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ようこそ。 わたし半熟ドクター(Half-Boiled Doctor)が音楽とか本とか映画とかをだらだらと書き連ねる、
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ジャズグループ:半熟三昧Jazz味もどうぞ。

2016 - 05 - 06 (Fri)

[book]世界最悪の旅 [book]世界最悪の旅を含むブックマーク

えーと、ちょっと前、岡山に行く用事があって、シンフォニーホールの下にある古本市でなんとなく購入。

なんとなくね。なんとなく。

CDだと「ジャケ買い」という言葉があるが、この本はずばりタイトル買い。

内容は、南極探検にいった「スコット探検隊」の話。

ノルウェーのアムンゼン隊と、イギリスのスコット隊が南極点を目指していたのだが、スコットは結構前から準備していて南極点到達を前もって目標にしていたのに対して、アムンゼンはわりと不意打ち的に南極探検に向かったらしいっす。

 結果的にはアムンゼン隊が一番のり。犠牲者ゼロ。

 スコット隊は南極点到達はしたものの、一番のりは逃すわ、帰りに全員死んでしまうという、いいところなし。

 おまけに、スコットちょういいやつだったらしくて。アムンゼントップダウン型のアクの強い性格。

 なんかかわいそうだなー。

しかしこのアムンゼン隊とスコット隊の対比、何かに似ているなと思ったんですけれども、「八甲田山」の青森隊と弘前隊との対比と共通点が多いように思う。

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2016 - 04 - 06 (Wed)

[]五十嵐大介『魔女』 五十嵐大介『魔女』を含むブックマーク

魔女 第1集 (IKKI COMICS)

魔女 第1集 (IKKI COMICS)

魔女 第2集 (IKKI COMICS)

魔女 第2集 (IKKI COMICS)

Kindle版はコチラ。(僕はこっちを読みました)

魔女 (IKKI COMIX)

魔女 (IKKI COMIX)

魔女(2) (IKKI COMIX)

魔女(2) (IKKI COMIX)

浦沢直樹の『漫勉』シリーズ2は、萩尾望都を除けば、花沢健吾五十嵐大介古屋兎丸と、サブカル系の人にはたまらない感じのテイストのピックアップでした。この3人は、漫画というジャンルの多様性の中で総花的な選択とはいえず、ちょっと振り幅が少ないんじゃないかと思うわけですが、「漫画」をハンドクラフト・アートの方法論ととらえ、その方法論を追求する意味では、確かに興味深い作風です。

セカンド・シーズンは、漫画読みの声よりも同業漫画家(および草の根の同人漫画家)のニーズに依っているのかなあと思いました。

 そんなこんなで、五十嵐大介。僕、今まで読んだことがなかったんですけども。

 確かに巷間言われているように絵うまい。

 ムチャクチャ絵がうまい。

 それがために、デッサンに裏付けられたリアルのものを書くのに、ほとんど抵抗を感じさせない。繊細すぎる描線は、好みはあるとは思うけれど。

 そのデッサン力を踏まえて、想像上のものを提示されると、ものすごい説得力がありますな。

 ピカソは精緻なデッサン力を基礎に、世界の見方を独自な視点で歪めて絵を描いた。五十嵐大介は、絵の語法としては精緻なデッサンの論理性を保ったまま、「歪んだモノ」を書いて提示する。

 漫画の優れているところだと思う。


 魔法、というものの不思議さや、女性のもつ神秘的な部分が合わさった「魔女」というアウトサイドの存在に対し、作者でさえも、なぞめいた存在に対して深く詮索しない態度をとっている。

 それがためにあまり物語として構築的な印象をうけないが、それこそが作者の志向したことなんだと思う。

 読み終わって感じるなんとも「もわーん」とした狐につままれた感じが、諸星大二郎の印象に近い。

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2016 - 02 - 21 (Sun)

[]星野源『Yellow Dancer』 星野源『Yellow Dancer』を含むブックマーク

YELLOW DANCER (通常盤)

YELLOW DANCER (通常盤)

YELLOW DANCER (初回限定盤A)

YELLOW DANCER (初回限定盤A)

"SUN"のシングルカットがあまりにもよかったので、カラオケでも歌い出したのが2015年の夏のことだったろうか。ファズのかかった音で始まるイントロはむやみにテンションが上がった。こりゃあかっこええわいと思ってたら満を持してアルバム発売。当然初回限定版を購入。


トロンボーン吹きの端くれの私にとって、星野源はまず『Sakerock』のボーカルとしてでした。ハマケンこと浜野謙太のトロンボーンはジャズ的なイディオムではないけれども、とてもメロディアスですごくよかった。ただバンド全体としてはちょっとエッジが効きすぎていて、毎日聴くのはちょっときついかなと思ってました。すごいテンション高いトラックは、なんかヤバイクスリとかキメてんじゃない?感じがあったし。


