伝書鳩が帰ってこない

最近、とても涙もろくなった。 というよりは決壊したままになっていて常にうるうるなのである。 本を読んでも新聞のニュースも音楽を聴いても、うるうるがぽろぽろになってしまう。 場所の制限もないものだから、道を歩いてても電車の中でも湿度100%である…

言い伝えの変容

京都は夜が早く訪れる街である。 東京があまりに眠らない街だったことの裏返しでそう感じるんだろう。 スロースターターの私は気がつくと一日何も出来ないまま、 とっぷりと暮れた空気の底面で後悔している。 それもあってこちらでは本ばかり読み耽っている…

ツイッタ始めました

世の中の流れに2周りくらい遅れて、Twitterとやらに加わりました。 折角iphoneなのと新しく住み始めた土地で右も左も分からないのとで、 毎日の中で楽しいことが見つけられたらいいなあと思い始めてみました。 今までは、 blogがこれ以上疎かになったら良く…

萌え出のち晴れ

GW後半は母親が上洛し遊びにやってきたので、 お日様ぴかぴかの暑い日に一緒に府立植物園へゆきました。 ここの植物達は本当に生き生きと呼吸をしているのがよくわかる。 整備されすぎず奔放に育っていて、やんちゃな雰囲気です。 まるで親戚の家の畑でも…

HOSONOVA

GWは一時東京に戻り細野晴臣さんのライブHOSONOVAを見に行きました。 なんとまあ指定席ライブでは人生初の最前列でして、 しかもこの世で一番好きなミュージシャンの細野さんのライブで。幸せです。 馥郁とした香りに満ちた音と音の狭間で揺られて…

クローバー絨毯によせて

どこもかしこも鮮やかな緑でふちどられて美しい季節になりました。 新緑の5月は1年のうちで一番好きなので晴れの日はもれなく散歩をします。 東京の住処を引き払い京都へやって来ました。 3月11日から2ヶ月が過ぎ、コペルニクス的でんぐり返し、今私は元気で…

美術館いろいろ

引越しの前に行っておきたくて駆け回った展示いろいろのことを、 忘れないように少しずつ記しておきたいと思います。 節電や設備修繕でプランが大幅に狂い企画者側も本当に大変だったことと思います。 そんな中でも、そんな時だからこそか、行ったことで私は…

海辺の男の子

(これから思い出し日記をぽちぽち書いてゆきます) この頃は心身ともに限界だったので数日間帰省していました。 海へも行きました。 大きな余震の続く時期、東北関東では恐らく近づく者のない場所でしょうが、 こちらはのんびりとした日常のままの日本海で…

小石川植物園

道しるべという名の木に導かれて小石川植物園へゆきました。 梅の盛りには梅を、桜の盛りには桜を、目いっぱい堪能したい。 今日咲いていた花も明日には落ちるかもしれませんから、 毎日が贈りものと思って過ごせたらいいな。 東京大学総合研究博物館に隣接…

リリア-4-ever

ユーロスペース、トーキョーノーザンライツフィルムフェスティバル最終日。 ルーカス・ムーディソン監督の「リリア-4-ever」を見にゆく。 私はこの映画を見て2、3日は食欲がなく、まともに寝ることも出来なかった。 剣山を飲み込んだように体の内側がギザギ…

Perefect Moment

いつぞや閉館間際にすべり込んだ東京オペラシティアートギャラリーにて。 曽根裕展「Perefect Moment」を見て来ました。 現在メゾンエルメスにも出展されていますが、大理石の彫刻シリーズが良かったです。 樹氷のようで美しかった木漏れ日を体現した作品な…

馬橋稲荷

天気がすっきりした晴れだったので自転車で馬橋稲荷神社へ行ってみました。 ちょうど高円寺と阿佐ヶ谷の間に現れる、小さくはない神社です。 この辺りは張り巡らされた細かい路地に区切られて方向感覚が狂いそうになります。 鮮やかな朱色が美しい一の鳥居、…

包む

小学生の頃大好きだった福音館書店の月刊「たくさんのふしぎ」に、 「草と木で包む」という本があって私はそれをとても気に入っていました。 表紙に出ている卵を藁で包む卵つとや、笠を二つ折りにしたような鯛の包みなど、 なんてきれいで楽しいんだろうと見…

花・太陽・雨ときどき雪

沈丁花が芽吹いて、梅の花を見に出かけて、2月も半ば。 もう私は「そこをゆくのはお春じゃないか」と声をかける心づもりでいたのに、 今になって雪がどっさり降るとは夢にも思わなかったのです。 年末年始に実家で雪の毎日を送ったので、 もはやありがたみよ…

上田風子展

「Lucid Dr e a m」という美しい名前の個展でした。 よく行っている文化村ギャラリーでの開催でしたが、 私がこれを知ったのは知らぬ外国人のタンブラー上ででした。 好きな画風の絵が載っていると思いよく見ると上田さんの絵でした。 日本画の硬質な筆致も…

