「奇跡のバッテリー」

 「奇跡のバッテリー」といっても、野球のピッチャーとキャッチャーの感動物語ではなく、オートバイの話。
  2月下旬に、昔入っていたツーリングクラブの仲間Mさんから、私の近況を尋ねるメールがあった。「まだオートバイは乗っているか」との問。「最近全然乗っていないが、”チビよん”は堅持している」と返事を出したら、「そのうちクラブのOB会をやらないか。他に参加する人もいるから」とのお誘いメールが再度来た。Mさんは私より2歳年下だが、クラブの会長を退いた後も顧問的にまだ参加していて、バリバリの現役ライダー。
  昔からBMW一筋で、2年前にあのK1600GTLに乗り換えたまでは知っていたが、今回メールでは、それに加えて最近、1983年式のR100RS(2本サス)と1991年式のK100RSアニバーサリーの中古を手に入れたとのこと。写真も添付されており、最新のK1600GTLは見るからに重くてばかでかくて、私にはほど遠いものと改めて思ったが、濃い赤色のR100RSは30年前の中古とは思えないほどきれいで、ロマンチックそのもの。俄然、またBMWが恋しくなってきた。
Mさんの1983年式RS
  と、前置きが長くなったが、Mさんからのありがたいお誘いにぜひ甘えたいし、少し暖かくなってきたのでまた”チビよん”に乗ろうと思った。それには長くほっといた”チビよん”をまた稼働させなくてはならない。なにせ、昨年11月下旬頃に乗ったきり、半年近くも触らなかったから、完全にバッテリー上がりをしているはずなので、まず前作業として洗車とワックスがけをしてからタイヤに空気も入れておこう。そして、一日時間がとれるときにホンダのロードサービスに連絡をしてバッテリージャンピングをしてもらい、その足で充電を兼ねたツーリングに行こうと手順を決めた。
  で先日、その前作業をしていたとき、念のためにキーを差し込んで回してみたら、計器パネルが明るく点灯。まさか!と、急遽ウエアを着込み、ヘルメットをかぶってからさらにキーを回して始動ボタンを押すと、何事もなかったかのように一発でエンジンがかかったのであった。これまでの経験では、専用のバッテリーチャージャーを使っていたBMW車を除き、スズキのスクーターも、ホンダのオートバイも、2ヶ月も乗らなかったときには確実にバッテリー上がりを起こしていたので、半年近くも乗らなかった後にエンジンがかかったのには心底驚いた。まさに「奇跡のバッテリー」と、すっかりうれしくなり、そのまま箱根(正確には、山には登らず、早川口を出たところでUターンしたのだが・・・)までひとっ走り。
  ただ、道中、少し冷静になって思い出したら、そういえば”チビよん”は、昨年9月にバッテリー上がりを起こしたとき、ホンダのロードサービスに来てもらってジャンピングで始動させた後にディーラーに持ち込み、2年点検と併せて、バッテリーも交換してもらっていた。新品の、しかも、選択肢として示された中国製の安物ではなく、きちんとした国産のバッテリーにしていたのであった。
  約100kmを走って帰宅後、ホンダ車の、そして国産バッテリーの性能の高さに改めて感動しつつ、でも、これからはもっとまめに”チビよん”に乗ってやろうと、深く反省したのであった。