ソロになったら『ハナレグミ』的な文脈?なのかなあ…歌詞にところどころいいところがあるけど、ハナレグミほどはグッとこないような…みたいな印象でした。最初は。

次にみたのは、広島ローカルの深夜番組で『夢の外へ』がテーマ曲になってて、これのPVが、なんとも言えない中年男(井手茂太さんというそうです)の不思議なダンスで。なんとも簡単に咀嚼できない感じを抱いていました。

あとは『地獄でなぜ悪い』の出演とか、よくみると自分の好きそうな文化圏の中で着実に地歩を進めていて。ううむあなどれないぞ星野源、と思ってましたが、その挙句に出てきたこのアルバムにはやられてしまった。もうノリノリ。

結局70-80年代のソウル、ブラックミュージックの雰囲気が私は大好きなので、もろ好みど真ん中。この祝祭感は、オザケン「LIFE」以来ですよ。

星野源、オザケン、2人とも、うすい顔、体育できなさそう、女子の保護欲をそそりそうなところとか、実際多分歌は超絶うまくはないところなど、共通する雰囲気がある。(ただまあオザケンはエリート、セレブ一家であるが、星野源は八百屋の息子で売れるまで結構苦労してる違いはある)


二曲目「weekend」のホーンセクション、「地獄でなぜ悪い」のスガダイローのキレッキレのピアノが特にオススメ。

あ、あとベースがダウンタウン浜田の息子、ハマ・オカモトなんですが、これがとても気持ちいいほどよい粘りのあるグルーブを出してます。

過去オザケン的なポジションをとりそこなった存在として、私は及川光博(ミッチー)を思うのだが、彼の場合は曲とかはダンサブルなナンバーだったが、バックトラックのグルーブが足りなかったようにおもわれる。

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2016 - 02 - 15 (Mon)

[]土橋正『モノが少ないと快適に働ける―書類の山から解放されるミニマリズム的整理術』 土橋正『モノが少ないと快適に働ける―書類の山から解放されるミニマリズム的整理術』を含むブックマーク

ここ最近「ミニマリスト」というのも市民権を得てますけども、そういう感じの考え方の最初は「断捨離」でしたね。あれって何年くらいからだったかな?

私なんて、ミニマリストから真逆の存在で、CDも本も捨てられない。いわゆるコレクター気質で本は数万冊、CDは数千枚レベルのやつ。*1

3年前自宅を建てたときにも、4面の壁すべてを占有する書棚を有する書斎を作ってますし、CDはそれでもおさまらないので、プラスチックのケースを取り払ってCD本体と紙の部分だけ納めるやつに入れてる。それでも相当な量がある。

 というので、それ以外のモノについても、基本的に捨てられなかったんですけれども、まあ仕事場も家も雑然とすること山の如しなので、最近はとぼとぼとものを捨てているわけです。

 で、何度かこういう片付け系の本をみているのですが。

…いやあ、すっきりと片付いた書斎っていうのは羨ましいもんですね。確かにシンプルな思考とシンプルなアウトカムを目指すなら、構想空間もシンプルな方がいいのは確か。

 整理が終わったら書斎も執務室も公開できればいいなあ。

しかしここ最近の文化的な潮流では、この本にあるような書斎から発信されたような言辞が主流を占めてるだけのことかも。

例えば、澁澤龍彦の書くようなものは、こんなシンプルモダンの中では生まれっこないようにも思う。衒学的な潮流があるかもしれない。

ただ平均的な教養レベルは年々下がっているから、その手のもんが今後うけるチャンスは期待できないのかもしれないなあ。

*1:とはいえ、何度も引っ越しをして、膨れ上がる蔵書に何度か捨ててはいるんですけれども

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2016 - 01 - 28 (Thu)

[]『東京都北区赤羽清野とおる 『東京都北区赤羽』清野とおるを含むブックマーク

Kindle版はコチラ。二巻以降はお好みで。

前掲の「おこだわり」(http://d.hatena.ne.jp/hanjukudoctor/20160123)があまりにも異色だったので、作者の出世作『東京都北区赤羽』をちょっと読んでみたら、これ、面白いのなんのって。

