鬼夜を見に行きました
鬼夜というのは、久留米・大善寺の玉垂宮で毎年1月7日に行われる神事。大松明が目玉で、日本の三大火祭りの1つにも数えられているらしい*1。
私は一度これを見てみたくて、今回ようやく念願叶って行ってきました。
大善寺駅
昨日からの寒波のせいで、相変わらずヒリヒリと寒い。19時30分開始と聞いていたが寒くて前入りする元気もなく、19時20分頃大善寺駅到着。初めて来たのだけど、特急停車駅とは思えぬ大善寺駅の小ささに驚く。駅前何にもないし。
とりあえず宮に行こうと大通りに出ると、「オイサ、オイサ」とかけ声をつけて、松明を持った白装束の男性が列をなして歩いていた。いきなり異世界の雰囲気。
暗くてなんだか様子がわからない
事前に先輩から鬼夜について情報を仕入れていたのだが、先輩によれば
大松明には縄がついていて、それを引っ張らせてもらうと厄除けになる
とのこと。うわ、ソレ凄く引っ張りたい! 今年は元旦から寝込むし、何だかツイてないのでここは是非ともひとつ引かせていただきたい。どうしたらいいんだ、並ぶのか、と尋ねれば、「とにかく大松明の傍を離れるな、あとは割り込みされても怯むな」との御返事。とりあえず頑張るつもりでいたのだが境内に大松明が見当たらない。境内では鬼夜について解説しているらしいテープの声が延々と流れていたが、人は多いし寒いしで境内をうろうろする元気もなく、とりあえず境内裏の焚き火にあたって暖をとる。久しぶりにおおっぴらな焚き火を見たのだけど、火がぼんぼん燃えているのを見るのは気分がいい。
その後、何となく境内に戻ると、参道の周りにびっちり人が並んでいた。以下、並んで見たもの。
- 水を桶にかついだ人と松明を持った人が本殿に入っていった。火がついてるのに大丈夫か?とドキドキ。
- 各地区に分かれた男の人たちが、松明を持って走りながら本殿を昇って駆け下りる、というのを3回くらいしてた。
- 男の人たちに「走れ走れ!」「走らんか!」とハッパをかける各地区のボスっぽい人。元気な男の人のちっこ弁を初めて聞いて非常に新鮮。
- どう見ても3歳未満な幼児もお父さんに抱えられて参加していた。皆きょときょとして不審そうな顔はしていたが、ぐずる子どもは見かけなかったのがちょっと不思議だった。幼児は幼児なりに普段と様子が違うのをわかっていたんでしょうな。彼らが風邪をひかないことを願う。
- 一人、コッテコテのちっご弁を使う物凄くテンパッた消防の人がいて、参道に詰め掛けたおばちゃん達がくすくす笑っていた。
節々で「ごー、ろく、せーい!」と声を上げる、祭りの白装束の男の人は非常に勇壮でカッコ良く見えた。私の実家(関東)の方にも祭りはあるが、ヤンキー文化とダイナミックに融合しており、何かすごくげんなりする衣装になってるのだが、全然そういうのがない。ふんどしは見慣れると凄くかっこよいのだな、と知る。こりゃあホモの人がたくさん集まるお店にふんどしイベントがあるらしいのも無理ないわー。
その後、人の流れにくっついて移動し、あっさり大松明発見。ちゃんと境内に数本設置されていました。ちゃんと探そうよ自分。寒いからって面倒くさがりすぎ。先輩の教え通り、大松明の前にぴったりくっついて点火待ち。なかなか始まらず、しんしんと寒い。
やがて、境内の明かりが1つを残して消された。うおお、とどよめく人々。露店の明かりも全て消さなければならないらしく、しきりに消灯のアナウンスが入る。やがて残っていた1つの明かりも消された。またもうおおお、とどよめく人々。なんかライヴっぽい。ライヴの開演待ちで客電が消された時によく似てる。
点火用の松明を持った男衆が大松明の下に集い、鬼が通り……
点火!
急に昼間のように明るくなる。
ヨソ者の視点で祭りを見ていた私も、この瞬間は思わず声を上げてしまった。
そして、動き出す大松明たち。大松明が真正面から向かってきた時はちょっと死ぬかと思った。
*2
念願の綱も引っ張らせてもらい、火の粉(浴びるとこれも厄除けになるらしい)も浴びてくる。燃えさかる大松明は勇壮で神々しく、見ているこっちも何だか神妙な気持ちになったのだった。
結局、寒くて大松明が移動し再び整列したところまで見届けて帰路についてしまったのだけど、帰路は驚くほど清々しい気持ちになっていた。燃える火は浄化の力があるというが、それか? 正月三が日のくさくさした恨めしい気持ちは完全雲消霧散。今年も頑張ります。
*1:鬼夜については、こちらのHPに詳しい。写真もついててわかりやすいです。→http://wadaphoto.jp/maturi/oniyo.htm
*2:今写真で見たら、誰かの頭がものすごいアップで写ってる。