2008-07-31
9/11-13 第41回公的扶助研究全国セミナー開催要綱
広がる貧困の中で生存権保障・生活保護の将来像と現場の課題を考えよう! 〜市民とともに歩み、誇りと働きがいのある福祉労働をめざして〜
《日 時》2008年9月11日(木)〜13日(土)
《会 場》中京大学名古屋キャンパス (名古屋市昭和区)名古屋市営地下鉄鶴舞線「八事駅」下車
《主 催》全国公的扶助研究会・第41回公的扶助研究全国セミナー実行委員会
《後 援》名古屋市・愛知県社会福祉協議会・名古屋市社会福祉協議会・名古屋市職員労働組合
《参加費》 一 般:11,000円(内訳:参加費 8,000円+資料代 3,000円)
公扶研会員:9,000円(内訳:参加費 6,000円+資料代 3,000円)
学生: 4,000円(内訳:参加費 1,000円+資料代 3,000円)
《受付期間》原則として8月15日(金)までに申し込みをしてください。特に宿泊を希望する方はこの期限を過ぎますと、宿泊のお申込みをお断りする場合がありますのでご了承願います。
◆セミナーの企画内容等について⇒ e-mail または FAXにて下記にお問い合わせください。
e-mail の場合 zennkoku_koufukenn@yahoo.co.jp まで
返信メールでの回答が基本になりますが、差し支えなければ連絡先の電話番号もご記入ください。
FAX の場合 072−232−1261 「名古屋市職員労働組合内 知崎・小池」まで
件名を「公扶研セミナーについて」と明記してください。後日、電話等での連絡・回答になります。
9月11日(木)全体会(中京大学4号館3階 431教室)
シンポジウム 「拡がる貧困の中で生活保護に何が求められているのか」
コーディネーター 木下秀雄さん(大阪市立大学)
シンポジスト ジャーナリストの立場から(依頼中)
シンポジスト 神谷眞功さん (名古屋市中川区社会福祉事務所)
リレートーク 〜貧困の根絶と人間らしい暮らしの実現をめざして〜
生存権裁判の現局面について(生存権裁判を支援する全国連絡会)
北九州市の生活保護行政はその後どうなっているか(北九州市社会保障推進協議会)
申請者・利用者支援のとりくみから見えるもの(東海生活保護利用支援ネット)
基調報告
9月12日(金) 分科会等 (中京大学センタービル 2階・7階・8階)
生活保護ケースワーカーのための初級学校(略称:初級)
初めて生活保護のケースワーカーになられた方々、もう仕事には慣れましたか?担当ケース数が多く、煩雑な事務作業に追われ、戸惑いの多い日々を過ごしながら、「ケースワーカーって何?」と思い悩んでいませんか?この初級学校では、ケースワークという仕事の“大変さ”や“楽しさ”を全国から集まった皆さんと共有化しながら、業務に対する視野を広げていただけたらと思っています。
【第一講】 「必要な人に適切な法の適用を―生存権保障と生活保護」 金杉典子さん (東京都福祉保健局保護課・保護係長)
【第二講】 「現場から考えること―ケースワークと実施要領」 津田康裕さん (名古屋市中村区社会福祉事務所・査察指導員)
=バズ・セッション(小グループに分かれての自由なおしゃべりの時間)=
◇学校長の補講: 中川健太朗さん (花園大学名誉教授)
◇先輩から一言: 仲地みどりさん(練馬区練馬総合福祉事務所・CW)
ケースワーク実践講座 「ワークショップ: 参加と共同のケースワーク」(略称:CW)
〜生活問題の解決と生活保護制度の改善へ向けたケースワークを手にする〜
生活保護のケースワークをどのように進めていけば良いのか困っている方、あるいはケースワークを洗練させたいと考えている方のためのワークショップです。被保護者が直面している生活問題は本質的には共通する部分を持っています。しかし、その現れ方は被保護者の個別性に規定されて多様であることから、固有の理解の仕方と援助の方法が検討され、実施されなければなりません。その手続きと援助過程の総体がケースワークだと言えるでしょう。この講座では、ワーク(演習)、グループ・ディスカッション、ロールプレイなどを組み合わせ、一日を楽しく、参加者のわかちあいが得られるような進行につとめます。運営の都合上、経験年数3年未満、先着順で40名の方に参加者を限定させていただきます。
