半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

Freddie Hubbard "Hub Cap"

 岡山のレコード店にて。
 Hub TonesとHub Capとどっちにしようか迷った末に買う。
 Hub Tonesはジャズ喫茶で聴いたことがあるので、Hub Capを買ったが、Tonesの方がやっぱりよかったかもと思う。
 あ、いきなり結論。

 サウンド自体は60年代のモーダルになりかけている微妙な時期のそれで、アンサンブルはいかにもBNといったクロースド・ボイシングで、暗く、やや重めである。完成されているという印象は受けるが、60年代のBNは、どれも紋切り型の印象がつきまとい、個性が弱い印象を受けてしまう。

 ジュリアンプリースターのソロは、涙なしでは聴けません。フリーフォーオール(メッセンジャーズ)のカーティス・フラーのソロと同じで。

 どうにも、吹けてない。まだしも彼のリーダーアルバムであれば、もっといいテイクもあったのかもしれないが、主役じゃないから。集合写真で一人だけ目閉じちゃって映ってるけど、まぁ、採用されちゃった、みたいな。

福田和也『すべての日本人に感じて欲しい――魂の昭和史』

 コワモテのおっさんが、若い者を取り込もうと猫なで声をだしていることに、やや薄気味悪さを感じてみたり。

 といってはみたものの、意外なほどフェアな内容である。
 大正から昭和に至る時代精神をこのレベルのわかりやすさで書いてくれている本は、他にはないと思う。実体験に基づくものとしては他には司馬遼太郎の『この国のかたち』などがあるけど。

宮沢章夫『青空の方法』

 僕ねぇ、こういう面白い本の面白くない部分が好きなんです。
 オチというか、面白いことを言うときに面白さを際だたせるために、対比として出だしは真面目な語りぶり。そのために必要以上に四角四面な口調。妙にテンションを押さえた普通文不自然なことといったら。
 だけど、『牛への道』に比べると、この本は真面目な雰囲気のままであまり逸脱がなく、あれっ?といった感じ。