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2016-04-16

戒能プロ考察 その2 テスカトリポカと照魔鏡の関連性について

今回のお話は以下の記事の続き…というか新たに判明した設定や発言を基に改めて戒能プロについて考えてみようという主旨の記事です。…と言ってもまだ戒能プロについては謎だらけなのでまだその3、その4…と続いていきそうですが。
戒能プロ考察まとめ - 私的素敵ジャンク

第156局[両親]では戒能プロの高校時代のお話が初めて語られましたね。

戒能「宮永照は東一局を捨てて相手の本質を見極めます。打ち筋やクセや考え方の変化を見抜いたりはできないようですが。スペシャルなものを持ったプレイヤーの特質だけをその1局だけで見抜いてしまう、照魔鏡のような―私は初手テスカトリポカでそのエフェクトから逃れることができたのがラッキーでした」

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宮永照の照魔鏡については阿知賀編で既に登場してましたね。
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ここでの解説で小鍛治プロが「対戦経験のあるプロの話では本質的なものを見抜く照魔鏡のようなもの」とコメントしていましたが、つまりこの「対戦経験のあるプロ」が戒能プロの事だったと考えて十中八九間違いないと思います。
ちなみに照魔鏡については色々なところで既に語られてるのでみなさんご存知だと思いますが、元々は中国や日本の伝説に登場する妖怪の正体を暴く鏡の事を指します。ただ、上のシーンでは玄ちゃんの後ろにある照魔鏡の左右に煙のようなものが立ち込めてますね。これはこの照魔鏡の伝説を基にして鳥山石燕が雲外鏡という妖怪を創作したのですが、その雲外鏡のイメージが作中に反映されてるからです。*1

その一方で戒能プロが呼びだした神様テスカトリポカとは中央アメリカ神話で古くから伝わる神様ですね。テスカトリポカという名前は「煙の立つ鏡」という意味で、故にここで戒能プロが語ってる言葉は宮永照は照魔鏡を使って戒能プロの本質を見抜こうとしたが、そのエフェクトをテスカトリポカ、つまり鏡で反射した、あるいはその鏡の煙で無効化したと読み解く事が出来る訳です。
で、実際に作中で語られた部分についてはこの解釈で間違いないと思うんですが、テスカトリポカを照魔鏡の対策として登場させた背景にもうちょっと別の理由が、つまり他にもたくさんいるであろう鏡の神様の中でここでテスカトリポカが選ばれたのには何か別の意味があるんじゃないか、とまぁいつもの悪い癖でちょっと調べてみた訳です。まぁ、メタ的に考えるとこういうのもアリかなってくらいに思っていただければ。

さて、まずテスカトリポカの名前に使われている鏡は黒曜石の鏡の事を指します。つまり、テスカトリポカはこの黒曜石の鏡が擬人化されたものと考えられる訳です。黒曜石はその名前のとおり真っ黒い石なので、確かにこの石を使って作られた鏡を「煙の立つ鏡」と呼ぶのはピッタリですね。
鏡というのは世界中どこでもそうだと思いますが、主に呪術や儀式に使われるものです。
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これは大英博物館に展示されてるテスカトリポカの仮面です。儀式の際に使用されたと考えられています。戒能プロの後ろにいるテスカトリポカとほぼ同じ顔かたちをしていますね。
鏡を擬人化した神様であった為かテスカトリポカはしばしば魔術を操る神様として描かれています。例えば自らの黒曜石の鏡を使って他人の心を操ったり、老人に化けて他の神様を誑かしたり…。そんな神様であっただけにシャーマンからの信仰が特に篤い神様であり、またしばしば混乱をもたらすその気質から軍神としての性質も兼ね備えるようになります。
テスカトリポカは同じく中央アメリカの主要な神様であるケツァルコアトルとライバル関係であったようで、たくさんのお話でこの二人の神様の事が描かれています。それらのお話の中で最も有名なものに『五つの太陽』という中央アメリカに古くから伝わる創世神話があります。
このお話はごく簡単にまとめると、現在の私たちが住む世界の太陽は5番目の太陽、第5の太陽が支配する世界であり、それ以前にあった第1の太陽から第4の太陽までが支配する世界はそれぞれ何らかの原因で滅んでしまったのだというものです。
このお話において「4つのジャガー」と名付けられた第1の太陽が支配する世界の守護神がテスカトリポカでした。しかし、テスカトリポカはケツァルコアトルとの戦いに敗北し、彼はジャガーへと姿を変えさせられてしまいます。このジャガーが第1の世界の人々を食べつくした事で第1の世界は終焉を迎え、ケツァルコアトルが支配する「4つの風」と名付けられた第2の太陽の世界が誕生する事となります。

では、このテスカトリポカのデータを基に戒能プロと今回のシーンについて考えてみましょう。
まず、これまでの描写から戒能プロ自身が色々な神様などを呼び出すシャーマンのようなものである事は間違いないでしょう。また、テスカトリポカもまたシャーマンから信仰される神様です。