講師:長谷川俊雄さん(愛知県立大学)
査察指導員リフレッシュセミナー「住民ニーズと通知の狭間で査察指導員はどのように取り組むのか」(略称:SV)
「加算、基準」の見直しに続き、「医療扶助運営要領」、「通院移送費」等、制度運用をめぐる見直しがおこなわれています。生活保護の現場で働く査察指導員は、厚生労働省からの通知に拘束されながらも、窓口に寄せられる住民ニーズにどう応えるか、「自立支援プログラム」をどう具体化するのか、そして経験の浅い地区担当CWをどう育てるのか、日夜苦労を重ねています。住民ニーズに直面しながら、矛盾に満ちた厚生労働省の方針のもとで、査察指導員はたくさんの苦労や悩みを抱えているのではないでしょうか。現場における諸困難にどう対処するのか、どう解決すればいいのか参加者との率直な意見交換をとおして今後のあり方を考えて行きます。
助言者: 武元 勲 さん (同朋大学)
政策研究講座「権利としての生活保護のゆくえ〜生活保護制度の在り方、“不正受給”を中心に〜」(略称:政策)
昨今、マスコミで貧困に関する報道が積極的におこなわれるようになり、生活保護制度をめぐる論議も盛んになってきています。それは「構造改革」路線を推進する立場からのものと、生活保護の出番を期待するものとのせめぎ合いの様相となっており、生活保護基準の在り方、「水際作戦」の是非、リバースモゲージや有期限保護等の動向、生活保護裁判、「不正受給」などの諸問題が取り上げられています。
今年の政策研究講座では、これらの問題を歴史的にとらえ、生活保護制度を権利として位置づけていく視点の共有化をめざしたいと思います。またその際、現場での働きがいややりがいとの関係で、制度利用者の暮らしをより良いものにすることをめざせるワーカーの育成という課題についても考えます。
コーディネーター: 大友 信勝 さん (龍谷大学)
問題提起者 : 尾藤 廣喜 さん (弁護士・生活保護問題対策全国会議代表幹事)、全国生活と健康を守る会連合会より(依頼中)
第1分科会(自立支援)「自立支援プログラムの現状と到達点、今後の方向性を考える」
〜利用者の立場に立った自立支援をすすめるために〜
利用者の立場に立った自立支援プログラムを中心とした自立支援については、この数年、全国セミナーでの分科会等における先進的な実践活動の紹介や問題提起が全国に広がっており、国の取り組みにも影響を与えてきました。そして2008年3月末、国は初めて、生活保護現場における社会福祉援助のマニュアルともいえる「自立支援の手引き」を明らかにしました。このような動向をふまえて、今回の分科会では以下のような企画を考えています。
<午前>ミニ・シンポ 「自立支援プログラムをめぐる現状と今後の課題」
シンポジスト:岡部 卓さん(首都大学東京)、池谷秀登さん(板橋区板橋福祉事務所)、渡辺 潤さん(大田区大田南生活福祉課)
<午後>各地の実践報告などを素材にして討論します。
コーディネーター: 岡部 卓さん(首都大学東京)
第2分科会 (保護基準)「生活保護基準(最低生活費)を考える」
生活保護基準(最低生活費)は、私たちの生活にとって焦点となっており、昨年から今年にかけて大きな出来事が続いています。第一に、昨年暮れの生活扶助基準引き下げの動きは、利用者や低所得者の方が自ら声を上げ、生活を底支えしている生活保護基準の役割が明らかになり、引き下げがストップされました。第二に、昨年は40年ぶりに最低賃金法が改正され、今年から最低賃金は生活保護基準を考慮(上回る)しなければならなくなりました。第三には、生存権裁判(老齢加算裁判)のトップを切って東京訴訟の判決が出されました。生活保護基準が私たちの生活に身近になるとともにその重みは増しています。こうした中で、生活保護基準での暮らしの内容や最低賃金での生活体験を検討し、生存権を保障する生活保護基準のあるべき姿、その社会的影響力、生存権裁判の意義等について考えていきます。
