2011-10-27 鉄火丼、大阪屋、しまむら、セロハンテープ、造花の花
今日一人、退所して行った。
一週間前にそれを知ってからみんな、
「さみしい、いなくなるとさみしいねえ。」
と毎日毎日言っていた。
仲のよかったある一人は、それを言いながら時折涙を流していた。
本人は今回の門出がとてもうれしいらしい。
ここ一週間上機嫌だった。
そして、次の先の世話人さんと初日の夕飯に自分の好きなものを作ってくれる約束をしたそうで、
「あのねえ、鉄火丼を作ってくれるんだ。」
という言葉を私は、一週間の間に3回は聞いた。
私は鉄火丼も好きだし、あと好きな食べ物はと聞かれたらエビと答えるけど、
そこまで心待ちにできる大好きな食べ物としてエビがあるだろうか。
昨日のおやつの時間はさよならプチパーティーだったので、
そういう時はケーキが出るらしく、
「今日は大阪屋のケーキだ!」
とみんな喜んでいた。
そして、今日はさよならの会があった。
「珍しい。普段とぜんぜん印象違ってて。シックで素敵ですね。」
と言ったら、
「しまむらで買ったんだ。ありがとう。」
と嬉しそうに言っていた。
折り目が付いていて、たぶんあれは新品だ。
そして、この世界では、私が使う、謙遜な意味合いでの「大阪屋」や「しまむら」とは違って、
純粋なフレーズとして、「大阪屋」や「しまむら」があるようだ。
さよならの会では、
食堂には「退所おめでとうございます」と書かれた紙の大段幕が掛けられていて、
50cm程の間隔で、セロテープが数層重なり合ったものが貼り付いており、
下の方は粘度が落ちた茶色くなったセロテープだった。
壇上の花があまりに色鮮やかに生き生きと咲いていたので、
不思議に思ってよく見たら、造花の花で、
花びらの上には、水滴に魅せた透明なシリコンの粒がポツポツと乗っかっていた。
形式的儀式が執り行われるこれらの痕跡の背景に、
いろいろな個性を持つ人たちの旅立ちが詰まっているようだった。
式には都合上参加できなかったが、
人のアーチをくぐって、部屋の荷物と一緒に車に乗って、華々しい門出だったそうだ。
月並みだけど、健康で穏やかな一日一日を日々送ってほしい。
それくらいしかない。