漫画自体の絵柄は出た時から認識はしていたのですが、あまり清潔感のない描線に、若干拒否反応を示していたのであった。食わずぎらいでした。

結局、増補版の1から4巻、それから漫画アクションに移籍してからの4巻、すべてKindleにて購入。

* *

赤羽という町は、僕は全然行ったことがない。

広島県在住の私で、東京へはよく出張でいくんですが、西日本から東京に行く場合、品川が玄関口になる。

多くの場合講演会場は山手線でいうと西〜南側に位置しており、東京駅よりも東側にはほとんど行かない。*1

そんな自分からすれば、赤羽というのはかなり馴染みのない街だ。

だが、そんなことは関係なく面白い。

学生時代神戸にいたんですが、神戸には阪急沿線より山の手に立ち並ぶ瀟洒な町並みとは別に、阪神沿線沿いにはダウンタウンともいうべき庶民の街が連なっているわけです。赤羽はそこと街のにおいが似ている気がしました。

昔ながらの商店街って、やっぱりいいよね。

大阪にもそういうところ沢山あって、やっぱりいい味を出していますね。

ダメな居酒屋、謎な店、開発から取り残されているために古い街の奇妙なものが残った街並み。

そしてそこに巣食うディープな人々。

女性ホームレスのペイティさん、ダメな居酒屋、「ちから」の愛されるダメっぷり。

* *

ただ、そういう「オモシロ自慢」「奇人変人図鑑」のようなものであれば、それほどは面白いという感想をいただかなかったと思う。『東京都北区赤羽』は、時系列に沿って描かれ、作者の街との関わりやアイデンティティのあり方もきちんと書かれていて、ノンフィクションでありながらきちんとストーリーもある。

漫画家として芽が出ず、もんもんとした生活の中、赤羽の奇妙な住人と出会い、交流があり、結果的には漫画家としてのヒットを出すに至るまでの、清野とおる氏のビルドゥングスロマン(成長譚)が縦軸にしっかりあるからこそ、続きが読みたくなったんだと思う。

学生時代所属していたジャズ研では(正式には軽音楽部ジャズなのだが)、そのころ、フリーインプロヴィゼーションみたいなジャンルが猖獗をきわめていて、エッジの効いたキッチュなものをことさらにありがたがる風潮があった。ペイティさんのような人をありがたがる素地は、その頃を思い出して懐かしい気がしたのも、引き込まれた理由だと思う。


学生時代を思い出したのは、昔青春期をすごした街に似ていたことと、学生時代に、僕もそういう物の見方をしていたからに違いありません。*2


* *

そういえば「その『おこだわり』俺にもくれよ!」であった、奇矯なリアクションは、今作では全くみられなかった。奇怪な住人たちとのやりとりのなかで作者とおぼしき「のび太」然とした風貌の主人公は狂言回しなのか、ことさらに「ノーマル」な感じで描かれている。おそらく本物の清野氏は、両方の要素をもっているんでしょうね。

*1:趣味のジャズのジャムセッションのライブハウスが錦糸町あり、そこへ行くのが僕の東限。上野、浅草も訪れたことがない

*2:どちらかというと飲み友達赤澤氏のシニカルな視点に近いと思う

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2016 - 01 - 23 (Sat)

[]『その「おこだわり」俺にもくれよ!』清野とおる 『その「おこだわり」俺にもくれよ!』清野とおるを含むブックマーク

なんとなくkindleで購入。

いろんな「おこだわり人」にインタビューして、その人ならではのこだわったライフスタイルを聞き込んでいくわけです。

「ツナ缶」「ポテトサラダ」「アイスミルク」「コンソメパンチ」…

「ベランダ」「寝る」「休日の過ごし方」、に及んではモノですらない。

こだわりのある人は、その事柄への全般的な偏愛があり、特定の銘柄に対して排他的なこだわりは必ずしもないようで、その辺りはリアルだなと思った。

僕もジャズにおこだわりがあるけど、八割くらいのものは好きで、二割くらいは個人的にすごく好きなもの、二割くらいは個人的に好きじゃないものがあったりする。その程度で、ジャズなら大抵はいけるわけですよ。

神は細部に宿る、という言葉に真正面から切り込んだ好著。


しかし、清野とおるのリアクションが変。

f:id:hanjukudoctor:20160123201622j:image:w360:left

なんですかね、相槌というよりは盲従といいますか、まあ、トークのテクニックでいうところの「リピート(おうむ返し)」なんですけど、きっちりかかれると、こんなにうざいとは。

相当面白かったんですけど、なんか違法薬物でもキメてるような異様なテンションは、二巻が出ても買うかどうかやや迷う…

多分買うけど。

2016 - 01 - 19 (Tue)

