単なるこじつけと考えていいでしょうね。

s-yamanes-yamane 2004/06/19 19:27 はじめまして。興味深く拝見させていただいております。昔のタイプライターでは「Tab. key」といって「tabulator key」の省略を示すピリオドがついていました。

s-yamanes-yamane 2004/06/19 19:30 OED.com を調べたところ「Tab. key」の初出は1916年のタイプライターのマニュアルだとか。ところで

s-yamanes-yamane 2004/06/19 19:33 来月上野の国立科学博物館で開かれる「テレビゲームとデジタル科学展」には貴重なゲームを見れそうで期待しています。(http://www.famitsu.com/game/news/2004/05/24/103%2C1085379207%2C26627%2C0%2C0.html) コメントの書き方がわからず読みにくいコメントで失礼しました。

hallyhally 2004/06/20 19:05 コメントありがとうございます。いやはや、はてなのコメントは本当に使い勝手が悪いので、お気になさらないでください。しかしなるほど、当初ピリオドがあったというのは説得力がありますね。調べてみると、ASCIIキャラクターセットもまた、Tabにあたる制御コードを「Horizontal Tabulation」と名付けていました。もっともASCII制定当時のテレタイプに、Tabキーは存在していなかったようですが。

hallyhally 2004/06/20 19:16 「テレビゲームとデジタル科学展」は、ボストンのコンピュータ博物館にも匹敵する素晴らしい内容になりそうですね。ただ私は関西在住なので、悲しいかな訪問は難しそうです。それにしても「スペースウォー」(というかPDP-1) なんてどうやって展示するつもりなのだろう…。

MoliceMolice 2004/06/21 03:13 ピリオドの件は調べが及びませんでした。素晴らしい。そろそろ121wareさんに訂正連絡を入れる頃合ですかねえ。(笑

s-yamanes-yamane 2004/06/23 19:31 ボストンのコンピュータ博物館(http://www.tcm.org/)は組織改編のため、メディアラボ系の教育施設はボストン科学博物館(http://www.mos.org)に、歴史展示はカリフォルニアのコンピュータ歴史博物館(http://www.computerhistory.org/)に移設されています(http://www.mos.org/tcm/tcm.html)。たしかにボストンの波止場は狭かったし、カリフォルニアの方が乾燥していて機械によさそう。

hallyhally 2004/06/24 08:07 なんと、カリフォルニアの歴史博物館が、実質的な現在の姿だったのですか。アメリカには公設のコンピュータ博物館がいくつもあって凄いなあ、などと思い込んでおりました。

s-yamanes-yamane 2004/07/16 22:21 博物館は展示保存と教育という二つの仕事がありますが、ボストンとカリフォルニアでその機能を分担させたようなかんじですね。子どもを連れていくのならスミソニアンやボストンの科学博物館、留学志望の受験生にはMIT博物館(http://hacks.mit.edu/)、実機のレストアについてはカリフォルニアのコンピュータ歴史博物館、という目的に応じた博物館ツアーコースが考えられますね。ところで上野のゲーム展の内覧会に行ってきた東大ゲーム研究プロジェクトの人の話によると、展示される予定のPDP-1はレプリカでモニタは液晶パネルはめこみ、しかも動いていなかったとか...正式オープンに間に合うのか?

s-yamanes-yamane 2004/07/24 22:38 「テレビゲームとデジタル科学展」見に行ってきましたー。http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20040716/tvgame.htm にでてくる等身大ピポサルはいませんでしたが、ゲーム機の箱まで展示されているのはうれしい。PDP-1は「レプリカ」と明記してありました。Spacewarは誰も触れない状態で動いているので、初期状態から一直線に重力星に吸い込まれるのをエンドレスでくりかえしてます...。パネルに間違いを見つけて通報したので10月にまた行ってみます。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/hally/20040619

06.10.2004

[] JAKKS Pacific, TV Gamesシリーズの新作を発表

ジョイスティック型ゲーム機「ナムコ・アーケード・クラシックス」の発売以降、毎月TV Gamesシリーズの新作予定を発表しているJAKKS Pacificですが、まだその勢いは止まりません。プラグ・アンド・プレイの隆盛は当分続くと見ているようです。

今回はキャラクタ路線ばかり8機種を発表しています。まずひとつは、DCコミックスからのライセンスによる「スーパーマン」「バットマン」「ジャスティス・リーグ」「スクービー・ドゥ」の四作。いずれも来年発売で、希望小売価格は20ドル程度になるそうです。もう一方は、「スパイダーマン」に続くマーベルもので、こちらも来年10月に「超人ハルク」「ブレード」「デアデビル」「ゴーストライダー」の四種類を一挙リリースするようです。価格はやはり20ドル程度となります。