助言者: 金澤 誠一 さん (佛教大学)、竹下 義樹 さん (弁護士・つくし法律事務所)
第3分科会 (仕事づくり職場づくり)「市民の目線に合わせ、期待にこたえるための仕事と職場をつくる」
市民生活の現状に応えない制度運用が行われ、「漏給」や「濫給」が起こっています。真に適正な運用とは何か、どのようにすればそれが実施できるのかが問われています。また、市民の目線に合わせ、その期待に応えられるような仕事のあり方と、それを可能にするための職場づくりが求められています。「敵対」ではなく,当事者、住民、関係者から理解され、期待が寄せられるような仕事と職場をつくるにはどうすればいいのかを、生活保護の現場状況をふまえながら、一緒に考えてみたいと思います。
第4分科会 (制度運用)「ここまでできる、今でもできる利用者の立場に立った制度運用」
2008年度の実施要領の改正では、車の保有要件の緩和や住宅扶助の敷金等の中で火災保険料や連帯保証料を認めるなど、これまでの国民的な改善運動や現場からの要望が反映された改正がおこなわれました。しかし、その反面で通院移送費の支給を国民健康保険並み(事実上の全廃)とするなどの改悪がはかられました。これに対して、全国公扶研も含めて多くの諸団体が反対の声を上げ、厚生労働大臣が「事実上の撤回」を表明したものの、問題は未解決のまま現在に至っています。この分科会では、具体的な運用例をふくめたレポート報告を素材に、参加者の討論を通じて現行の実施要領の中でも利用者の立場に立った制度運用が「ここまでは誰でもできる」ということを明らかにしたいと思います。
助言者: 杉村 宏さん(法政大学)
(※)この分科会では、「生活保護運用事例集」(東京都福祉保健局保護課)を詳細に解説しますので、参加される方には、「生活保護運用事例集」を全員にお渡しします。その際に、参加費とは別に、印刷代実費負担として、2,000円をお願いします。(領収書はセミナー当日、お渡しします。)
第5分科会 (保護施設)「貧困格差の社会で保護施設のできること」
〜生活保護法第38条、各種保護施設の機能について考える〜
福祉事務所ワーカーにとって、施設を利用した後、地域生活へ移行するということへの認識がまだまだ低い現状のなかで、この間分科会では、救護施設の居宅訓練事業、保護施設通所事業を中心とした、施設利用者が「施設を出る」とりくみを着眼点に、積極的な保護施設の利用活用について論議展開してきました。今年は救護以外の保護施設、更生、宿所提供などの施設の実態論議とともに、それぞれに一定の役割と機能を位置づけられた各種の受け皿であるはずの保護施設が、今日の保護制度、不安定な貧困格差の社会情勢に、果たしてセーフティネットの一部分として機能しているのか、役立っているのかの疑問を投じつつ、それぞれの施設での一時的、一部的な利用等を視野に入れた「使われる場面からみた保護施設利用論」をやりたいと思います、どうぞご参加ください。
助言者: 中村陽二 さん (アメニティホーム夢野 総務課長)
第6分科会 (ホームレス)「野宿者支援における生活保護・福祉事務所の役割を考える」
2002年にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が施行され、翌年には国の基本方針が策定されました。その後、全国各地で自立支援センターやシェルターをはじめ、生活保護によらない新たな「ホームレス対策」が急速に展開しています。従来、野宿者支援の中心であった生活保護や福祉事務所の存在感が後退しているようにさえ見えます。しかし、生活保護や福祉事務所の役割は依然として大きく、野宿者の自立に大きく貢献すべき役割を担っています。国も、居宅確保時の敷金支給を認めた2002年の通知に記載されたホームレスへの生活保護適用時の留意点を徹底するよう実施機関に求めています。基本方針の見直しが進む中、野宿者支援における生活保護や福祉事務所の役割をあらためて問い直し、その課題を考えます。
助言者: 加美嘉史 さん (大阪体育大学)
第7分科会 (高齢・介護)「高齢者の暮らしと介護をめぐる問題状況と相談援助の課題を考える」
