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2013-04-01

千里山と新道寺から見る咲-Saki-本編と阿知賀編の「過去」の重みの違いについて

これまでの2回の感想では主に阿知賀のキャラクターから阿知賀編を振り返ってみましたが、今回は阿知賀以外のキャラクターにもフォーカスを当ててみます。正直言って今回は上手く文章がまとまってないんですが、要するに最終回のタイトルである「軌跡」というのは、阿知賀だけでなく千里山や新道寺にとってもまた重要な意味を持っているという事を確認してみたいと思って。

まずは、本編と阿知賀編の対戦校の傾向の違いについてです。これについては以前も同じテーマで記事を書いた事があるので、一部引用してみます。


他にはこれまでに登場してきた学校を比べてみても、本編と阿知賀編における時間軸の重要度の違いというのは明らかです。

例えば、咲-Saki-においては

  • これまで団体戦に出場すらしていなかった高校(清澄、鶴賀、宮守、有珠山)
  • 去年急に全国で活躍した高校、だが麻雀部がある一人の為に存在していてあまり他校に興味がない(龍門渕、永水)
  • 名門なのだが、全国でどこと戦ってきたかは何故か本編で語られる事はない(風越、姫松)
  • 留学生が多く、これまでインターハイと接点がないキャラが多い(臨海)

と、ここ数年の高校麻雀の世界について触れる必要のないキャラを集めたダークホース的な学校がBブロックには集まっています。
一方の阿知賀編は主役の阿知賀に関しては清澄などと同じ立場ですが、他の対戦相手としてこれまで登場した学校は晩成、劔谷、新道寺、千里山、白糸台と咲-Saki-の世界においていわゆる伝統ある強豪校と呼ばれる、毎年のようにインターハイに出場しているであろう学校ばかりが集まっています。
咲-Saki-本編と阿知賀編の違いについての若干の考察 - 私的素敵ジャンク


この記事を書いた時ははっきりと意識していた訳ではないのですが作品が完結した今になって考えてみると、この対戦校の傾向の違いも阿知賀編全体のテーマである「過去」や「軌跡」などに沿って意図して設定されたものではないかという気がしています。準決勝で敗退した千里山と新道寺はそれぞれ全国でも屈指の強豪校であり、その部員たちには伝統とか実績などといった「過去」の重みが常に意識されます。*1
例えば、義務や目標は重いけどあの頃のように楽しく打ちたいという怜のセリフとか*2、後援会受けを意識する泉とか*3、アニメで追加された劔谷のシーン*4だとかですね。
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これらのシーンはいずれも清澄や阿知賀、また咲-Saki-本編で登場する学校の多くで意識される事の無い伝統ある強豪校特有のお話と言えますね。
ここで個人的に注目したいのが準決勝で敗退後の千里山の控え室のシーンで1人だけ涙を見せなかったセーラについてです。
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セーラは昨年エースでありながら実力を出し切れずに敗退してしまい泣いてしまったというエピソードがあるんですよね。
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このシーンは船Qが言っていた3年生補正やセーラ本人の回想にも繋がっていく訳ですが、去年唯一泣いているシーンが描写されたセーラだけが千里山の中で涙を流さなかったというのは、彼女の成長を窺わせる意味も感じられてすごくいいなと思いました。

ちなみに、新道寺においても1人だけ去年力を出せなかった事を語るキャラクターがいます。同じくエースだった哩部長ですね。
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去年、悔しい思いをしたエースが共に準決勝において最も点を稼いだキャラでもあるというのは面白い偶然であってこれもまた「過去」の重みといえるかと思います。*5

  • 県大会決勝と全国大会準決勝の大将戦の共通点と相違点について

既に他の方々が指摘している事だと思うんですが、長野県大会決勝と阿知賀編の全国大会準決勝の大将戦はよく似た組み合わせになってますよね。白糸台=龍門渕、阿知賀=清澄、千里山=風越、新道寺=鶴賀…とこんな感じで置き換えてみるとそれぞれの大将同士にどことなく似た役割が与えられている事がよくわかります。
基本的に、どちらも白糸台=龍門渕の大将をどう抑えるかが大将戦のポイントとなっている訳ですが、この時に千里山=風越、新道寺=鶴賀においては共にパートナーの存在が重要な意味を持っています。*6
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こういったパートナーの絆も姫子ちゃんが言ったように「過去」からの「積み重ね」によるものですが、本編と阿知賀編においては異なる点もあります。
まず、風越と鶴賀は共に高校時代からの付き合いであるのに対して、千里山と新道寺のコンビは少なくとも中学時代からの付き合いである事、そしてそれに関連して怜竜と哩姫のコンビの能力である枕神怜ちゃんとリザベーションもまた時間の積み重ねによって生まれた能力である事です。つまり、同じようなカップリングでありながら、本編より阿知賀編の方がより時間軸の流れが意識されるような設定が付与されている訳ですね。

こう見ていくと阿知賀編は「過去」だとか「軌跡」といったテーマに沿ってほぼ全てのキャラクターや対戦校や能力が作り上げられている事がわかります。この辺り、立先生の論理的なシナリオの作り方が窺えますね。
そしてその一方で、こういった時間の流れによるストーリーは本編においてはあまり語られる事はないというのも面白いですね。どうしてこのような違いが生まれたのかはわからないですが、これからの咲-Saki-本編のストーリーを占う上でもこの違いを意識しておく事は重要なポイントなのかなーとも思います。

*1:本編においては風越と姫松が同じ役割を担ってる訳ですが、彼女たちはどちらかといえばやられ役な立場でしたね。だからこそ、準決勝の末原さんがどうなるかは興味深い所ですが

