宇宙研一般公開はワクワクの連続

2010宇宙科学研究所一般公開[宇宙系]


今回の目玉は「はやぶさカプセル」ですが、個人的にはイカロス君も見所いっぱいで、すごかった。
カプセルは1日目のお昼ちょっと前に列に参加し、約2時間ちょっとで見学



カプセルと一言で言っても、カプセル本体とそのケース、ケースを減速させるパラシュート、機器類、ヒートシールドの大きく分けて4種類
この中でオススメなのはなんと言っても黒こげのヒートシールド!宇宙から帰ってきたな〜って実感
さらにこのヒートシードも空中でぱかっと分かれた前部分と後ろ部分の2個からなっている
カプセル君は3000度の高温から中身をまもったのですが、
高温の大気にさらされた先端部分は網の目のような模様が焼け残り、そのすさまじさを物語っていました

この編み目模様にはいろいろな技術が詰まっていて、ほんとはあまり見せたくなかったって噂。いやあれは接着したただの跡で燃えた厚さの方が重要なんだとか、一部報道が近寄って撮った写真を自主規制させたとか、oazo以降は一般には公開されないかもしれないとか…なにかと噂が渦巻いています
まあ、報道でもアップの写真は見ないし、一般人の撮影は禁止されているし、何かあることは確かなんでしょう

僕個人は、カプセルは研究材料を未来に繋ぐ卵であって、「はやぶさ」の魂はこもっているように実感はできなかった

やっぱり僕の中の「はやぶさ」は、ウーメラ上空でその使命を全うし、燃え尽きてしまったのだろう


で、気分を切り替えて僕にとっての第二の目玉の「イカロス君」
今回の宇宙研一般公開は「イカロス君祭」!
A棟展示室ではどどーんとイカロス本体にセイルを巻き付け途中の展示がされていた。
良く良く見ると、セイルは1枚ではなく、しっかり4枚が巻き付いており、イカロスチームの本気が見て取れる。


バリバリ運用中なのに、ここまでがっちり展示しているとは思っていなかった。
1枚のセイルは並べた机に伸ばされており、全容を見ることができます。
何気に普通のクリップでセイルを束ねていたり、ブックエンドでセイルを支えていたりとか、
宇宙研クオリティーを垣間見せるすばらしい展示です。
(予算なくても時間なくても人手なくても睡眠時間削っても工夫して見せることができるものは見せちゃおうって姿勢)

分離カメラ(通称イカメラ)とか、先端マスとか、手が届くぐらいの距離に全ての展示がされており、触りたい衝動をどれだけの人が理性で抑えたことか。あの2日間のイカロス君ブースでの理性の総エネルギー量で観測ロケットぐらいは(略

構造試験棟では、実物に限りなく近いセイルを広げていた
改めて見るとでかい。4枚のうちの1枚だけではあるが、本物の持つ迫力は充分伝わる
イカロスくんのセイルには、姿勢制御のための液晶デバイスって部品が付いているんだけど、展示用にオンオフをさせている。オンにするとスリガラス。オフにすると透明になるというデバイスで、これが回転するセイルの外側に2列付いていることで燃料を使わずにイカロス本体の向きを変える事ができるんだ

良く良く見ると疑問点がいくつか出てきたので、プロジェクトの方に聞いてみた。
・裏にも(金色面)薄膜太陽電池が電池が貼ってあるけどなんで?
薄膜太陽電池はセイルに貼るとソリが出てくる。反らないように裏っ側にもおなじ電池を貼って対策している(一瞬贅沢だな〜と思ったけど、専用品を開発するよりずっとずっと安上がりなんだろうな〜個人的予測で3桁ぐらい)

・表面に変なキラキラシートが9個付いているけどこれ何?
サイドカメラで撮影するだけでセイルの開き具合が分かるようになっている
(この宇宙機はセイルがキレイに開くかが一番のキモ。分離カメラって真上から撮影するカメラも2つ搭載しているが、2回しか使えないので、サイドカメラで開き具合が分かる事が重要)

・最後の疑問は森先生に聞いてみた
イカロスはこのまま飛行を続けると、太陽の向こう側に行ってしまうが、技術的にどの位の距離まで運用ができるのか?(通信可能なのか?)」
太陽の真裏に入ってしまう数日の運用はできないが、基本的に燃料が無くなるまでは半永久的に可能。
でも燃料の前に予算が切られる可能性が大きい。動くのに運用できないのは悔しい
とのこと。

いつものニコニコ顔だけど、表情が微妙にい変化し、あんな複雑な声質で話しをする先生を見たのは始めてでした。

はや2、そしてその向こうのもっと遠い探査など、日本独自の技術の未来がこの人にかかっているんだ、と、そしてその情熱を感じた一瞬でした。