[]『生きて帰ってきた男―ある日本兵の戦争と戦後』 『生きて帰ってきた男―ある日本兵の戦争と戦後』を含むブックマーク

ええと、id:FujiponさんのBlogで紹介されていたのがきっかけだったかと思います。

Kindleでぽちっとしました。

すごいいい本でした。

北海道サロマ地区で出身の一人の男性が、東京に出て、出征し、シベリアに抑留体験を経て、日本に戻り、いろいろ苦労をした生活の歴史。

戦争文学というのはいろいろなものがあるが、基本的には「文学青年」の素地をもっている旧制中学出身などの教養のある階層から語られる。パターンとしては士官学校へ入学していたり、学徒出陣だったり。

この方のように農村出身の労働階級の一般入隊の兵卒の経験というのは語られることが少ない。(近いものがあるとすれば、おそらく水木しげる先生)。

この方の場合も、おそらく自伝を著する文学的素養というのは難しいはずだ。虫瞰的な戦後史という類のものになるはずだが、語りは非常に正確で冷静かつ客観的であり、語り手の知性が随所にうかがえる。

そして激動の時代でありながら、話は淡々と進む。

戦争中の話も面白かったが、戦後の有為転変、結核病棟のありよう、都市生活、戦後の戦争に対する意味あいに対する疑問、現場に立ちあったものにしか言えない感想が随所に記されており、非常に勉強になった。

シベリア抑留は、ソ連としては戦争捕虜を安価な労働力として使役するのが目的であったはずだが、実は赤字であったらしい。

ソ連内務省の予算収支によると、捕虜労働による収益が収容所の維持管理費にみあわず、1946年度には3300万ルーブルの赤字を連邦予算から補てんしたという(カルポフ前掲『スターリンの捕虜たち』)。

しかしそれは、日本の捕虜たちの境遇が奴隷的であったことを否定する根拠にはならない。

しかし同時に、こうしたことは日本側にもいえる。大日本帝国の朝鮮統治は赤字だったともいわれるが、それが善行を施した根拠になるわけではない。また日本軍がアジア各地で現地住民から物資を略奪したのも、補給を軽視したマネージメントの拙劣さゆえであり、その最終的な責任は国力不相応に戦線を拡大した日本政府にある。

そうだよね。

ネトウヨ嫌韓の人はこういうことを言いたがるけど、なんか違うよなと思っていたんです。

腑に落ちました。

昨年の9月にアントニー・ビーヴァー著『第二次世界大戦』を読み、重かったものの、意義のある読書になったのですが、その時に感じた時代の酷薄さと、当然ながら重なります。(http://d.hatena.ne.jp/hanjukudoctor/20150903

今の時代に生まれててよかった。

60人が世界の富の半分を占める不平等な社会だったとしても、今の方がまだいいよ。

読み終えて、ため息がでます。

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2016 - 01 - 04 (Mon)

あけましておめでとうございます、と書くべきなんでしょうか。

とにかく不定期に更新しているBlogなので、時候の挨拶というものがあまりそぐわない。

[]Pizzicato One 「わたくしの二十世紀」 Pizzicato One 「わたくしの二十世紀」を含むブックマーク

まあ、団塊ジュニアなもんですから、思春期には渋谷系っすよ。おまけにサブカルクソ野郎でもあったもんですから、Flippers' Guitar、Pizzicato Fiveなどは、まあ素養としておさえますわな。

そんな小西康陽のソロユニット、ピチカートワン、First Albumの『11のとても悲しい歌』については、以前にとりあげました(http://d.hatena.ne.jp/hanjukudoctor/20110725

これはこれでなかなか印象的なアルバムだったんですけれども、気が付くと二作目が発売されていたので買ってみたわけです。

うー。『11のとても悲しい歌』よりもさらにものがなしいぞ。

ミニマルなサウンドと、もの悲しい歌詞と。

今ってこういう感じなのねー、前作の雰囲気と似ているよねーとか思いながら聴いていたら、

ん?まてよ?と。歌詞に聴き覚えがある。

これって、あのPizzicato Fiveの時の楽曲なんだ…

あんな、きらびやかなサウンドが、こんな風になるんだ…。

埃まみれの朽ち果てた廃墟を歩いていたら、実は子供の頃のきらきらした思い出のボールルームであることに気付いたように、慄然とする。

Pizzicato Fiveでは、明るくリュクスなサウンドと、その中に刹那的な歌詞、というギャップがよかったのかもしれないが、Pizzicato Oneでは、ただただ歌詞もサウンドも枯れている。

没落英国貴族、という言葉があるが、21世紀の没落日本貴族が、経済が強く、未来が明るかった20世紀を懐古しているアルバムだ。

Pizzicato Fiveの楽曲、味付けの少ない骨組みだけの状態でも、やっぱり結構いい曲が多いよな、と思った。

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2015 - 11 - 26 (Thu)

