ネタバレ感想 邪武丸 『ありさデュエルバース』1巻


SHADOWVERSE ありさデュエルバース(1) (サイコミ)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「『シャドウバース』、始めます!」。中学1年生の誕生日に、念願のスマホを手に入れた羽宮亜梨沙さん(以下、ありささん)。それをもってやるのは、超人気スマホゲー、『シャドウバース』! ということで、女の子がシャドバをやっていく漫画。それが『ありさデュエルバース』なのです。
この漫画、ちょっとアトモスフィアがおかしい所があります。まず、この漫画のド基礎として、『シャドウバース』が超人気ゲーだということです。それがどういうレベルかと言うと、中学校にシャドウバース部(以下SB部)がある、というレベルです。これを聞くと、んなバカなことがあるかよ! というムーブに移行される方も多いかもしれませんが、それは早計です。これはむしろ、この漫画のリアリティラインがどこであるか、というのを端的に、そして素早く伝えるテクニックであると言えます。
では、そのリアリティラインとはどこか、というとコロコロボンボン系、所謂ガキ漫、ジャリ漫のそれです。油断すると、ホビーで全国大会制覇すら突破して世界征服とか言い出す、それのリアリティラインなのです。そういうことを、学校にSB部があるという事実でするっと示し切っているのです。なので、このSB部という部活に対してどういう気持ちを持つかでこの漫画が楽しめるかどうかがジャッジされるのですが、個人的にはコロボン系の薫陶を受けた身なので、そういう所作なのね! オーケーよ! と笑顔でサムズアップ出来ました。
とはいえ、この辺の機微が合わない人もおられますでしょうから、まずサイコミで上がっている1話を見て、それで合っているかどうか確認するのがベターなムーブかと思われます。
さておき、この話について。
SB部という大ハッタリを初手からぶちかましてくるこの漫画ですが、しかしその道筋は全く平坦ではありません。まず、ありささんが通う学校のSB部は廃部になっています。しかも何かしら問題があったらしく、素直に復活と言う形にはならない模様。なら、実績だよう! ということで店舗大会へと! という流れになっております。この中に、インターミドル出場者とか、SB部に何かあるご様子な、大会荒らしっぺえことしている一条さんとかが絡んでまいりまして、単なる店舗大会、実績作りという以上の何かが醸成されています。果たし一条さんは活動停止になったSB部とどういう関わり合いがあったのか? インターミドル出場者の人たちとは一体いかなる因縁が? と言う部分を横の流れとしつつ、ありささん達が店舗大会を勝ちあがっていく、という筋はちゃんと押さえられていまして、成程巧みじゃねーの。と謎の跡部様台詞が出るものがあります。
さておき。
ゲームでの対戦内容については、そういう基本の筋がまず主体なので、深堀りはせず、案外さらっと流してしまっています。そこを勿体ないと取るか、話の腰を折りすぎないようにしていると取るかで若干の判断の差が出てくるかとは思いますが、これは次の巻とかでガチで戦う部分でフォローしていくのか、このまんまのノリで対戦に注力し過ぎない雰囲気で行くのか、という楽しみにもなります。まあ、サイコミので見れば一発なんですが、単行本待ちなんです! がん待ちなんです!
さておき。
邪武丸先生というと百合い話を描く人だという個人的な認識ですが、それについてはこの漫画ももれなく、であります。ありささんとこよりさんのお友達アトモスフィアから少し漏れるという正統派百合い雰囲気とか、なんというか素晴らしいですが、個人的には先生ズの醸し出す百合い雰囲気がすごくいいです。片方だけがやたら意識しちゃっているという、これまた正統派の様を見せられると、お美事! お美事にござりまする! と一斉にはやし立ててしまいたくなります。
攻めが激強、守りは激弱。萌え。
と書いて、この項を閉じたいと思います。