hamaji junichi

composer saxophonist

contempt for soprano saxophone and computer

リリースされて少し時間がたったのですが、私の作曲作品について書かせてもらいます。
contempt for soprano saxophone and computer」は福島諭さんと私、濱地潤一が数年前から取り組んでいる[サックスとコンピュータの為の室内楽シリーズ]の一曲です。福島さんとの出会いは今思い返してみても、ちょっと自分でも信じられないタイミングで訪れ、それぞれ新潟と和歌山というほとんど接点を持つことが不可能な存在がある夜東京で奇跡的に結節点をもち、互いに連絡を取り合うようになり、最初の発表が東京で決まるのにさして時間はかかりませんでした。初めて高円寺のカフェで話した内容は今でも忘れていません。自分はこれから訪れるであろう音楽的イメージに少なからず興奮して話したことを憶えています。そしてある懐疑についても。実はその懐疑こそ、僕たちがこの[サックスとコンピュターの為の室内楽]に取り掛かるひとつの大きなエンジンになったのだと思っています。その懐疑についてはっきりとした言説はさけますが、少なくともその懐疑に福島さんも思い当たるところがあったようです。それから頻繁に連絡を取り合い、互いに可能性の指向の方向をさぐりながら徐々に構造に関する視点が結ばれてゆきました。それを試す為初めて新潟にも足を運びましたし、そこで得られた思考、アイディアの原形はこの作品にも反映されています。当初、この曲は今の段階よりもはるかに荒削りでその組織法にも稚拙な影が色濃く出ていました。それを洗練させてゆくのは僕たちの当然の目標でもあり、また、それは為されなければならないものでした。単純に「続けて」ゆける、つまり持続させるにたり得る根拠がそこに存在しなければそれはたちまち動きを止めてしまうからです。それは「死」を意味します。あらゆる意味において。幸いにして、それを為すために複数の同作品の発表の機会が持て、その度に対話が為され、今ある姿に組織されました。今ある洗練はさらに洗練を赦す洗練という意味で、ここに在ります。
同シリーズには福島諭作曲の「Amorphous Ring I」が既にリリースされています。2つの作品にはあえてミニチュア・スコアをパッケージし、その作品の構造を表白しています。

今もこのシリーズは継続しています。そこに現れる「何か」を僕自身も楽しみにしています。


福島諭さんの記述

http://mimiz.org/index.php?ID=640





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contempt for soprano saxophone and computer」

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「Amorphous Ring I」

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