感想 水瀬るるう 『大家さんは思春期!』1〜2巻

 大体の内容「こんな可愛い大家さん!」。大家さんのチエちゃんが大変可愛い。それが『大家さんは思春期』の最重要な部分であり、この漫画の最大の利点なのです。
 可愛いとはなんぞや。その答えは難しく、色んな所にあるけれど色んな所にあり過ぎて全くその全容が掴めません。ですが、その一端はこの漫画にあります。大家さんが女子中学生、というだけであふれ出る可愛さ。それがこの漫画の最大の魅力であります。大家さんなのに中学生? という最初の部分はすぐに解決させられます。単純に亡くなったおばあさんから大家さんの権利を託された中学生なのです。その辺は特に紆余曲折は無く、とにかく大家さんは女子中学生。その事実だけで、可愛いのですがそれでも、そんな無茶でもなんとなく大丈夫な気がするのは、チエちゃんのおかんスキルの高さからかもしれません。掃除洗濯料理とそつなくどころか中1という年齢に比例しないレベルで、店子の人達にそれらをやってのけます。でも、おかんという言葉から出るきつい系アトモスフィアはなく、年相応な可愛らしさと甲斐甲斐しさ、そして一生懸命さが出ていて、それゆえにおかん系の行動でも可愛いと思ってしまうんです。前田さんや白鳥さんならずとも、あるいはその心理が見えるが故にそれ以上にチエちゃんが可愛く見える。何を考えての行動か分かるせいで、いい娘っ子やわあ……。となる。それで可愛いに拍車が掛る。それがこの漫画の良さであり、勘所であり、カワイイヤッター・インシデントなのです。それがどれくらいか、というのは裏表紙の4コマで大体分かる仕様なので、それを見てこれはいける! と思ったら買っても全く問題ありません! と断言出来るのでお勧めしやすくて助かります。特に一巻のそれはまさしく王道のネタなのに堪らなくであり、ゆえにこの堪らなさこそ王道の力だ! と混乱しつつ断言出来ます。本当にチエちゃんの可愛い一点突破力の高さは天井知らずやで……。
 チエちゃんが可愛いばかりではなんなので、1巻と2巻とで良かった箇所の話でもします。
 1巻では料理同好会発足から活動開始の回が至高にして究極。なんだかノリで大量の豚汁を作る事になる、というどうしてそうなった回ですが、そこで友達とただ豚汁を作る、というだけで大変面白い。特に奇を衒った事はしておらず、本当に作ってふるまうだけ、なんですが、それで面白いんだから良く考えなくてもとんでもない回であるのは論を待ちません。そこにある高いレベルの納得性、蓋然性というのが、よくあるように内容を縛りそう、足引っ張りそうなのに、そうはならないんだからどんだけレベル高いことしているかという事ですよ。これぞ王道進行だ! とまた断言出来るレベルでありました。
 2巻では私服買うはずが浴衣に買ってもらう事に>お祭りに行こうかと思ったらアパート前でプチ祭りに>お祭り回! の三回がマストにしてベスト。私服回は白鳥さんが女性の見せてはいけない顔もいいんですが、私服の値段にそれでどんだけ他の物が買えるか思考になるチエちゃんが可愛く、プチ祭り回はどんどんとなし崩し的に近隣の人が集まっていくというチエちゃんの人望がまぶしく、祭り回は髪結ったチエちゃんが半端ではなく可愛くて可愛く、とどれも素晴らしく、且つそこへの流れがきっちりと決まっているのでの、通しての方が価値があるかと思います。でも、友達の家に行く回も単発では相当いい回でありました。温泉の素でテンションあがるチエちゃんは本当に素晴らしいし、恋話に全く疎いとかもいいです。三回のレベルの高さに比べると一段落ちるけど、そこもやっぱりいいなあ。チエちゃん可愛いなあ。
 と、やっぱりチエちゃん可愛いになる漫画。それが『大家さんは思春期!』なのです。

2014年04月10日のツイート