Hatena::ブログ(Diary)

Classic 8-bit/16-bit Topics

Classic 8-bit/16-bit Topicsでは、海外での出来事を中心に、旧世代のコンピュータ/ゲーム機に関する雑多な話題を書き散らしています。ただしゲームミュージックやチップチューンなどに関してはVORCで専門に扱っていますので、ご興味がおありのかたはそちらもどうぞ。

2014/05/29 長年放置しておりまして、申し訳ございません。ここやVORCで書いていたような研究は現在、主に各種『ゲームサイド』誌に書き綴っております。よろしければご覧くださいませ。またそのほか最近の動向に関してはtwitter:@hallyvorcにてお知らせしております。いずれ更新を再開したいとは思っております。



2004 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2005 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 |
2014 | 07 |
2015 | 12 |

02.01.2005

[] ソニーの試作テレビゲーム (197x)

Classic Video Game Station Odysseyより、国内ではじめて家庭用テレビゲーム機を試作したのはソニーだったのかもしれないという、非常に刺激的なお話です。もっともこれは文字通り「テレビを用いるゲーム装置」であって、今日我々の知るデジタルなゲーム機ではなかった可能性が高いようです。せめて開いた状態のカートリッジスロットを見ることができれば、そのあたりもはっきりするのですが―――このスロット、なんだかBetamaxのテープがすっぽり収まりそうに見えるのは気のせいでしょうかね。もしソニーがEVRゲームシステムのBetamax版のようなものを構想していたのだとしたら、ヴィデオテープ規格戦争の方向から眺めても面白いかもしれないなあ、などと妄想してしまいます。

このようにテレビゲームを広範囲に捉え直してみると、歴史から抜け落ちているものが意外なほどたくさんあることに気付かされます。私も最近、CRTディスプレイを使ったゲーム装置が第二次大戦直後に早くも構想され、特許を取得していたことを確認して驚きました。じつにこれこそが世界初のヴィデオゲーム特許なのですが、その存在を知る人は海外にもあまりいないようです。発明したご本人は現在95歳。なんとか一度コンタクトを取ってみたいと思ってはいるものの、研究家ともいえない市井の身の悲しさ、私はいまのところ相手にされていません。

[] 第二次世界大戦が育んだヴィデオゲーム技術

この特許はレーダー技術と深い関わりがあります (詳細は後日改めて)。そういえば「テニス・フォー・ツー」のウィリアム・ヒギンボザム氏も、もとはMIT放射線研究所でレーダー研究に従事していた人物でしたね。オディッセイの生みの親であるラルフ・ベア氏もまた、軍事レーダーの開発に携わっていた時期がありました。パイオニア三人が三人ともレーダーを熟知した人間だったなんて、これはもう偶然では済まされないでしょう。レーダースクリーンは、映像のなかに仮想空間を描き出し、それを外部からの入力に応じてダイレクトに変化させる―――つまり今日いうところのインタラクティヴ映像を実現した最初の機器です。それに精通していたからこそ、彼らは映像ゲームの着想に、誰よりも早く辿り着いたのかもしれません。

レーダー技術は第二次大戦中に飛躍的な発展を遂げた分野ですが、その当時の特筆すべき成果のひとつとしてPPI (Plan Position Indicator) 方式の成熟が挙げられます。PPIとは、それまで波形しか表示できなかったレーダースクリーンに、二次元マップを映し出すことを可能にしたシステムです。この技術が発展しなければ、画面に点や線を自由に描くことはできず、したがって「テニス・フォー・ツー」も「スペースウォー!」も、さらには後のヴェクタースキャンの傑作たちも生まれなかったことになります。

