感想 中村哲也 『ドラゴンステーキ! ランチ』『同 ディナー』

ドラゴンステーキ! ランチ (TECHGIAN STYLE)

ドラゴンステーキ! ランチ (TECHGIAN STYLE)

ドラゴンステーキ! ディナー (TECHGIAN STYLE)

ドラゴンステーキ! ディナー (TECHGIAN STYLE)

 大体の内容。「ファンタジーでラブ!」序盤戦はラブと言う方向は薄く、ファンタジーしたいという欲求がストレートですが、中盤からラブ! と言う方向に舵を切って、なかなか上手くいけない二人の関係性を描いた漫画となっており、つまりしたい事がぶれてるんじゃね? という想いにも囚われるのですが、何せ同人誌として6年近く掛かって終わった作品なので、それもやむなし。やりたい事をやってたらぶれちゃうのも仕方なし。それでもファンタジーもラブも描きたいという欲求も捨てきれずに混ざった結果、意外といい収まりになっている漫画、それが『ドラゴンステーキ!』なのです!(勝手に断定)
 さておき。
 やりたい事やったもん勝ちとは忍たま乱太郎OPの名句ですが、この漫画も基本的にやりたいことをぶっぱしていたという印象が強かったりします。先にも書いたように、まずファンタジー書きたいがー!という事でダンジョンと繋がったレストラン、という基礎を上手く使った話をしてたんですが、徐々にダンジョン潜る理由が形骸化し、そしてとうとう潜らなくなり、気がついたらラブ!な話がしたいんだー! という方向性に突入していたりします。個人的には序盤のダンジョンに潜る系の話を女の子が可愛いというプラス要素に浴していた辺りの方が好きで同人誌買ってた分類の人なので、ラブ!に傾倒していくのは若干の置いてけぼり感があったりしましたが、それでもそのラブな話が実際いい感じ、デレデレでもツンツンでもない微妙な淡いと、そのせいですれ違う二人、というのが良かったので、ここはファンタジー方向を少なくしてラブになってもまあ良かっただろう! と上から目線を発動したいと思います。
 さておき。
 徐々にその中の一人であるリプトンに焦点が絞られてしまいますが、基本の三人娘のでこぼこ感は結構絶妙のバランスで、そこに主人公チェスターが入っていい感じにまとまってたのは良かったです。個人的にイヅナさんが眼鏡、巨乳、脚線美、黒髪、ツン、と、ど直球でたまりませんでした。後半出番がほとんど無くなってましたけどね! おおお…。このパーティーでいく、という形が『ディナー』序盤までの基本展開で、それゆえにその頃はまだファンタジー、特にダンジョン物というのを、というのを意識してたのかなあ、とか。返す返すそのルートがリプトンルートに絞られたのが痛し痒し。『ディナー』はそういう意味では違う漫画とすら言えるくらいですが、それでも『ドラゴンステーキ!』内で出来る事の範疇であった、と言うのを見ると、いい舞台設定だったのだなあ、とか。個人的には他人に害が無い吸血鬼さんが出た辺りが完全なルート分岐だったんだなあ、と勝手に理解していたりも。あの辺、そして『ディナー』最後に収録された描き下ろしを見ると、そういう風に結末付けたかったのかなあ、とか、邪推が発露します。いいエンドでしたけども! けどもねえ!
 とかなんとか。総合的には好きな漫画だから、あんまりグダグダ考えても仕方ないか…。