JAKKSは先月もルーカスフィルムとの提携を発表したばかりですが、人気番組やコミックとのタイアップを大急ぎで進めているのは、どうも「アーケード・クラシック」のときのように他社に市場を荒らされるのを防ぐ意図があるのではないかと思われます。しかし、こんなにペースを上げてしまって、ゲームのクオリティ管理は大丈夫なのでしょうかね。

[] Senario vs MAXXシリーズ 発売中

プラグ・アンド・プレイ路線に本格参入しているのは、JAKKS Pacificを筆頭に、INTV Corp., Radica Games, Tulip Computers, Majesco, そしてタカラ、エポック、トミーといった日本のXaviX勢で全部かな…と思っていたのですが、ひっそりと製品をリリースしている会社が、もう一軒ありました。Senario LLCというイリノイ州の会社で、vs MAXXと銘打ったオリジナルゲームシリーズを展開しています。資料らしい資料はほとんどないのですが、ワンチップファミコンベースであることは間違いないでしょう。2000年ごろから欧米で流通していたゲームステーション・アーケードというワンチップファミコン内蔵ゲーム機と、まったく同じ形状をしていますから。

[] Color Dreams

そもそも現在のプラグ・アンド・プレイゲーム市場は、かならずしもJAKKS PacificやXaviXが切り拓いたものとはいえません。市場を開花させる本当のきっかけを作ったのは、タイを発火点とするMEGA JOY勢だったはずです。ワンチップファミコンとゲームROMをまるごとコントローラに一体化したこのゲーム機 (とその亜種) は、欧米でも密かな人気を博していましたが、収録ゲームがすべて過去作品の違法なコピーということもあって、表立って騒がれることはありませんでした。先に言及したゲームステーション・アーケードは、そんななかにあって、唯一合法的なゲームだけを収録していたことで知られています。

これに内蔵されている15本のゲームは、すべてカラー・ドリームズの作品なのです。といっても、日本ではほとんど知名度などないに等しいメーカーですが、欧米のNESユーザの間では、テンゲンに続く第二の非任天堂ライセンスメーカとして、それなりに有名です。ただしテンゲンとは対照的に、カラー・ドリームズはいともあっさりとロックアウトチップの解析に成功していました。これは完全に合法的な手段によるものだったため、法的抑圧を受けることもなく販売を続けることができ、全部で15本のゲームを送り出しています。ようするに、カラー・ドリームズの作品はもとから任天堂と無関係だったため、ワンチップファミコンと組み合わせて再販する許可も、他社と違って得やすかったわけです。

カラー・ドリームズのデビュー作は、「ベビー・ブーマー」(1989) というゲームでした。これは20万本生産され、うち12万本が売れたといいます。その次に発売されたのは「キャプテン・コミック」と「クリスタル・マインズ」。この二本は、カラー・ドリームズのベストセラーとなりました。しかし以降のゲームはそれほど高品質でなく、また任天堂が彼らの商品を扱う小売店に不快感を表明したこともあって、取り扱いは次第に減少。その対策として、カラー・ドリームズは後にバンチ・ゲームズやウィズダム・ツリーといった別レーベルを興し、それぞれ5本前後のゲームをリリースさせたりもしていましたが、結局大きなヒット作を生み出すことができないまま、1994年にはヴィデオゲーム産業から撤退することになります。その後スタッフたちはスタードット社を設立しており、WEBカメラビジネスで成功を収めています。

カラー・ドリームズがもっとも注目を集めたのは、NES版「ヘルレイザー」を発表したときでした。1990年を通して開発が進められていたこのゲームは、ほとんどメガドライブなみの表現力を実現することが可能な「スーパーカートリッジ」として発売される予定になっていたのです。しかしZ80 CPUと64K RAMを搭載したこの化け物カートリッジは、あまりに高くつく代物でした。商品化するためには、安価が売りのカラードリームズ製品にはおよそ似つかわしくない80ドルという価格設定が必要と判明します。いくら凄い内容に仕上がったとしても、ホラー映画題材のゲームがそれほど一般受けするとは考えられないという事情も重なり、結局「ヘルレイザー」の発売は断念されることになります。

[] vs MAXXの収録ゲーム

ゲームステーション・アーケードとvs MAXXが同じなのは、実は形状のみです。少なくとも25in1の収録ゲーム一覧には、カラー・ドリームズ作品は見当たりません。どうもvs MAXXの収録ゲームは、いずれもオリジナルな新作ファミコンゲームのようです (とはいえ「ガンヘッド」(PC-Engine) や「Bejewled」そっくりのゲームもあるという話ですが)。ゲームとしての出来は特筆するほどでもないそうですが、さすが公に流通しているだけあって、画面はなかなか。

…と思いきや、コメント欄にてnf_banさんから鋭いご指摘が。

参考:

COLOR DREAMS AND THEIR DREAMS...

