「ゲーム音楽史」が登録商標になっていた

久しぶりの書き込みなのにまた書籍『ゲーム音楽史』関連の番外編です。恐縮ですが、これはちょっと看過できないと思ったので、ひらにご容赦を。――先日Do.氏から「『ゲーム音楽史』が商標登録されているらしいよ」と教えてもらいました。最初は「え、そんなこ…

[7/28追記]

書評というからにはいい点も書いておくべきというご指摘をいただきましたので、そのあたりを。いろいろ問題含みなれど、ハードの制約を初心者にも分かりやすく説明し、そこに対しどのような技術が用いられたか例示するという本書の目的そのものは、ある程度…

【書評】ゲーム音楽史/岩崎祐之助

【臨時更新】総評としては、名前負けと事実誤認の多さが気になる一冊。ナムコ黄金時代やファミコン全盛期からゲーム音楽に親しみ続けてきた、昔ながらのゲーム音楽リスナーは、私も含めて数多くいます。そしてこの世代のリスナーの多くには、ゲーム音楽の聴…

中国のコンピュータ開発史

多忙にかまけてすっかり見過ごしていましたが、航天機構の例によって素晴らしい共産圏コンピュータ史です。ゲーム機についても記述がありますが、そういえば中国にはファミコンクローン機から独自に発展した低年齢層向け教育パソコンがきわめて広く普及して…

セガマークIIIのプラグ&プレイ機、近日発売?

マークIII/マスターシステムのプラグ&プレイ型復刻機といえば、ブラジルだけで販売されているマスターシステム・ハンディがありますが、香港のアジアン・トイ・ソース社からそれとは別のタイプが登場するようです。イッギ氏が書いているように、同社が行うの…

Minimig - ワンチップ・アミーガ 開発進行中

18日にオランダで行われるホビー・コモドール・クラブのミーティングで、FPGAによるワンチップ・アミーガ500の試作機が公開されるそうです。これはデニス・ヴァン・ウェーレンというエンジニアが約一年にわたって開発してきたもので、CPUが別チップになるの…

著作権フリーなエミュレーション、その先にあるもの

たびたび述べているように、ZXスペクトラムというパソコンはクリーンなエミュレーションの実現にかけて最先端に位置する存在です。エミュレータの配布が正式に認可されているだけでなく、過去に市販されていたソフトの大半や関連資料まで公認・無償で入手で…

Classic Gameing Expo 2004 講演録音

先月京都でヴィデオゲーム史の重要人物たちが集ったDIEC2005というシンポジウムが開催されました。私は残念ながら足を運ぶことができなかったのですが、わざわざノラン・ブッシュネル氏を招待していながら史学的な収穫はあまりなかったという話で……何をやっ…

『Confessions of the Game Doctor』 刊行

『Phoenix: The Fall & Rise of Videogames』『Videogames: In The Beginning』といったゲーム史研究の必読書で知られるロレンタ・プレスより、新刊の登場です。これは世界初のヴィデオゲーム専門誌『Electronic Games』を立ち上げたひとりであるゲームドク…

IBM広告ミュージアム

DigiBarn Computer Museumより。1948年から1957年にかけての (つまりコンピュータが主力製品になる直前の) IBMの企業イメージ広告コレクションです。この種の特定製品に触れていない広告は見落とされがちなだけに、興味深いものといえるでしょう。「IBMは国…

ワンチップ・コレコビジョン 登場

FPGAによるワンチップ化方面ではおなじみのFPGA ARCADEより、今度はワンチップ版コレコビジョンの製作方法が公開されました。ROMの供給方法などいまいちよく分からない部分も多いのですが、さしあたり問題なく動作する水準にあるようですね。コレコビジョン…

コンピュータとモダニズム

「ゲームはまずゲームとしてあるべきだ」というパーカー以来のデザイン哲学を圧倒的に普遍化させたのは、いうまでもなくコンピュータの存在です。コンピュータがゲーム史において果たした役割は、近代芸術史において写真や映画が果たした役割とよく似ていま…

遊びとしてのゲーム

ここまでに見てきたような動きは、いってみればモダニズムの第一波です。それは近代技術あるいは近代思想によって伝統的ゲームを再生産しようという潮流であり、本当の意味で伝統を塗り替えようとする試行ではありませんでした。古来人間はゲームに何かしら…

ゲームデザイナの誕生

近代まで職業的なゲームデザイナが存在しえなかった理由はごく単純で、ゲームを個人作品化する手だてがなかったからに他なりません。伝統的なゲーム遊具は、中世後期までにある種の汎用ゲームシステム化を遂げていました。チェス盤、バックギャモン盤、トラ…

ゲームのなかのモダニズム

「ポストモダン化するコンピュータゲーム」の続きです。そもそもゲームにモダニズムなんてあったのか? あったとすればどのような? そのあたりを明確にせずにいきなりポストモダン化なんていう言葉を持ち出したことに対して、抵抗感を感じた人もいらっしゃる…

