『理系のトップはなぜダメなのか』

 鳩山・菅の両首相と著者自身を引き合いに、理系のリーダーが陥りがちな失敗とその対策について述べた本。
 主な想定読者は理系人に悩まされる文系らしいので、本書でとりあげられている理系の困ったトコに、むしろ共感して読めてしまった自分はかなり文系成分が多いようだ。

 ただ、この本で取り上げられている特徴の多くは、(失礼ながら)理系人としてもいささかレベルの低い人物にしか当てはまらないように思える。
 たとえば「論理で白黒つくと思っている」とか「実験すればすぐ結果が出ると思ってる」といったことが特徴に挙げられているが、こいうのはせいぜい大学四年生までの認識ではないかと思う。それなりのレベルの課題に取り組んだことがあれば自然現象がそんな単純なものでないことを思い知るのではないだろうか?
 先の原発事故直後の無茶苦茶な対応にしても、非常時における行動原理に関する知識の不足と論理思考の欠如が原因であって、理系の特徴ではないと思うのだが…。(実際、うちの親でも「指揮官がのこのこ現場に行くなんてアホや、現場の迷惑や」というくらいのことは分かっていた。)

理系のトップはなぜダメなのか
諒 純也
阪急コミュニケーションズ
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