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暗号、数学、時々プログラミング このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-06-22

【第3話】プログラミング仲間が増えちゃった!

| 01:02 | 【第3話】プログラミング仲間が増えちゃった!を含むブックマーク


「なーに見てんの?」

いきなり横から本を奪われた。昼休みの静かな読書を中断され、少しイラっとしつつ僕はその犯人を確認する。

「・・・なんだ、ミラっちか。」

クラスメートのミラっちだ。成績優秀でいつも学年トップ。なんでもお父さんがドイツ人だとかで、栗色の髪に白い肌という日本人離れしたルックスの持ち主だ。おかげで、大抵の男子にとっては近寄りがたい存在らしい。まぁ、確かに黙ってれば美人だよなぁ、、と思う。そんな彼女だけど、僕には結構話しかけてくる。多分、好きな本の趣味が合うからかな?

「なんだ、ってなんかムカつくんですけど」

ミラっちが不満そうな顔をする。うーん。なんだか簡単には本を返してくれそうにないな、、

「えっと、、どうかした?」

僕がミラっちの方に向きを変えようとする前に、ミラっちが僕の机にぴょんと腰掛ける。

「へー。なになに。プログラミングの基礎、、ふーん。アンタ、プログラミングとかやってんだ?」

本を片手にじろじろと僕の顔を見るミラっち。

「うん。ってか、その本は大切な借り物だから返してくれないかな?」

ヲタとか言いたきゃ言えばいいさ。少し面倒になって僕は立ち上がる。

「へぇ、、『大切な借り物』なんだぁ?」

と言って、本を閉じたミラっちは、あっさり僕に本を返してくれた。あれれ、予想外。いつもならもっとカラんでくるのに。

「ありがとう」

このまま読書を再開するのもなんだしな、、と思い、僕は受け取った本をとりあえずカバンにしまうことにした。そして椅子に腰を下ろす。

「何?ミラっちは、プログラミングとか興味あるわけ?」

「ないよ」

即答かい。。

「でも、、、」

と、ミラっちが続ける。

「それは単に知らないから、かな」

ミラっちの顔が一瞬だけ真面目になる。そして僕は、そんなミラっちに見とれてしまう。

「と言うと?」

少し慌てて僕は先を促した。

「んー。。」

どう説明したものか?って感じでミラっちが少し考え込む仕草をする。こういう時には決まって人差し指を唇の辺りに持っていくのが彼女の癖だ。僕は黙ってその横顔を見ながら答えが返ってくるのを待つ。

「何かゲームを作るとか、絵を描いてみるとか、そういうコトには興味ないんだけど、、、」

なんだかミラっちにしては慎重に言葉を選んでるように見える。

「うん?」

「もし、プログラミングを覚えることで、、そうね。例えば、手作業じゃとても出来ないようなデータを処理するのにコンピュータを使えるようになる、とかって話なら興味あるかも。ほら、数学の4色問題って覚えてる?」

「ああ、、確か前に貸してもらった『フェルマーの最終定理』に出てきたアレのことかな?」



「そうそう。それそれ」

ミラっちが嬉しそうに目を輝かせる。本当にミラっちは数学ネタになると生き生きしてくるよなー。

「あー。そういう事なら、僕が今やってる事に近いカモ」

「そうなの?」

俄然興味が沸いてきた感じのミラっち。

「僕もまだ詳しくは理解してないんだけど、『プログラミングの基礎』では『ダイクストラ法』ってグラフ理論にあるアルゴリズムを使って、地下鉄の最短経路問題を解こう!ってプログラムを作るのが目的になってるみたいだからね」

「へぇー。それ面白そう!」

そう言って、ぴょんと机から立ち上がるミラっち。

「ね、それアタシにも教えてよ!」

「いやぁ、、、僕も勉強始めたばっかりだし、、、」

本気で困る僕。教えられる程のコトがあるとは思えないしなぁ。。。

「なんでー。ケチー」

不満顔を隠さないミラっち。あー、こうなると聞かないんだよなぁ・・・

「あ!」

ミラっちが何か閃いたような顔をする。なんだか嫌な予感がするぞ・・・

「アンタさっき、その本は『大切な借り物だ』って言ってたわよね?」

「う、うん。言った、、ね」

ミラっちの勢いに、ちょっと気圧される僕。

「で、アンタは今、独学で勉強してるワケ?」

す、鋭い。。

「いや、、実はある人に教えてもらいながら進めてるところなんだ」

やっぱりねー、とミラっちは勝利を確信したかのような笑みを浮かべる。あれ?この流れは・・・?