新予防給付と地域包括支援センターの導入を柱にした前回の介護保険制度「改正」と、2008年4月に導入された後期高齢者医療保険制度のもとで、介護と医療の給付抑制がすすめられ、生活や健康にかかわる高齢者の不安はかつてなく増大しています。このような状況の中で、高齢者に対する相談・援助、介護保険のケアマネジメントはどのように進んで来たのでしょうか? 大胆に言ってしまえば、必ずしも高齢者の権利を保障する方向で進んできたとは言い難いのではないでしょうか? ホームヘルパーによる生活援助サービスの制限などに見られるように、さまざまな給付抑制の理不尽さが議論されないまま、自主規制とケアマネジメントの萎縮が進んでいるのではないでしょうか? 高齢者の生活を見据え、高齢者の立場に立った相談・援助はどうあるべきなのかを考えたいと思います。
助言者: 石川 満 さん (日本福祉大学)
第8分科会 (障がい者)「今、障がい者の生活に何が起こっているのかをみんなで考えよう」
〜2009年の自立支援法見直しにむけて、私たちはどのように考え、何をするべきか〜
2009年には障害者自立支援法の見直しが予定されています。この見直しに向けて私たちは、これまで様々な問題が噴出する中で、まるでパッチワークのように継ぎ足し的な修正がおこなわれ、複雑化した現行のシステムを的確にとらえ、しっかりとした問題意識を持って対応する必要があります。一方、生活保護の通院移送費問題をめぐっては、多くの障がい者団体から抗議の声が上がっています。今回の分科会では、これらの諸問題について、行政や現場の職員、当事者などから多面的に話題提供していただき、全員参加型で「障がい者の権利と生活を守る視点」から討論することによって、理解や認識の共有化をはかりたいと思います。
助言者:池末美穂子さん(全国精神保健福祉会連合会−みんなねっと・マインドはちおうじ)
第9分科会 (アディクション)「あでぃくしょん(アルコール、薬物、嗜癖)とは?」
〜回復者の活動に触れ、グループワークを体験して回復を確信する〜
生き甲斐を喪失すると陥りやすいアルコール、薬物等への依存(アディクション)は世代伝承し、第二世代の依存症者やACOD(機能不全家族で子供時代を過ごしたトラウマを抱えた人)を次々と生み出します。近年、生活力に欠けたり社会生活に不適応なクライアントの影には、アディクション問題が見え隠れしています。そこで世代伝承の悪循環を断ち切り健康を取り戻すには、グループワーク、自助グループ等の効果が期待できます。この分科会では回復者の体験を聞き、ディスカッションミーティングを体験して頂きます。―自分が楽しめなければ、いい仕事はできない。いい仕事をしなければ楽しくない。―回復のプログラムは生き甲斐を見出します。クライアントにも関係者にも。
第10分科会 (母子・児童)「母子世帯、児童への『自立支援』と援助について考える」
2008年度も母子加算削減は実施され、就労支援策の名の下に病気等で働けない母子世帯はあたかも自己責任をとらされるような形になりました。母子世帯は経済的なハンディを負わされているだけでなく、離婚までの経緯やDVによって精神的・身体的に深刻な後遺症を残す場合があり、生活保護が利用できるようになりホッとしたと思ったら、うつ病や不眠に悩まされたりして働けなくなる母親を目にしたりします。 また、登校拒否や不登校に苦しむ子どもの姿も見えてきたりします。父親から学習した「暴力」によるコミュニケーションを背景に学校で荒れる子、ひきこもる子、低学力の問題などをどう理解し、関係機関とともにどう援助したら良いのでしょうか。今回は、母子世帯への援助をめぐる現状や問題点を率直に出し合い、語り合いたいと思います。
第11分科会 (女性・DV)「女性が幸せになるために私たちにできること」
〜女性相談事業のより良い環境を求めて〜
華々しく社会で活躍する女性が増える一方で、理不尽な暴力等のために着の身着のままで社会に放り出される女性、子どもたち……。生活困難な問題を幾重にも抱えた彼女たちに対して私たちはどんな援助ができるのでしょうか。名古屋市は、女性相談事業が本格的に始まってまだ2年目です。軌道に乗り始めると同時に様々な問題点も浮かび上がってきました。一時保護所の確保、一時保護後の行き先、生活保護との連携、外国人の言葉の壁、ネットワークの未整備、女性相談員自身の不安定な雇用等々。今回の分科会では、具体的な事例を通じて、必要な援助体制をどう構築していくべきか皆さんとともに考えていきます。
