感想 異識 『あっちこっち 3』

あっちこっち (3) (まんがタイムKRコミックス)

あっちこっち (3) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。いつにもましてつんつんふかふか。基本メンバー五人が楽しく日常を謳歌する、説明省けるから楽なので言ってしまえば、きらら系らしいゆるやかな作品も、この巻で3巻目。そうはなっても肩を張らずに自然体で、いつもどおりな楽しげ毎日の中、つみきさんは伊御さんにラブ光線発射してるけど気づいてもらえない、という基本路線も続いております。相変わらず素直に好意発せないつみきさんはやおら可愛いのですが、流石にこの展開も食い慣れてきたか、とつい思っていたら、この巻終盤で「油断があったようだね」と思ってしまう出来事が!
 なんと、朴念仁というか好意に気づかない天才だった伊御さんが、が、がー!
 というほどの事はしなかったんですが、ちょっといい雰囲気、というかキスとか抱きしめとか、そういうのをしそうな雰囲気になってしまいました。どうした伊御さん! とうとうくらっときたのか! とこちらもちょっと猛るものがありましたが、その後のフォローでは伊御さんも自分でよく分かってないご様子で戸惑っておられました。
 しかし、それ以上に戸惑うのは読者側ですよ。今まではつみきさんがモーション的なものをかけるものの、通じない&その行為が気恥ずかしいでふかー!するつみきさん、という王道なパターンには、伊御さんの通じない性能が必須だったわけですが、それが実際に通じるかもしれない、というパラダイムシフトが起きたんですから、これはもう。今までの通じなかったモーションが全て布石として立ち上がってくる、とでも言いましょうか、それらが積み重なって伊御さんを陥落する所まで行ってしまうのか、となんだか感動すら覚えてしまいます。そして、今後つみきさんがモーションチックな行動したら、単に通じないんではなく、見えないけど実は効果を与えている、という風に受け取れるようにもなってしまうわけです。二人の関係が更にニヨニヨできるものへとなった、という意味ではとても意味深い巻となったと思います。
 さておき、今回の真宵ですが、今回は当然つみきさんの恋路に不要なちょっかいをかけてぶっ飛ばされるという基本路線はそのままに、猫にタイガーアパカッされたり、不意打ちのフリスビーで地獄の断頭台されたり、腹の鳴りで恥ずかしい目に遭ったりと、縦横無尽でわりと酷い目にあっておりまして、ああ真宵は酷い目に遭ってこそだよなあ。と納得することしきりなのでありました。