*2:咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A 3巻 第8局[最強]p.111

*3:咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A 4巻 第13局[再会]p.113

*4:第7局[信念]

*5:ちなみに新道寺で唯一涙を流さなかったのはすばら先輩です。あの場面の彼女の心情を考えてみるのもとても興味深いテーマですが、今回の趣旨からは外れるので機会があればまた書いてみようと思います

*6:しかもこう見ると池キャプと怜竜は先鋒と大将、かじゅももと哩姫は副将と大将という点も一致してますね。

名無し名無し 2013/04/02 00:27 A準決勝大将戦は色々な試合との比較のし甲斐のある素材な気がしますね。
決着のくだりも、本編予選決勝の大将戦と対照的な決着の仕方でしたし。

hannoverhannover 2013/04/02 08:40 >名無しさん

比較するなら、ぱっと思い浮かぶのはAブロック準決勝先鋒戦でしょうか。決着の仕方の違いについては、阿知賀編の準決勝は本編の決勝に繋がっていくからという点が大きいでしょうね。

名無し名無し 2013/04/02 14:44 逆のよーな…
シズ:あっさり麻雀やめてました。山で遊んでたから能力身に付きました。
赤土:自分の失態がチームの敗退に繋がった事が原因でトラウマ背負いましたが、チーム内で特別扱いだった事の象徴である「阿知賀のレジェンド」という呼び名を誇示します。
新道寺:能力自体に百合要素。積み重ねを象徴するシーンに、一切麻雀を打ってる絵がない。
千里山:積み重ねた実力<膝枕からの枕神という冗談めいた展開。

こういう積み重ねや過去を軽く扱う設定や描写を選んだ結果、馬鹿馬鹿しく見えてしまい批評が目立つようになったんだと思うんですけど

やえさんと恋の積み重ねを・・・やえさんと恋の積み重ねを・・・ 2013/04/02 15:54 セーラは、去年の反省も胸に、自分が持ちうる最高の結果を出したということで、チームを一番引っ張ってきました。これで自分が泣いてしまうと、悔しくて泣いている竜華、フナQ達を、さらに責め立てる形になってしまうかもしれません。そう思って、意地でも泣かなかったのもあると思います。こういう所もセーラの強さが見てとれましたように思えます。
一方、セーラ以上の結果を出し、また一見、気丈そうな哩部長は泣いています。これは・・・姫子の泣きじゃくる姿に感極まったのもあるでしょうか・・・?実に感動的なシーンです。(すばら先輩についてはまた別記事のときコメントします)

あと、地味に劔谷は結構な強豪ですよね・・・例年ならベスト8クラスはここが基準になる感じもします。(今年は異常に強い感じ)描写的に多分晩成はこの近くのレベルですかね?さらに絶対的エースの小走先輩がいますから、準決勝来てたかも・・・!!(希望)
越谷女子は強豪校に入らないですか・・・残念ながら当然

hannoverhannover 2013/04/02 21:29 >名無しさん

うーん…ごめんなさい。ちょっと作品の解釈が違い過ぎるので、なんともコメントを返しにくいのですが、最終話の冒頭のシズのモノローグをもう一度読んでいただければと思います。

>やえさんと恋の積み重ねを・・・さん

部長は竜華ですがやっぱりセーラがみんなの精神的支柱ですよね、千里山は。哩部長は気丈という以上に、感情豊かなのかもしれないですね。あんな能力を身につけているぐらいですし。

今年のインハイのレベルが高いのもあるし、能力者に有利なルールになった事によって劔谷の様な高校は割を食っているという事はあるでしょうね。オーダーが変わってなかったら、去年の秋季大会では小走先輩ともーちゃんが対局してたんでしょうね〜。その時はどんな結果だったのか気になります。

東風の神東風の神 2013/04/03 00:04 時間の積み重ねといえば、和と優希もですね!なんだかんだ言い合いながらもお互い信頼してるし、和が嫁になるエピソードもあったし!
二人の友情が試合の展開に影響する場面も描かれると面白いかもです!

hannoverhannover 2013/04/03 00:41 >東風の神さん

確かにそうですね。あのエピソードは本編と阿知賀編を結ぶ重要なエピソードの1つなので、決勝でそれが活かされるかもしれないですね。

ななしななし 2013/04/04 06:18 今更コメントですが、良し悪しとは別に気になった点と言えば
竜華や姫子の能力がチームメイト(特定個人)との絆が源泉になっているのに対して、
穏はその能力の性質上阿知賀のチームメイトとは関係なく、しかも本人の思いもどちらかというと和への片思いですね。

hannoverhannover 2013/04/04 09:16 >ななしさん

同じく長野県大会決勝との比較でいえば、彼女の能力の覚醒の仕方は咲さんに近いですね。どちらも和が大きなきっかけを作ってますし。
絆の能力を持った2校が敗退して個人の能力を持った2校が勝ち上がったというのは、阿知賀編が終わって本編に合流するという象徴的な意味を持っているのかなという気もしています。

修験者修験者 2013/04/07 01:44 時間がたってからのコメントですが少し思ったので
千里山や新道寺のように過去の積み重ねが誰かとつながっているのに対して
穏乃は一人でいることが過去の積み重ねになっているんですね(本人はひとりになりたくてなったわけじゃないと思いますが)
本編にはこういうキャラがいなかったので色々感じるところがあります(本編の和は優希と出会えましたし衣も透華たちがいましたし)

hannoverhannover 2013/04/07 19:20 >修験者さん

確かに穏乃は特異な位置づけのキャラクターですよね。けど、彼女は能力を身につける間は1人でしたけど、麻雀に戻るきっかけは和で、玄や憧と共に「遊ぶんだ…和と!」というのがキーワードになってますのでやっぱり誰かと繋がっているのだとは思いますね。

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