助言者:湯澤直美さん(立教大学)
9月13日(土)特別講座(中京大学センタービル 7階・8階)
特別講座I 「クレジット・サラ金被害者の救済と多重債務問題解決の展望」
本年度生活保護では、各自治体で多重債務自立支援プログラムが必須となりました。法テラスの紹介だけでは解決に繋がらないこともあります。福祉事務所の面接室で生活保護ワーカーと一緒に法律家の無料相談を実施している事務所の報告を聞いて実践に役立てていただきたい。
講師:「多重債務整理の現状について」 伊藤嘉邦さん(司法書士)
特別講座II 「社会福祉援助としての就労支援」
政府は「福祉から雇用へ」をスローガンに、各分野での就労支援政策を強めています。しかし、本当に就労支援の対象者にとって必要なのは「福祉も雇用も」であり、福祉を増進させる目的で就労支援を行う事が求められています。この講座では、社会福祉援助としての就労支援の理念についての講義をおこなった後、参加者によるロールプレイを通じて、就労困難な対象者の方に対してどのような援助をおこなうべきなのかということについて理解を深めます。
講師: 吉永 純さん(花園大学)、渡辺 潤さん(日本社会福祉士会 就労支援委員)、南川久美子さん(日本社会福祉士会 就労支援委員)
特別講座III「利用者のための相談援助・自立支援のために何が求められるか」
〜「生活アセスメント」のすすめ〜
介護保険、障害者福祉の現場でケアマネジメントが実施され、そして生活保護の分野に自立支援プログラムが導入されましたが、それらが給付抑制や給付管理のためのものなのか、利用者のためのものなのかということが問われています。分野を超えて共通に求められているのは「生活」を的確に捉え、人間らしい生活を利用者とともに実現していく視点ではないでしょうか。この講座では、『利用者のためのケアマネジメント』『福祉・介護に求められる生活アセスメント』などの著書で知られる大野勇先生から、「生活アセスメント」の考え方や方法について講義していただき、ケアマネジメントや自立支援のあり方を考えてみたいと思います。
講師:大野 勇夫さん(日本福祉大学)
特別講座IV 「ホームレス自立支援事業の総括と展望〜名古屋から問いかけたいこと」
ホームレス自立支援事業が折り返し点を迎え、また新たな歩みを始めようとしています。この事業が私たちに「何をもたらしたのか、何をもたらそうとしているのか」という総括と展望が求められています。この講座では、当事者、民間協力者、支援団体、行政のそれぞれの立場から、名古屋でこの事業にかかわっている多彩な顔ぶれが一堂に会したシンポジウムをおこないます。ホームレス自立支援事業が当事者たちに「何をもたらしたのか」、野宿の現状は「どのように変わったのか」ということを、名古屋から全国のみなさんに問いかけたいと思います。
シンポジスト: 大森益男さん (自立支援事業担当チーフ)
シンポジスト: 当事者の立場から (元・野宿者)
シンポジスト: 南 高夫さん (アーバン新富オーナー)
シンポジスト: 山田壮志郎さん (支援団体若手代表)
助言者: 藤田博仁さん (愛知県第2期実施計画・策定アドバイザー)
特別講座V「DV加害者の心理〜なぜ愛する妻や子どもに暴力を振るうのか?〜」
“DV”という呼称とともにドメスティック・バイオレンスについての社会的な関心が急速に高まり、2001年にDV防止法が成立しました。それはDV被害者にとって悲願の達成であり、被害者保護の取り組みが、ようやく制度としてスタートすることになりました。被害者の安全と安心の確保が最優先の課題であり、被害者の自立支援が重要なことはいうまでもありません。しかし、DV被害の根絶をめざすためには加害者への働きかけが不可欠です。加害者の心理特性を理解し、暴力行為を変容させ、アサーティブな関係づくりのための再学習を促す―そんな「加害者支援」にとりくんでおられる市川さんから、お話をうかがいます。
