パソコン入れ換えの記

  昨秋頃より、10年近く使ってきた我が家のパソコンの調子がおかしくなり、本体の起動からアプリの利用まで、それまでも遅かったのですが、さらにものすごく時間がかかるようになりました。朝起きてきてすぐにスイッチを入れてから、ひげそりや洗顔を済ませて戻ってくる頃、ようやく画面が立ち上がっているというような状態でした。おまけに、ハードディスクがカタカタと鳴って、今にもクラッシュしそうな雰囲気です。このハードディスクの中には、私と妻が送受信したメールや、作成したいろいろな文書、孫たちや旅行の写真等々のファイルがたくさん入っており、私と妻にとっては宝物のような箱です。妻はいつも、無事開きますようにと、祈るような気持ちでパソコンのスイッチを押していたそうです。
パソコンの自作も行ったことがあるという、娘の夫にも相談したところ、やはり新しいのに換えた方が良いとのご託宣。具体的な機種のアドバイスももらいました。が、多忙にかまけて行動を起こせぬまま年末を迎え、年賀状の印刷を終わった段階で、ようやく年末年始の休暇を利用してのパソコン入れ換えを決意しました。それでも暮れから正月2日までは息子一家と娘一家が来ていたために孫たちとの交流を最優先し、賑やかな正月が終わった4日に家電量販店に直行しました。買う気満々の様子を見て取ったか、店員がしつこく付きまといます。
  旧機のOSはウインドウズXPですが、この10年の間にマイクロソフトではVistaと7を発売していて、昨秋からはウインドウズ8の時代。店員は7も勧めましたが、どうせなら最新のものをと決めていましたので、8と最新のエクセル・ワードが入った機種をと伝えました。そして、最も肝心のパソコン本体に関しては、私はパソコンが流行りだした25年くらい前から一貫して国産N社のものを何台か使い続けて来ているし、日本経済低迷の折、今回もその社か、他の国産メーカーのものにしたいと思っていました。ところが、デザイン、性能、価格のバランスの中で国産各社のどれとも決めかねていたところに、さきほどとは別の店員がやって来て、「これもぜひご検討ください」と連れて行かれたのが、米国メーカーのD社のコーナー。
そこに展示してあったデスクトップ型の機種のデザインが秀逸(小ぶりで高級感もある)で、性能も自分で選べて最新、最強に設定でき、かつ、価格は国産よりも2割近く安いのです。「サポート体制も万全で、24時間受け付けています」との説明もあり、これしかない、米国メーカーだが日本販売では日本人の雇用等にも貢献しているのだからと、自分を納得させ、思わず、そのまま契約に至ってしまいました。納期は2週間先とのこと。
  ところが、この納期まで時間があったのがいけなかったのか、翌日から、慎重さの足りない自分の「決断」に大いに後悔の日々を送ることになりました。というのが、こういうことは買いに行く前に行っておくべきで、順序が全く逆なのですが、最近のパソコン事情を詳しく調べてみようと、インターネットであれこれ見ていたら、偶然、各社のパソコンの評判を集めた口コミサイトを発見。早速D社のところを見たら、悪口のオンパレードでした。ここで初めて知ったのですが、米国のメーカーだが日本向けの生産はすべて中国の工場で。しかも、24時間電話サポートの拠点も中国内にあり、スタッフは全員中国人。日本から電話をすると、中国人が片言の日本語で出てきて、「電話を早く切りたがる」「高飛車」等々、最悪のサポート体制との批判もありました。「初期不良が多い」「修理に出したら中古の部品に交換された」「2、3年でダメになる」など、製品への不満もたくさんです。
  すっかり不安になり、多少デザイン等に不満で価格が割高ではあっても、長年使うものだし、やはり国産のほうがよかったかと後悔しきり。しかし、まあ、出荷台数も多いのでこのような書き込みの数も他社よりも多いのだろうし、そもそも出荷台数が多いということは買っている人も多いということで、そこを信頼するしかないと観念しました。念のために職場で、D社の製品を既に持っている人の見解を聞いたところ、「初期不良がなければ意外と長持ちしますよ」とのこと。いったん男が決断して購入契約をした以上は、契約解除などせず、運を天に任せて納品を待つことにしました。
  で、先週の金曜日についに納品。あいにく仕事が入っていたのですが、土曜、日曜日に夜遅くまで寸暇を惜しんで新機の据え付けと初期設定、旧機のデータの新機への移行などを行いました。国産機のように日本語の丁寧なマニュアルなどは全く付いていないので、やや手探りしながらも各接続を終え、ウインドウズ8については書店にマニュアル本がたくさん出ていますのでそれを買ってきて参考にし、中国人のサポートを受けることもなく、メールの送受信もインターネットの閲覧も、日記などずっと続けている日々のパソコン作業も、全く滞りなく行えるようになりました。まだ短時日であり断定できないかもしれませんが、初期不良品ではなかったようです。
  というわけで、今のところ、D社の製品を購入し、今回、パソコンの入れ換えを行ったことは大正解であったと、大いに満足しています。とにかく、「速い、きれい、便利」の言葉に尽きます。インテルの最速のCPU(Core i5)と、4ギガバイトのメモリー、2テラバイトのHDDの構成で、従来の重く長い時間待ちから開放され、一つ一つの作業がすべて「瞬時」にという感じで展開します。ちなみに、電源ボタンを入れてスタート画面が出てくるまでは、パスワードを入れないで開く設定にしたこともあり、わずか10秒程度です。
  横長のディスプレイの画面がとてもきれい。ハイビジョン画質ということで、画像も文字もクッキリと鮮やかです。ちなみに、本体もディスプレイも艶ありの黒色で、ウインドウズ8に対応していないために今回一緒に買い換えた国産C社のプリンター(複合機)の黒色とも調和しています。
  便利という点では、まず、スタート画面に一般のニュースとスポーツニュース、天気予報等の情報が動画も交え、自動更新で提供されることがあります。日にちと時刻の表示が大きくて見やすい。その他、やや押しつけがましいものもありますが、日常生活上、役に立ちそうな様々な情報や趣味のアプリやコンテンツがクリック一つで利用できるようになっています。まだたくさん便利な機能がありそうですが、全容をつかめていないので、少しずつマニュアルを見ながら探していこうと思います。
  ただ、注意しなければならないのは、これまでのXPの画面や操作性に慣れた者にとっては、例えば8では、いったんスタート画面を開いてからデスクトップ画面に移らなければならないというようなことや、マウスを画面右端の上下にポイントすると出てくるチャームというので基本的な操作を行うといったことにやや煩わしさを覚えます。これは時間が経てば慣れていくことと思われますが、併せて、少しでも以前のXPの使い勝手に近づけるよう、できる限り自分好みにカスタマイズを行えば良いと思います。私は、XPの初期画面であるデスクトップ画面と同じような使い勝手にするため、新機のデスクトップ画面に、よく使うアプリやファイル等のショートカットをたくさん貼り付けるとともに、横長の広い画面の中央表示で、XP時代あるいはそれ以前から背景として使っていた懐かしい壁紙を2枚(いずれも我が家にとって想い出深い昔の写真)が15分おきに交互に表示されるように使っています。古い写真ということで、いわば、アナログ的な感じを出したわけです。

  妻も操作にだいぶん慣れてきて、もう違和感なく使っているようです。YちゃんもLちゃんもパソコンでアンパンマンやその他の子ども用動画を見るのが大好きで、マウスを器用にいじって自分で見たりしますから、次回来たとき、新機にどのような反応をするか、楽しみです。