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枯れた知識の水平思考 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-10-15

WiiMusic発売に寄せて

オイラの最も敬愛するクリエーターである宮本茂は、発言も興味深いものが多い。

その中でも特に印象的だったものを、ちょっと長いが引用してみよう。





任天堂って

レースゲームを何本も出してるじゃないですか。

マリオカート』とか、『F-ZERO』とか。

そのときの話なんですが、手を変え品を変え、

レースゲームを出していくときに、いつも、

「順位をなくしたい」と思うそうなんです。

(中略)


でもそこで話は終わりじゃなくて、

「でもね」って違う話を始めるんですよ。

そういうフォーマットがきっちりできてるものは、

やっぱり力強いしすばらしいんだから、

そこはあんまり崩すべきではないんだと。

でも崩すことが冒険であり

トライアルなことなんだ、って言ってて。

で、よく若い人とか経験のない人は、

ただ単に崩したいと思って、崩れすぎて、

わけわかんないものになることが多いんだと。

だから、崩すために挑戦することは大事だけども、

崩しすぎてわけわかんなくなるくらいだったら、

商品としてちゃんとまとめるっていうことの

ジャッジができないと、ゲームは作れないって。

もう、そのとおりですよね。





この発言は、ほぼ日

ほぼ日刊イトイ新聞 - 樹の上の秘密基地。

↑ここのインタビューから抜粋したもので、ゲームクリエーターの西健一という方が、宮本茂に実際に会って言われたことを、もう一度語りなおすっていう形なので、実際の発言とは、若干異なる部分があるかもしれないのですが、オイラはこの発言がすごく好きだ。宮本茂というクリエーター本質をとても端的に表していると思う。若い人とか経験のない人は〜のくだりなんかはすごく耳が痛いね。


 宮本茂という人は徹底的に根本的な部分からゲームというものを問い直す。「順位の無いレースゲーム」なんてほとんど言語矛盾じゃないか?

 そして、宮本茂という人は、決して新しいってことだけに足を掬われて、奇を衒っただけの作品作りもしない。彼ほど地に足をつけたクリエーターはそうそういない。


 彼の作品や、発言などを熱心に追っていると、徹底して、根源を見つめること、そして、地に足をつけて努力し続けるってことが如何に大切なことかを思い知る。この辺は、横井軍平譲りな感じもする。


 このインタビューがほぼ日に掲載されたのは、2003年のことだ、もう5年以上の月日が流れた。5年後の今日は、WiiMusicが発売する日だ。オイラは、このゲームこそが、宮本茂が追い求めた「順位の無いレースゲーム」の一つの答えなのではないかと思う。正直言うと、この発言を初めて目にした時、オイラはさすがの宮本さんでもそれは無理じゃね?とか思ってしまった。


 しかし、彼は、レースゲームでこそないが、とうとう「順位の無いゲーム」を一つの商品にまとめ上げてしまった。


 こんな心地よい敗北感を味わえることってなかなか無い。だからオイラは宮本茂を、任天堂を、追いつづける。WiiMusic、堪能させて頂きます。

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