希望を勝ち取る やさしいベーシック・インカム

自分たちの力で日本の未来を良い方向へ進めて行く、ということが可能なのではないかと思えてきた。

やさしいベーシック・インカム

やさしいベーシック・インカム

本書はそのタイトル通り、ベーシック・インカムの概念とその効果、実現手段について、平易にかつ論理的に説得力をもって書かれている。なので、そういった内容については本書を一読することに譲って、僕が思ったことを。

日本が抱える問題のソリューション

ベーシック・インカムの要諦は

  • 低実施コスト
    • 国民全員に同額配布というシンプルな方式
  • 仕組みとしての矛盾がない
    • もちろん万能ではないであろうが、破綻が確実な年金制度よりは良いのではないかと。
  • 広いセーフティネット

ということかなと。


これって何に効くかと思ったら、ここ最近の日本が抱えている「漠然とした未来への不安」に対してのなのではないかと。「漠然とした不安」というのを具体的な現象としてあげてみると


ベーシック・インカムで描ける未来の中で、最も素晴らしいと思ったのは、この制度ができることによって各自が好きなことを仕事にできるようになるということ。
伝統芸能、技術の継承がこれによって改善するのであればとても素晴らしいし、ベンチャーのインキュベーションという意味でも、国がインキュベーション期間をつくるよりも、こちらの方がうまく行くのではないだろうか。


リスクを取る、失敗しても復帰できるという社会の方が、国全体として成長できるというのはシリコンバレーが示してくれているが、日本は文化的にも経済状況的にも失敗から復帰しやすい文化(転職や再雇用の柔軟化)が定着しなかったと思う。それはアメリカのやり方をマネようとしたからで、このベーシック・インカムであれば日本人の考え方にすんなりとフィットしていくのではないだろうか。


また今リスクを取らないで普通に働いている人たちは、グローバル化が進んでそもそも仕事がインドや中国といった優秀で安い人材に持っていかれてしまうという不安を持っている(少なくとも僕は持っている)。そもそも仕事がなくなってしまった時のセイフティーネットとしても重要だし、興進国の人材と競争するためには彼らにできない独自なことをやるしかない。そういう新しいことをやるリスクを取るためのセイフティーネットとしても、ベーシック・インカムはあるといいなと思う。そしてそういう人材がたくさん出てこないと、日本のプレゼンスはどんどん下がっていくように思う。

国を支えて国に頼らず

ベーシック・インカムがいいと思うもうひとつの点が、これがお上からではなく国民のリーダー的存在の人たちから上がってきていること。世界がこんな大転換の時期に入って、今の日本も明治維新期くらい変動の時代になっている。


「国を支えて国に頼らず」。先日、某忘年会議の締めの言葉として福沢諭吉の引用が使われましたが、、個々人がその思いをもって、行動することが大事だなと。ベーシック・インカムが実現すれば、その大きな一歩になると思った。