テトリスの10年

恐らくインベーダーを動かせる基板なら、テトリスを実装することも可能だったのではないかと思います。しかしインベーダーが登場してからテトリスが登場するのに、実に10年かかりました(あくまで日本国内での登場年です)。純粋にゲームデザイナーの思い付…

水木潔語録

前回少し言及した任天堂の水木潔氏は、「ゲーム」よりも「玩具」の面白さを優先するというポストモダン的立場を鮮明に主張した、日本最初のゲームデザイナのひとりではないかと思います。氏は「ビートマニア」や「ニンテンドッグス」といった野心的な成功作…

ポストモダン化するコンピュータゲーム

コンピュータゲームは非コンピュータゲームと何か本質的に違うものかもしれない――ということは、たぶんゲームプレイヤの多くが漠然と感じてきたことだと思います。「ゲーム, プレイヤ, ワールド」は古典的ゲームモデルというものを提唱し、そこからの逸脱可…

ジュール氏への反論 (2) - フィクション性の位置付け

ジュール氏はフィクションの要素をゲームの成立要件に加えていないわけですが、この点に関しても不満を持つ人がいるかもしれません。氏は1999年に発表した修士論文 "A clash between game and narrative" のなかで、インタラクティヴ性と物語性は根本的に水…

ジュール氏への反論 (1) - 可変かつ数値化可能な結果

ジュール氏の六要素に対する否定的な見解は、今のところそれほど多くは見られないとはいえ、皆無というわけでもありません。反論者がとくに槍玉に挙げるのは「可変かつ数値化可能な結果」です。これはもともと『ルールズ・オブ・プレイ』が提唱した要素では…

ゲーム, プレイヤ, ワールド : ゲームたらしめるものの核心を探る

デンマークのルドロジストであるジェスパー・ジュール氏が執筆した、ゲームの定義の決定版ともいえる論文 "The Game, the Player, the World: Looking for a Heart of Gameness" (2003) を翻訳しました。ゲームとは何ぞやという問いかけに対して、今のところ…

Capcom Bowling 〜 Golden Tee 3D

このようにインクレディブル・テクノロジーズはミッドウェイの血脈に連なっているわけですが、1990年代初頭までは「Qバート」のサウンドを手がけた元ゴットリーブ社のデヴィッド・シール氏も主要メンバーとして活躍していました。設立当初はヴィデオゲームを…

Marvin Glass & Associates

DNAがヴィデオゲーム史に果たした役割については以前詳しく述べましたが、MGAもまた興味深い歴史を持つ会社です。もっとも彼らの場合は最初からヴィデオゲームメーカーだったわけではなく、その創業者マーヴイン・グラス氏はそもそも高名な玩具発明家でした…

Incredible Technologies

インクレディブル・テクノロジーズは、アタリやミッドウェイが撤退したいま、アメリカにおける最古参かつ最大手のアーケードヴィデオゲームメーカーとして君臨している企業です。とはいっても事業規模はそれほど大きくなく (従業員100名程度)、日本で知られ…

Golden Tee PlayTV 発売決定

pnp

ラディカ・ゲームズのプラグ&プレイ新作がアナウンスされています。今度は2006年秋にインクレディブル・テクノロジーズの代表作「ゴールデン・ティー・ゴルフ」をリリースするとのことですが、アーケードからの移植となるのか、体感路線の新作となるのかは、…

『Retro Byte』も創刊へ

イギリスでは先月お伝えしたもうひとつのレトロゲーム誌の創刊準備も着々と進んでいるようです。こちらの誌名は『Retro Byte』と決まり、先行予約の受け付けも始まっています。創刊号はシネマウェア特集ということで、ショーン氏らしくカジュアル層置いてけ…

『Retro Gamer』復刊

『Retro Gamer』誌が廃刊になりそうだという話を先々月にお伝えしましたが、幸いにもイマジン・パブリシング社によって丸ごと引き継がれることが決定しました。この出版社は今年創業したばかりの若い企業で、資力は未知数なのですが、新編集長には隠れレトロ…

RetroPC.NETのMolice氏が当雑記のバナーを作ってくださいました。ありがたいことです。

MSX時代のコナミUK広報マネージャ インタビュー (the MSX Games Box)

MSX

前々回ご紹介したように、ZXスペクトラムの世界には1980年代から1990年代にかけて無数のアーケード移植作品が登場していたわけですが、オリジナルの開発元が自社ブランドで移植を手がけるようなケースはほとんどありませんでした。稀有な例外といえるのはア…

『それは「ポン」から始まった』 書評

当雑記をご覧のかたなら既にご存知だとは思いますが、『ゲームマシン』紙の編集に半生を費やしてきた赤木真澄氏によるアーケード・ヴィデオゲームの歴史書が、先日出版されました。これまでアーケードゲームの歴史がいかに漠然と語られてきたか、ということ…