花房観音  「歌餓鬼抄」 このページをアンテナに追加

 | 

2009-09-10 「エロスの原風景」 松沢呉一・著

 「エロスの原風景」 松沢呉一・著

|  「エロスの原風景」 松沢呉一・著を含むブックマーク


 いやらしいことをするのが好きですか。

 いやらしいものが、好きですか。

 わたしは、好きです。

 私は便宜上、AV、エロライターとか名乗ってはいるけれども、エロ媒体に近づけば近づく程に、乗り越えられない壁を感じてしまう。男には敵わないな、と思う。

 自分のセックスを、性欲を語ることなら幾らでも出来る。多いんだか少ないんだかよくわからない経験から思うことなどを、もういいよとうんざりされるぐらい語ることは出来る。

 だけど、エロというカテゴリーのの中の「オナニーの媒体」を、社会的に語ることだけは、どうしても男に敵わない。それはそういう媒体と共に歳をとっていくという歴史が女である自分には乏しいから。

 今でこそ何でも手に入る都会に住んではいるしインターネットというモノがあるから便利になったけれども、昔、自分にとってエロの媒体を手に入れることはそりゃあ難儀なことだった。恥ずかしい、変態だと思われる、軽蔑の眼差しを浴びるのが怖い。今だって、セルビデオ屋・レンタルショップの18禁コーナーには1人で入れない。

 何年も、エロ本とAVに焦がれた。

 勇気を出して買ったエロ本をボロボロになるまで使用した。そうして、飢え続けていた、エロの媒体に。

 エロ本もAVも男用に作られていて、男の人は簡単にそれを手にすることが出来て、そうしてオナニーの媒体と共に歳を重ねていくことが出来る。そのことが凄く羨ましかった。それらを容易に手にすることが出来るならば、男になりたいと幾たびも思った。

 自分も、性欲が芽生え始めた頃から、その「時代」オナニーの媒体と共に年を重ねていけたのならば、雑誌や本で仕入れた知識だけではなく、肌で、身体でエロを感じて、もう少しマシに語れることが出来るのに。

 他のことでは、男なんて全然羨ましくないし、男より女の方が優れているとは思うけれど、そのことに関してだけは、男に羨望する。

 エロ本や、AV等のオナニー媒体に、使用目的を超えて惹かれる。

 人間の欲望の赤裸々な、恥ずかしい姿が描かれているからだ、その時代と共に。表に出せない、人に言えないものだから、面白い。人間の身体の一番感じる部分が常に隠されているように、心の一番感じる部分も日陰にひっそりと咲いている。そして一番感じる部分は、誰にも彼にも見せてはいけない、あなただけに、心を許し甘えられる特別な人だけに、開いて見せたい。

 性の欲望は、いけないことで、恥ずかしくて、いやらしくて、おもしろい。

 世の中に、これ以上に面白いものはないと、あたしはおもうの。

 いやらしいことをするのは、楽しいし気持ちいいから好きだけど、いやらしいことを考えるのも好き。

 例えば会わずとも電話やメールで、男と言葉遊びをしたり、言葉で嬲られたり。いやらしいことをしなくても、いやらしいことを考えるのも、好き。身体にいやらしいことをされるのも好きだけど、心にいやらしいことをされるのも、するのも好き。

 だから、エロ本や、AVが、好き。

 自分がいやらしいことを考えることも気持ちよくて好きだけど、自分以外の、世の中を真面目な顔をして歩いているそこいらの人間が、どんないやらしいことを考えているのか、それが描かれているのが、エロ本や、AVだから。

 そして、それらは時代と共に、社会の中で、変化し続けている。

 時代の、精液に塗れながら。

 

 非常に楽しみにしていた松沢呉一さんの「エロスの原風景」読みました。時代と共に日陰で行き続けて、男達の精子を栄養にして咲き続けてきた仇花・エロ本の記録と歴史です。オールカラーなのが、なまめかしい。

 この本に掲載されているエロ本は、どれぐらいの量の精液を放出させたのか。そんなことを考えると、うれしい。

 人間の誕生と同時に、何らかの形で精液を放出される媒体が存在していたはずなのだ。第一、私達そいう存在自体が、もともとは精子から誕生したものなんだもの。

 だから、だろうか、時折、自分の男のそれは、懐かしくいとおしい。

 おもろうて、やがて悲しき、エロスかな。

 それがないと、生きていけないの、わたし。

 あなたも。


 わたしはいやらしいことをするのも好きだけど。

 いやらしいことを考えるのは、もっと好きかもしれない。

 そういう自分をバカだと思ったり、愚かだと思ったりもするけど、好き。

 ああ、だって、世界と、私たちはエロスで出来ている。



エロスの原風景─江戸時代〜昭和50年代後半のエロ出版史

エロスの原風景─江戸時代〜昭和50年代後半のエロ出版史

 