「じゃあさ、、」

と、ミラっち。この続きは聞かなくても分かる。

「アタシも仲間に入れてよ!」

「えー。。」

予想通りの注文に僕は困った顔をしてみせる。でも、、

「イイじゃん! ホラ、人数多い方が勉強になるでしょ?」 

すっかり乗り気のミラっち。これは断ったら怒りそうだなぁー。でも、喧嘩するような話じゃないしなー。

「うーん。でも、リンダさんに聞いてみないと・・・」

困ったなぁ。。

「リンダさん? ・・・って誰?」

ミラっちが身を乗り出して顔を近づけてくる。

「僕にプログラミングを教えてくれてる先生だよ」

ミラっちの顔が近すぎて、思わず椅子からズリ落ちそうになる僕。

「ふーん。。。女の人なんだ?」

少し考え込む素振りを見せるミラっち。

「うん。塾のチューターでさ」

なんとか体勢を立て直しつつ返事をする僕。

「その人は・・・キレイな人なの?」

ここに来て思わぬ質問をするミラっち。下心があるんじゃないかと思われてるのかな? うーん、全くないというとウソになるような、ならないような…

「いや、、どっちかって言うと可愛い系じゃないかな。。」

どう説明したものか考えつかず、とりあえず無難に返してみる。

「ふぅーん。。アンタ、そういう系がタイプなんだ?」

「そういうんじゃないよ」

へぇーっ、と言いながら僕をジロジロと見るミラっちに、なんだか恥ずかしくなって反論を探す僕。駄目だ。。なんか何を言っても逆効果な気がする・・・

「なんかますます興味沸いてきたなー」

と、追い討ちをかけてくるミラっち。あー、このままリンダさんに会わせると、なんか余計なこと言いそうだなぁ、、

「いや、本当にそういうんじゃないから! それに、、」

「・・・それに?」

「それに、ほら。ミラっちに勝てる美人なんて、なかなか居ないってば」

嫌な流れを断ち切ろうと必死になった僕の言葉は、予想以上に効果があったみたい。

「! バ、、バッカじゃないの!?」

ミラっちは真っ赤になって、わたわたと立ち去っっていった。あれ?なんか僕、変な事いったっけ?


・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・ってワケでツルカメ算が出来るようになるワケさ」

「なるほどねー。」

グラスの爽健美茶をストローで飲みながら、画面を見つめるミラっち。リンダさんとの勉強会前に今までやったところを復習もかねて教えろと言うので、ミラっちの家の近所にある喫茶店「ガロアの時間」に来てるところだ。数学好きのオーナーはミラっちの家族と親しいらしく、長居しても怒られないって事で勉強場所に選んでみた。このお店、コーヒーも美味しいしなかなかイイかも。

「ちょっと自分でやってみて良い?」

勝手に類題を考えてプログラムを改造しだすミラっち。「教えろ!」って言っても、完全に受身じゃないからミラっちとの勉強はやりやすいな、と思う。それに質問も鋭い。僕が読み流してたようなところで、ハッとするような指摘をくれたりする。やっぱリンダさんの言う通り、他人に教えるって凄い勉強になるんだなぁ。。。

「そうだね。イイよ」

ミラっちが復習してる間に、僕は次の予習をしておこうっと。教科書を取り出して読み始める僕。えーっと、、条件分岐のところまでは読んだから、次はエラー制御の話だったな。。



次回につづく。

camlspottercamlspotter 2009/06/25 10:21 OCaml ベースの定理証明器 Coq による四色問題の証明が Benjamin Werner と Georges Gonthier によってなされています。Benjamin は日本語がちょっと喋れるんだよ。http://en.wikipedia.org/wiki/Four_color_theorem#CITEREFGonthier2008

hamatsu1974hamatsu1974 2009/06/25 14:44 おおっ!それは面白そうなネタですね。なるほど、やっぱりCoqってOCamlベースだったんですか。アレコレ興味が分散すると危険なので今は敢えて挑戦を控えますが、いずれチェックさせて頂きます。

osiireosiire 2009/06/26 02:24 ミラっちも気になるけど、喫茶店「ガロアの時間」が妙に気になる...。すごく貴重な時間が過ごせそうな名前ですなぁ:P

hamatsu1974hamatsu1974 2009/06/26 08:20 おおっ!もしかしてガロア好きですかっ?! 「僕には時間がないんだ」の名台詞は泣けますよね。そんなガロアにゆっくりしてもらいたかった、、というオーナーの想いが込められたお店の名前なのです。