学会初日

8:30頃宿を出て徒歩で会場に向かう.博物館で受付を済ませ,休憩室で今日のシンポの進行スケジュールを確認する.吉富さんと雑談と相談.評議員会に出て,一般講演を2題聴き,昼休みになった.杉浦君がいたので,パソコンの接続を確認してもらい,安心する.休憩室で川野君に会い,打ち合わせをする.彼は講演の後帰ることになっているので,ちょっと雑談もしたが,あまり時間は無かった.あわてて総会会場に移動する.
総会に出席し,授賞式と受賞講演を聴いた.マルカッコウの話しはよくまとまっていて,わかりやすかった.
14:30からはいよいよシンポ「甲虫類の知られざる生態」である,今回,進行役をするので時間通りに進めなくてはならない重要な役である(会場の美術館を約束通りの時間で退出する必要あり).しかしながら内容そのものについては発表者が決まった時点で成功間違いなしと思っていた.会長挨拶にはじまり,私が進行を説明して最初の講演が始まった.
最初は川野さんによるゲンジボタルのコミュニケーションの講演である.以前から個人的にいろいろ話しを聞いていたが,まとまって聞くのは初めてだった.25分では時間が足りない内容だったが,とても興味深い話しだった.詳細な観察は彼の仕事が初めてだろう.調査の苦労話だけでも面白い話しになること間違いなし.
次は生態学会や昆虫学会で若手賞を取っている杉浦君の講演である.彼が昆虫少年の時からの付き合いであるが,立派な生態学者に成長していて本当にすばらしいことだと思う.いろいろな甲虫のネタを持っているが,今回はクロカタビロオサムシの鱗翅類幼虫の補食について動画を交えて話しをしてもらった.公開シンポだったので,一般参加者にもかなり強烈な印象があったようだ.
3人目は岡大の岡田さんである.地元の研究者でもあり,実行委員会の推薦もあったので,講演をお願いした.私は実は初対面であった.ヨツボシケシキスイの繁殖戦力を膨大なデータを元に説明していただいた.樹液の雑甲虫がこんな生態をしていたのかと,驚かれた人も多かったのではないだろうか.質問で出た雄大顎の非対称性については「最後まで理由を解明できなかった」と解答されていたので,まだ研究の余地はあるのかもしれない.
最後は開催者(実行委員会)から,越山さんがアカマダラコガネの生態を講演していただいた.すでにいくつかの報告が出ているが,ごく最近の成果も交えて話しをしてくださり,肉食魚食性の鳥類の巣に普遍的にいる可能性まで言及していた.最後は具体的な発見方法まで伝授して頂き,甲虫学会らしいまとめだったと思う.
講演のあと,残り時間でパネラーのみなさんにコメントをしてもらった.大学教員の立場から「虫ばっかり採るだけではダメで,英語もちゃんと勉強してね」というこれから進学しようとする人たちへの指摘は,現役の大学生や大学院生にもあてはまるメッセ―ジだったと思う(そして,私にも...)
懇親会は盛大で,いろんな方からシンポがおもしろかったと言ってもらえた.大成功だったと思った.
公式(?)行事は2次会までセットされていて,これに参加してから宿に帰った.