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/hankinren/20090910
 | 
お暇なら読んでねん★★★雑誌の死 ★★★セックスがないと生きていけない ★★★煩悩系エロライター、飛鳥坐神社のおんだ祭りにいく ★★★Nちゃんとエロ子お姉さんの愛の始まり「美少女調教日記」 ★★★巷に雨の降る如く ★★★美しい言葉で綴られたゆっくりとしたサヨナラの物語「猫の神様」東良美季私の好きなあの人は、いい男です ★★★信長・秀吉・家康・夢の対談実現! 「英雄、AVを好む」 ★★★あなたしか知らない女 ★★★鳥辺山心中 ★★★桜の墓 ★★★花を恋うる歌 ★★★彼女からの年賀状 ★★★愛と感動と涙のAV讃歌☆エロ戦士エッチマンシリーズ☆ その1 その2 その3 その4 最終回 ★★★北の果てからの至高の物語「由美香」平野勝之 ★★★欲情する女は美しい「美しい痴女の接吻とセックス」二村ヒトシ ★★★旅情―ヨーロッパ不倫特急―「僕の愛人を紹介します」カンパニー松尾 ★★★一期は夢よ、ただ狂へ「ザ・面接」代々木忠 ★★★AV女優『すべては「裸になる」から始まって』森下くるみ ★★★痛みと共に生きること「たまもの」神蔵美子 ★★★「グロテスク」桐野夏生 ★★★恋二酔ヒ、愛ニ死ス「らも 中島らもとの35年」中島美代子 ★★★私がAVを見る理由 ★★★忘れてはいけない女優・林由美香 ★★★三十歳までに、死のうと思ってた ★★★この胸の痛みも、いつかは ★★★おもしろきこともなき世をおもしろく「狂」人伝・高杉晋作 ★★★傘がない ★★★映画を夢見た2人の男 ★★★憎しみ ★★★人は死ぬ ★★★うんざりするような優しさで ★★★織田信長妹・お市伝「戦国に咲いた一輪の花」・前編 後編 ★★★「恋愛できないカラダ」中村淳彦 ★★★いびつな私を愛してください「ふたなりレズビアンクライマックス」二村ヒトシ ★★★六道の辻 ★★★たまには真面目に政治の話 ★★★去年の桜・その1 その2 その3 その4★★★「まりこファイナル」カンパニー松尾 ★★★頑張れなんて、言えない「D−1クライマックス」 ★★★セックスとマゾとアダルトビデオ ★★★愛される自信などないけれど ★★★血天井の話前編 後編 ★★★神戸の話 ★★★心の栄養 ★★★元気の素 ★★★あたしの初体験 ★★★邪眼入道「平清盛」 ★★★かさぶた ★★★月夜の孤独 ★★★桔梗の女前編 後編 ★★★唇寂しい夜 ★★★ヒロシマの青い空 ★★★OL達の平凡な日常 ★★★あなたと、したい ★★★「焔」上村松園 ★★★大好きなNちゃんへの長い手紙前編 後編 ★★★純情少女Nちゃんと「ヒトシ!」★★★「マンコがマンコに恋する理由」二村ヒトシ ★★★恋をしなさい ★★★恋することのもどかしさ ★★★ラ・クンパルシータ 〜失われた場所への鎮魂歌〜★★★私の子供になりなさい「性感Xテクニック」南智子・代々木忠 ★★★私の彼氏を紹介します ★★★男根讃歌 ★★★友達っていいよね! ★★★「熟れたボイン」カンパニー松尾 ★★★AVとセックスと混乱と矛盾と ★★★私は飢えている ★★★プロポーズは突然に ★★★酔死 ★★★覚悟のある恋愛「それから」夏目漱石 ★★★愛を告白する日 ★★★学歴詐称する女 ★★★俺たちに明日がないわけがない ★★★竹久夢二、京都の恋「三年以内に死にます」 ★★★サヨナラと告げる隙も与えずに ★★★333メートルの里程標 ★★★大嘘吐きの、私 ★★★神の島 ★★★素人公開羞恥現場 ★★★今年の恵方は北北西 ★★★香水の理由 ★★★うたかた ★★★お前がこれから出会う全ての快楽のために★★★さらば甲子園の星―桑田真澄・清原和博―★★★名前のない女たち 最終章〜セックスと自殺のあいだで 著・中村淳彦★★★団鬼六という作家を知っていますか 前編後編★★★「いんらんパフォーマンス 恋人」代々木忠★★★あだしの野露きゆるときなく★★★長州を歩く 前編後編★★★鬼ゆり峠 著・団鬼六★★★濫読主義