[]下流老人 下流老人を含むブックマーク

若いうちなら、裸一貫になって放り出されても、まあなんとかなると思う。けど歳をとったら情勢の変化に対してフレキシブルじゃなくなる。

それは自分の両親の世代をみていてもそう思うし、自分にしてもそうだ。20代の自分と今の自分をくらべると、いろんなことを習得したり順応するのに、少し時間がかかったり、うまくいかないでいらつく自分を発見する。この延長線上に老人になった自分がいると考えると、老人の自分にあまり過大な期待をしない方がよさそうだ。

 何か想定外の事態が生じたら、老後の計画は頓挫して途方にくれてしまう可能性はけっこうありそう。就労時に建てる老後の計画は、そもそもかなり甘めであるということはこの本でも触れられている。そりゃまあそうで、定年退職する直前の収入ってのは、年功序列制度の恩恵もあり、実際の経済的貢献度よりも取り分が多い状態である。だから定年前というのは自己の能力を過大評価しがちである、というのは容易に想像がつく。

で、収入がなくて、お金を取り崩していく、というのは、思ったより早い。あっという間に資金が底を尽いてしまうのだろう。

実際に、自分も外来で高齢の方を少なからず診ているが、高齢の方で、お金に困って診療が継続できなくなるというのは時々いらっしゃる。

私は、幸いこういう仕事(医師)なので、多分死ぬ直前まで仕事をしているんじゃないかと思う。だから日銭に困ることは、多分ないんじゃないかと楽観している。ただ、それは逆に考えると、死ぬまで馬車馬のように働くってことだ。そう考えると憂鬱になることもある。

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2015 - 09 - 10 (Thu)

[]古代の謎は海路で解ける 古代の謎は海路で解けるを含むブックマーク

わたしは瀬戸内海沿岸に住んでます。

一般的に、瀬戸内海は内海で穏やかであるというイメージがあったのですが、*1

海洋船舶の専門家が著するこの本では、一言でいうと、

いやいや瀬戸内海っつーのはわりと潮流が複雑で、昔のテクノロジーでは結構航海するのに難度の高かった海なんだよね。

だから、最初は日本海側から越前に到達するルートが発達したはずだ。

という趣旨であります。

そのつもりで古代の歴史を再検討すると、いろんなことがすっきりと説明できますよ、という。

おそらく瀬戸内海の航路としての整備は5-6世紀に徐々に形作られたのではないかと筆者は推定している。この頃の操船技術では、沿岸部に避難港がないと瀬戸内海の航行はできない。

5-6世紀の雄略帝が開発を行った可能性が強いが、史実として過去の偉業を盛るために記紀では神武天皇の治績にされている。

だが、神武天皇の時代には瀬戸内沿岸には大和政権に連続性のある史跡もない。この頃は、丸木舟に毛の生えたような船で波の穏やかな日本海沿岸を東進するのが関の山で、瀬戸内海を東征するなんてありえないそうだ。

神武天皇は安芸で七年 、吉備で八年いたとされているが、これはおそらく雄略帝のことだろうと筆者は推定している。舎人親王はその滞留の意味をわかっていないが、数十ヶ所の港に入植し 、港湾を造るにはその程度の年月は必要である 、と作者は港湾専門家として喝破する。

少し論理構成に飛躍があるが、大変面白い。

今の基準で、瀬戸内海は航行しやすいと思ってるが、明石海峡も鳴門海峡も、確かに波も速いよなあ。

「なにわ」は難波であり浪速であるが、古代の地形のままでは波が速く、難しい港であったそうだ。ちょっと今からは想像もできない。



「逆さ地図」で読み解く世界情勢の本質 (SB新書)

日本海側からみた時に、歴史地図というのはまた全く違った装いをみせる。

この本は、地図を逆さにして眺めることによって、また新たな見方ができる。という本。

初期の大和政権では日本海側の航海がむしろ主力で、環日本海圏とも言える経済域が存在したそうだ。

地形からみた歴史

地形からみた歴史 古代景観を復原する (講談社学術文庫)

地形からみた歴史 古代景観を復原する (講談社学術文庫)

古代の地形地図。

これはかなりお堅い本で、地質学、考古学の知識がないとなかなか読み進むこともかなわない。

難波は、着岸の難しいところ、ということで命名された、という先の本にあったので購入してみた。ちょっと、難しすぎたね。

*1:このイメージはどこから来ているのかわからないが、多分「中国の川はとても広く大きくて、瀬戸内海を中国人に見せたら『これは川だ』とか言ったとか言わなかったとか、そういう逸話がある。

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