特別講座VI 「生活保護争訟の到達点と今後の課題」
生活保護争訟(審査請求と裁判)は、戦後「第3の波」、「第4の波」と言われるほど近年増加しています。その特徴は、1990年代以降の「第3の波」では、いわゆる生活保護「適正化」(という名の締め付け)に対して市民の多くが立ち上がっていることと、通常の行政訴訟に比して勝訴率の高さです。「第4の波」では、朝日訴訟以降、貧困の拡大の中で生活保護基準が再び焦点となり、全国で100人以上の原告による集団提訴となっていることです。このような生活保護争訟では、どのような点が争点となっているのでしょうか。その意義と役割、現段階の特徴について、数多くの生活保護争訟を担ってきた竹下義樹弁護士から熱く語っていただきます。
特別講座VII「福祉の基盤としての住居を考える〜住まいは人権〜」
生活の基本である〈衣・食・住〉の中で日本は住が貧困であると言われます。かつて諸外国から「うさぎ小屋」と称されたこともありました。在宅福祉が重視されても、生活の器である住居が貧困では在宅が困難になります。老朽化した建物、急な階段、共同トイレ、日照・通風の悪い狭小な部屋では健康で安全な生活は望めません。しかし、福祉の分野では従来、住居についてあまり論議されてこなかったのではないでしょうか。本講座では、住宅問題を専門に研究され、イギリスでのホームレスの状態にある方への住宅施策等各国の住宅政策にも詳しい岡本先生から、福祉の基盤としての住居の重要性や今後の展望等を話していただきます。多くの方のご参加をお待ちします。
講師:岡本祥浩さん(中京大学・日本住宅会議理事)
特別講座VIII「国民生活と現代の貧困〜公的扶助の歴史をふまえて〜」
一見ゆたかに見える日常生活によって絶対的貧困は過去の問題のように思われがちです。しかしそれは単なる見せかけで、政府の「構造改革」路線は国民の所得を確実に低下させています。わが国の福祉諸制度は、“救貧から防貧へ”と発展したようにいわれ、「相対的貧困」論に陥りがちですが、だからこそ今日的な貧困論の提起が必要とされています。それは「生活の質」、「生活の機能」を考慮した新しい貧困論へのアプローチといえます。それは憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」の内容を問いかけ、朝日訴訟で浮き彫りにされた「最低生計費」を今日の視点で改めて掘り下げることにもなります。これらの諸問題について、わが国の公的扶助の歴史を振り返りつつ掘り下げ、ナショナルミニマムのあり方をも考える講座とします。
講師:金澤誠一さん (佛教大学)
特別講座IX「簡単にあきらめないで!―障害年金の裁定をめぐる諸問題を考える」
障害年金の相談窓口で受給資格がないと言われたり、裁定請求が却下されてしまうと「ダメだったのか」とあきらめてしまいがちです。でも、ちょっと待ってください。窓口担当者の判断や裁定が間違っている場合だってあるからです。「障害年金支援ネットワーク」は、障害年金の受給資格や手続きに関する相談にのり、受給権を守るための活動をしているNPOです。講師から、障害年金をめぐって生じる「よくある間違い」と対応方法について、実例を交えて問題提起をしていただきます。また、遡及受給した年金の取扱いなど、生活保護制度と障害年金の関係についての補講もおこなう予定です。
講師:青木 久馬 さん(社会保険労務士・障害年金支援ネットワーク)
特別講座X 「精神障がい者が地域で暮らしてゆくということ〜現状と課題〜」
精神科の病院での長期入院を経て当事者が地域にもどってゆくことは、様々な意味において大変さをともないます。法が「改正」され、社会復帰と人権が制度の中心に据えられてから久しくなりますが、当事者をとりまく状況には相変わらず厳しいものがあります。この講座では、地域支援センターでの活動を通じて見えてくる現状と課題について問題提起をしていただき、私たちに何ができるのか、何をしたらいいのかを考えたいと思います。
講師:外山辰郎さん(生活支援センター職員)
