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ハマハナ帳

2006-10-08 北Q行き高速バスの回数券を買おうか検討中

hamahn2006-10-08

 寝起きにはてなアンテナをチェックしたら、アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺ニュースを見て愕然とする。ついでに彼女が書いた記事の邦訳も読み返して更に気分が重くなる。

 で、「新しい天使」。

[] アリノネ「新しい天使―月に一番近い丘まで―」 at スミックスホール・エスタ(西小倉・北九州)

 先々月・先月も北九州に行ったので、3ヶ月連続で北九州まで出かけていることになる。小倉行き高速バスの回数券を買おうか結構本気で考え始めた。

*****

 広島で上演された時の話を読んでから、観たいなあと思っていたので、今回の上演は喜ばしいことだったのだが……制作ブログや関連ブログがあまりに熱っぽいのでちょっと引いていた。実際に舞台を観て、製作者側の思いが私はわかるだろうか?と不安になってしまったというか。別にわからんでもかまわないだろうし、そんなことを考えてしまうならブログを読まなきゃいいのに読んじゃうんですよこの馬鹿は。というわけで結構不安だったり緊張したりしてた。

はりきりすぎです

 15時きっかりに到着。人がいないなあ、と思ったら15時30分開場だって。ちゃんと確認しようよ自分……。taniseさんと遭遇、軽く御挨拶。

 今日千秋楽、前売は完売と聞いていたので混むと予想はしていたが、ホントに会場ぎっしり。客層は60代以上〜中学生と思しき人達まで*1幅広い。呆けすとらの時も思うことだけど、この客層の幅広さが私には物珍しくて新鮮なんだよなあ。

繰り返される出来事、会話

 死者と死者、死者と生者、生者と生者が、無名の市井の人の死を語る。……あまり抽象的なことは書きたくないんだけど、舞台の基本軸を説明しようとしたらそう説明するより外ない。

 光州事件を題材にしていると聞いていたので、事件の顛末を知らないと見てもわからないかもしれないと思い、一応光州事件のあらましも調べたりして備えていた。しかし別に知らなくても大丈夫だったなあ、という感じ。無名の人の死は別に光州事件に留まらず、日本軍による韓国人の強制連行*2、果ては行旅死亡人まで様々な人の死が語られ、「この詩は70年後のことをうたった詩ね*3」という台詞は生半ばで人がいのちを奪われる出来事が何度も何度も繰り返されることを表していたから。私は(朝の一件もあったのか)チェチェンの人たち、町営墓地にある野晒しの無縁仏の墓石を思い出していた。

伴奏と舞台、言葉と台詞

 この舞台の目玉のひとつに、伴奏が生演奏というのがあった。自分で選んで観に行った舞台で生演奏付というのは多分初めて。そんな「はじめての生演奏舞台」だったのだが、演奏が舞台を喰いそうに聞こえ、えらい緊張感が強いのでこりゃ大変なものだなあ、と素朴に唸ってしまった。あと、こなれたトロンボーンの音を久しぶりに聴けたのは耳の栄養という感じで嬉しかったなあ。トロンボーンの割れてる音も好きだが、綺麗なトロンボーンの音はもっと好き。

 台詞は既に大分知ってしまっていたので、「ああ、あの言葉はここで出てくるのか」という感の方が強く、あまり威力を感じられなかったのは残念だった。使われる言葉そのものの威力が強いので、初めて読んだ時の印象が強過ぎて劇の中の台詞として捉えられなかったんだと思う*4

 そんな中で例外的に言葉が台詞として強く印象に残ったのは、踊りを盗まれた男が独白する場面。

…―だからね、ぼくはこの地球をはがして、捨てて、もうひとつの、別の地球をつくろうと思っているんだ。

 この後、どこかの外国の通りと看板―荒廃した建物―子どもたち、と同じ映像が繰り返し映される舞台で、男は客席に背を向けて両手を身体の真横して地面と水平に上げる。男はぼろぼろに破れたポンチョのような布を上着にしていたのだけど、この時腕から垂れた布はちょうど翼のようで、前の台詞と相俟って私には神さまのように見えた。男が少しずつ動いていたことにも気がつかないくらいになって観ていたもんなあ*5

 上記の場面と、踊りを盗まれた男が踊りを取り戻し、踊り回る場面は実に強い印象を残した。思うように身体が動かなかったり、自分を残してきたり、わけがわからなくなってしまったり、今までそんな人たちばかりだったので、見ていて(ようやく)大変安堵したのだと思う。

 カーテンコール時に登場したキャストスタッフは皆感無量という表情で、ただ観に来ただけのこちらも胸が詰まった。準備にはモーレツな時間と労力と精神力が必要とされるけど、本番はあっという間に終わってしまう。舞台ってそういうものなんだなあ、と何となく感じた*6

 冒頭の写真はホールロビーに設置されたアンケート台。意図的なのか何なのか、祭壇に見えてしまって妙に気になったので撮影したもの。

*1幼児もちらほらいた

*2:強制連行の話が、「加害者としてのわたし」という痛みを伴って感じられたのは新しい出来事だった。

*3パブロ・ネルーダというチリの詩人の「そのわけを話そう」という詩を劇中で引用した後の台詞。「そのわけを話そう」はスペイン内戦ゲルニカ爆撃から生まれた詩らしい。とんでもない威力の詩だなあと思ったら、プロの言葉だったのね。しかもはてなキーワードを見たら凄く有名な詩人だということが判明。知らなかった自分が恥ずかしい。

*4:私は他の作品でも同じような事態によくなるので、これは私の問題かもしれん。

*5:この後、荒廃した建物の映像時に、ちょうど建物の出入り口と舞台の出入り口が重なるようになったタイミングのところで男は退場したので、まるで自然と消えたように見えて、「神さま」のイメージを更に強調させたのであった。

*6大学の演劇関係のサークルに所属する者に、留年者が多いのがわかったような気がする。

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