PPI方式は1940年にドイツではじめて実用化されました。当時ドイツとならぶレーダー大国だったイギリスもすぐこれに追随、間もなくそこからアメリカにももたらされています。アメリカではRCAが、レーダーの初期開発にきわめて大きな役割を果たしました。RCAは戦後家庭用テレビ受像機のトップブランドとして君臨するわけですが、いっぽうでレーダースクリーンの精度も上げ続け、こちらはやがてコンピュータのモニタ出力としても活用されるようになります。「スペースウォー!」を生み出したPDP-1のモニタも、RCAのレーダー用CRT (16ADP7) を転用したものです。黎明期のヴィデオゲームはどれも、どこかでレーダー技術に繋がっていたわけです。

replicornreplicorn 2005/02/01 18:18 最近ゲームに関する過去の記事を読むようになったのですが、技術の繋がりって面白いですね。
そう言えば気になっていることがあるのですが、Tennis for two 〜 Space War!に至るまでゲームがなかったというのが現状の見解なわけですが、これはスティーブ・ラッセルがTennis for twoを見た上で小説にヒントをゲームを見出したのか、それとももっと原始的なゲームが間に存在したいたのか、あるいは0からアイディアを思いついたのか、そこに興味があります。

hallyhally 2005/02/02 12:03 『Creative Computing』誌1981年8月号に掲載された「Spacewar!」開発関係者による手記を、オンラインで読むことができます:
http://www.elfqrin.com/docs/SpaceWar/spacewar.html
「ポンのアイデアさえまだなかったころのことだ」という一文が出てきますので、「Tennis for Two」については知らなかったと考えるのが妥当でしょう。「Spacewar!」のダイレクトな影響元は、WhirlwindやTX-0で動作していたデモたちです。そのなかには「Tic-Tac-Toe」もあったので、ゲームという発想の源泉もここにあるのでしょう。

replicornreplicorn 2005/02/02 12:51 ありがとうございます。参考にさせていただきます。が、頑張って英語読まねば・・・(^-^;)
やはりデモを作ったり見たりしていて、「それに介入できたら面白いだろう」「おい、コンピュータ、俺はこっちだと思うぞ。あぁ、操作できばなぁ」というのが原点なのかもしれませんね。
「Whirlwind」というのは初めて聞きました。黎明期にも色々なものがあったのですね。こんな調子でシューティングの歴史なんてまとめきるのだろうか・・・orz

hallyhally 2005/02/03 05:41 シューティングの歴史ですか。「スペースインベーダー」以前のゲームについて記した包括的な研究はまだありませんから、なかなか大変だと思います。私も機会があれば、「タンク」から「スペースウォーズ」までの流れをまとめてみたいですね。

replicornreplicorn 2005/02/03 19:13 hallyさんの視点でまとめられたもの、読んでみたいです。私のほうは丁度、タンク(1974) 〜 コップス & ロバーズ(1976)辺りを調べています。

山根山根 2005/02/08 04:03 無名の研究者が証言をとるのは大変そうですね.研究家として認知される方法は私も知りたい(-_-).
ゲーム史研究はアマチュア愛好家によって支えられていて,権威と呼べる研究家,歴史家っていないんじゃないかなあ.

強いて言えば,よく引用されてる研究者という点では,
MITの History of Computing 選書 ( http://www.mitpress.mit.edu/catalog/browse/browse.asp?btype=6&serid=49 )の中で唯一ゲームについて触れている
「From Airline Reservations to Sonic the Hedgehog: A History of the Software Industry」の Martin Campbell-Kelly (共編著邦訳あり)でしょうか.
あとは取材者が協力的と言う点では国営放送局も権威といえるかも(^^).

hallyhally 2005/02/13 14:42 Martin Campbell-Kellyというとコンピュータ200年史しか知りませんでした。同様に壮大な視点でまとめた通史のようですね。どの程度突っ込んだ内容なのか興味あるところです。

ヴィデオゲーム史研究がアマチュア任せな現状は、ある意味で気楽でいいのですが、ともすれば単なるお遊びか酔狂だと思われてしまうのが悲しいところですね。著書や論文のひとつもあれば、権威を名乗ることは簡単でしょうけど。名乗るだけなら(笑

山根山根 2005/02/14 19:15 リンク先から目次と索引を読めますけど、それほどつっこんだ内容ではないです。
ようやく通史の中でゲームに一章が割かれたというところで、これから本格的各論研究がはじまる出発点ができたという感じではないかと。
アーカイブが必要になるのはこれからでしょう。

はてなユーザーのみコメントできます。はてなへログインもしくは新規登録をおこなってください。

旧世代機専門ニュースサイト (日本語) :