COLOR DREAMS (& VIDEOGAMES)

THE STORY OF COLOR DREAMS PART 2

(以上NES WORLDより)

nf_bannf_ban 2004/06/10 12:55 vs MAXXの収録ゲームの写真、ファミコン版「魂斗羅」のBGグラフィック(特にAREA 1)が混ざってますけど大丈夫なんですかね?(^^;

hallyhally 2004/06/10 13:16 ああー、言われてみれば! しかし妙な手の抜きかたですね。これくらいなら大丈夫と踏んでいるのかな。

06.08.2004

[] 2004 MiniGame Compo 開幕

今年もミニゲームコンポの季節がやってきました。これは現役のアマチュア8-bitプログラマたちが、機種と国境を超えてゲーム開発のスキルとアイデアを競いあうコンテストで、ステフェン・ジャド氏主催のもと、2001年よりインターネット上で毎年開催されています。

昨年はアップルIIからファミコンまで、1980年代を賑わせたあらゆる機種から63作品がエントリし (こちらの "download the votepack" からまとめて入手できます)、わずか4キロバイトながら多くの要素を詰め込んだコモドール64のRPG「Minima Reloaded」が優勝を果たしました。個人的には、VIC-20用のRogueライクゲーム「Whack」に驚かされたものです。

日本人に馴染みのある機種は、まだファミコンとMSXくらいしか参戦していないのが現状ですが、こういうマイコンBASICマガジン的センスを問われる領域は、むしろ日本人が得意とするところのはず…ということで、以下に参加規約を翻訳してみました。

  1. このコンペティションは、コモドール64、シンクレア・スペクトラム、アムストラッドCPCなどのような、1980年代の「古典的」8-bitコンピュータ用ゲームのために開催されます。ただし「スポンサ」がついていない機種の参加は認められません。「スポンサ」は応募されたプログラムが規約や規定サイズに適合するかを審査したり、エミュレータで動作チェックを行ったりする係で、現在はCommodore 64/128/VIC-20, Plus/4, PET, Vectrex, Spectrum/128/ZX81, CPC, VZ/Laser, NES, Colecovision, Oricについています。ある機種の代表をやってみたい (もしくはボランティアをやりたい) というかたがいらっしゃいましたらご一報ください。善処します。(訳注: 英語の苦手なかたは訳者まで)
  2. 今年も二部門を用意します。1K部門と4K部門です。昨年と同様、実行ファイル (ヘッダ、ローダ、BASICスタブ、データファイルを含む) のサイズは最大1024または4096バイトまでとします。ゲームは自動的にスタートするか、またはBASICプロンプトからRUNで起動するようにしてください。
  3. 「清潔感保持」ルール: ポルノや猥雑な要素などは、安易なゲームの投げ売り状態を招くことになります。ようするに『「カスターズ・リベンジ」(訳注: かつてアメリカで物議を醸したAtari 2600用ポルノゲーム) の改変版みたいなものを応募しないでください』というルールです。
  4. 応募締切は2004年8月29日です。
  5. 投票およびファイル提出:
    • 投票/提出するためには個人情報を登録する必要があります。この個人情報はBBSで使うものとは別になっており、コンテスト専用です。
    • 投票シートはいつでも編集することができます。コンテスト終了時に、投票内容が正しいかどうか確認したのち、投票をお願いすることになります。なおすべてのゲームに投票する必要はありません。
    • ゲームは上記個人情報のアカウントを用いて提出します。エントリ作品はエミュレータで動作する一般的なフォーマットで、WEBページのガイダンスに従って提出してください。なおゲームのスクリーンショットやWEBページ用解説の内容には、自己で責任を負うものとします。
    • WEBページを使用できないかたは、emailでご連絡ください。善処します。
  6. 応募作品は、他のソフトウェアや外部機器がなくても動作するものに限ります (ただし使用できるなら使用して構いません)。もっとも、常識の範囲内で―――ジョイスティックやディスクドライブは当然問題ありません。
  7. 参加者ひとりあたりの応募作品数は制限しません。新しい作品のエントリがあれば、MiniGameホームページを定期的に更新します。また作者は応募締切まで、自分の作品を更新・削除するよう自由に要請できます。
  8. 全メモリエリア、サウンドチップ、ROMルーチン、圧縮機能 (コード内に解凍機能を持たせる) など、応募作品はコンピュータの全機能を使用して構いません。

Iggy DIggy D 2004/06/17 22:29 ミニゲーと同じ様でもちょっと変わったc.s.s. Crap game compoはご存知ですか。日本語じゃ、クソゲーっていうのはぴったりの表現でしょう。http://cl4.org/comp/spectrum/cgc2002/

hallyhally 2004/06/20 19:44 存じています。そもそも海外には日本風の自虐的「クソゲー」観が希薄だと思っていたので、このコンポを知ったときはちょっと驚きましたが、よく考えてみれば、単に笑い飛ばすのと敢えて作ってみるのとでは、姿勢に雲泥の差がありますね。

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