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2011 - 07 - 26 (Tue)

[]川上弘美『古道具 中野商店』 川上弘美『古道具 中野商店』を含むブックマーク

古道具 中野商店 (新潮文庫)

古道具 中野商店 (新潮文庫)

(単行本は古道具 中野商店)

初めて読んだのは多分2,3年前。今回再読。

東京近郊の小さな古道具屋 「中野商店」でアルバイトをする主人公。(20代後半、定職なしの)この主人公が、社会のどこにもつながっていない感じで、とてもよいです。

 こういう生活って、読者のなかでこの立場にいる人はマイノリティのはずで、なら共感できないかって話だけれども、例えば大学生時代の宙ぶらりんな感じとか、そういうのは皆味わっているだろうから、そういう意味では主人公の置かれた立ち位置は非常に共感できるものなのです。うまいね。

 で、無口なもう一人のバイト、タケオとこれまたちゅうぶらりんなセックスをしてしまうが、どうにもしっくりいかないで煩悶する。

 中野商店の店主はバツサンで、おまけに彼女もいたりして。その兄弟のマサヨさんも彼氏がいたり、大人は大人で、それなりにツヤっぽい、が、誰もきっちりした恋愛ではないのだが、彼らなりに真剣であることもうかがえるわけで、そういった、あまりドロドロしない人間模様。たぶん閉塞した人間関係がないからだと思う。

例えばもうちょっときっちりした会社だとか、学校だとか(大学ではなく小中高の、逃げられなくて、長時間時間をともにするような)だと生じるようなドロドロはそこにははなくて(この職場にはイジメとかなさそうに思う。だってみんな見事に徒党を組まないのだもの)ちょっと空気が薄い感じなのである。

 そして、人間関係はごくゆるやかに離合しながら、日々は流れる。

 ある意味ものすごいリアリティがある。

 川上文学の真骨頂。センセイの鞄などよりも(あれは、漱石の「坊ちゃん」と同じく川上弘美入門用やで)。

(以下ネタバレするか)

 別にドラマツルギー的な盛り上がりはなく、と思わせておいて、OLとウェブデザイナーになってからの邂逅。

 これ、大人の話ですけど、青春小説ですよ。

 なんかもわもわしたい人におすすめ。

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