次にテスカトリポカのライバルであるケツァルコアトルについて。ケツァルコアトルとは主にアステカなどで使われてる名前でマヤ文明においてはこの神さまはククルカンと呼ばれていました。
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ククルカンといえば爽くんがホヤウカムイを呼び出した時に戒能プロが似ている存在として名前をあげた神様ですね。戒能プロがマヤ神話に精通しているのは自らもテスカトリポカを呼び出せる為なのでしょうか。あるいはここでククルカンの名前を挙げたのは後にテスカトリポカを登場させる前振りだったのかもしれません。
ちなみにケツァルコアトル=ククルカンとホヤウカムイはどちらも翼を持った蛇の神様であると言われています。確かに実際に見比べてみたら似ていると評してもおかしくないでしょうね。

そして『五つの太陽』の神話について。上にも書いたように、このお話においてテスカトリポカは「4つのジャガー」と呼ばれた第1の太陽の守護者でありました。
ところで、このジャガーですがアステカ神話を扱っている本によってはジャガーではなくトラと訳されているようです。例えば

最初の太陽の創造はテスカトリポカによって行われた。この時代の人間は巨人だったが、大地を耕すことを知らず、時が流れてケツァルコアトルがテスカトリポカの頭を杖で殴ると、彼はトラの姿になり海へと落ちていった。
するとテスカトリポカは巨人を貪り食い、存在したものすべてを破壊し尽くしてしまった。この太陽は「四のトラ」と呼ばれている。*2

だとか

2つの騎士団―戦士は、その経歴の最終段階で、最高位の2つの騎士団のいずれかに加入することができた。「虎の戦士」はテスカトリポカ神の兵士で、虎の皮の軍服を着用した。*3

このような記述ですね。トラは中央アメリカには生息してないはずなのでこの訳は間違いな気もするのですが、これら以外にも幾つかの本で同じような記述を見かけたのでとりあえずここではジャガー=トラと考えてみましょう。それではこれらを踏まえた上で戒能プロのテスカトリポカと宮永照の照魔鏡を比較してみると両者の重要なキーワードが数多く一致している事がわかります。
まず、照魔鏡は東1局終了時に発動するもの、そしてテスカトリポカは『五つの太陽』における第1の太陽の守護神です。
次に宮永照の名前には照魔鏡の一文字と同時に太陽を意味する「照」が入っています。また、宮永照は咲-Saki-のいわゆる「牌に愛された子たち」の総称として天照大神の一人でもあります。*4そして言うまでもない事ですが、天照大神もまた太陽神ですよね。これらの事から照魔鏡と天照大神を結びつけて考える考察も幾つかあります*5が、ここで太陽というキーワードで宮永照とテスカトリポカが結び付けられる訳です。
そして、トラといえばもちろん白糸台の宮永照はチーム虎姫の一員でもあります。
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厳密に言えば2年前の高校生時代の戒能プロと対戦した時の宮永照がチーム虎姫の一員であったのかどうかは不明ですが。
とはいえ、戒能プロのテスカトリポカと宮永照の照魔鏡については、単に鏡の能力のエフェクトをこちらも鏡を使う事で逃れたというだけでなくメタ的にも中々共通点が多い事がわかります。僕としてはこういった点も踏まえて立先生はここで照魔鏡に対抗する神様としてテスカトリポカを登場させたのでは?と思ったりするわけです。


ただ、ここまでの話はテスカトリポカについて調べてみたら思ったより色々妄想が広がっただけの話で正直そこまで重要ではなくて。
これよりもっとずっと大事な事は結局のところ戒能プロの能力ってどういうモノなの?という事ですよね。
これについては少しずつ情報が作中や立先生の日記で明かされてるものの、正直なところ考えれば考えるほどわからなくなっているというのが現状ですね…。
とはいえ、わからないならわからないなりにとりあえず情報を整理してみるのも全く意味がない訳ではないので、次回の記事では現時点で判明した戒能プロに関する事実や考察などを描いてみようと思います。

*1:石燕が雲外鏡について書いた本を見ると雲外鏡の絵が描かれてるものの、その絵の横に書かれてる説明文は照魔鏡について記していて、結局のところ雲外鏡って何なの?というのはよくわからなかったんですが

*2:『図説 メキシコ 混血が生む新しい民族文化」編・写真:宮本雅弘より引用

*3:『アステカ王国 文明の死と再生』著:セルジュ・グリュジンスキより引用

*4:参考:近代麻雀漫画生活:咲-Saki-ファンに知っておいて欲しい「天照大神」の謎

*5:参考:【考察】宮永照の能力は三種の神器由来? - 日刊・咲-Saki-考える咲 : 第二十回「牌に愛された天照大神」

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