楳図かずお恐怖マンガ展 楳恐

うちの母は楳図かずおが嫌いで、 理由は恐いものが嫌いなのと楳図先生自体が気持ち悪いかららしい。 対する子供の私は恐いものが好きで、 ロックでパンクで圧倒的なあの人柄もかっこいいと思っている。 この展示は、懐中電灯を持ちきもだめしのように巡ると…

おさびし山、梅ヶ丘

ほんのり寒さが弛んで来たので春の息吹を見つけに出かけました。 京王線に乗ってどんぶらこと進み、初めて降り立つ梅ヶ丘は実に静かなところでした。 くねくね細い道とゆるやかな傾斜というのが沿線の特徴で、 方向音痴の私はもれなく不安に駆られますが何と…

マン語りvol.6

マン語りvol.6の第2部のみ参加してまいりました。 前回のvol.5、富樫某のレベルEの回に参加できず残念に思っていたので、 楽しみにしていた「日常・生活系漫画大特集」でしたが… 結論から言うとそれはそれはお粗末なイベントでした。とほほ。 まるでなってい…

男の子女の子

バレンタインデイが間近になって、 街中にピンクや赤のハートで施された装飾が溢れこぼれている。 デパートの一角で沢山のチョコレートを前にして、ある小さな男の子が言った。 「うわあ可愛い、僕これが欲しいな、誰にあげようか。」 それを聞いた母親らし…

いはいちごのい

お休みの日、四ツ谷三丁目のフルーツパーラーフクナガへゆきました。 パフェの王様と言いたいほどの、苺です。 鮮やかな赤が見た目にも美しくてぼーっとなりました。 へた付きのあまおうが濃くて甘くて、これは最後のお楽しみにしました。 その周りのとちお…

幽体の知覚展

骨はどんな人間も平等になかに抱えているもので、 普段無意識で動かされ成長したりしている。 でも一度「骨だ」と意識すると、 死を思ったり恐怖感や不安がせり上がってくるのは何でなんだろう。 骨格標本は動物問わず結構好きなんだけども、 どうにもヒトの…

毛細血管の枝枝

今年一度目の井の頭公園散歩をしました。 よく冷える日でしたが、その分空が遠くまで澄んでいました。 上を仰ぐと、微細な枝がまるで硝子にはいったひびのように見えます。 手を伸ばしたら崩れてくるかも知れません。 向こうにずらっと居並ぶはスワン・ボー…

調神社

新しい年の初詣は、かねてから焦がれていた浦和の調神社へ行きました。 調の字は「つきのみや」と読みます。 この事から月に使えるものとして兎がモチーフになっている神社です。 卯年である今年こそ機は熟したのだと思い、 きんと晴れた寒い日に訪ねゆきま…

卯歳年賀状の展

墨田くんだりまで出かけてSAKURA TERRACE、 「卯歳年賀状と西洋のカード展」を見に行きました。 紙のプロが企てる紙もの展はとても良いんです。 お代も無しに文化遺産を山盛りこの目で見られるのです。 うさのするりとしなやかな肢体、妙な躍動感があります…

自然のひと掬い

どんなに雪が美しいものでも、 三日も閉じ込められているとそうも言えなくなってくる。 でも東京に帰ってきて今、 雪はきれいだったなあって身勝手に思う。 年末年始は実家に帰り、ゆったりのんびりと過ごしました。 今思えば良いタイミングに便を予約できて…

こんにちは2011

2011年明けましておめでとうございます。 今年も皆さまにとって実りある1年でありますように。 興味あるものにうさぎのようにぴょんぴょん飛び込んで、 楽しく笑顔で健康に過ごしたいです。 本年もどうぞよろしくお願い致します。 好きなものや人に対して、…

心のもちようさ

夜、DOMMUNEにて「じゃがたら大百科」を放送していました。 体が自然に動くようなビートと、飾り立てない歌詞と歌声に、 PCの向こう側から私は拍手を送りました。 もう我慢できないという曲が演奏されたライブ映像を見て、 ぼろぼろ涙がこぼれまし…

スプリング・フィーバー

http://www.uplink.co.jp/springfever/ シネマライズへ ロウ・イエ監督による中国映画、 「スプリング・フィーバー」を見に行きました。 心の中にまさに嵐を起こさせるような映画でした。 どのシーンも美しく、程好く土臭く、やっぱり美しかった。 数日たっ…

毛玉雲とちくわ

ある秋の夕暮れ時間、築地辺りを散歩しました。 刻々と空の色は変わってゆきます。 11月の雲は筆で水彩絵の具をさっと掃いたような感じなのです。 天使の髪の毛のように繊細でやわやわしています。 そこに橙色と水色がグラデーションで乗っかるのはとても美…

赤瀬川原平写真展

カメラは散歩の導火線だ。 何か撮りたい、 何か見つかるかもしれない、 という小さな火に導かれて町を歩く。 ウォーキングは脚の筋肉だけの話になるが、 カメラがあると目が加わり、 感受性がスイッチされる。 こういう言葉が出てくる赤瀬川原平が、 とても…