半坪ビオトープの日記

世立八滝、大仙の滝


野反湖やその手前の尻焼温泉などの地域を、今は中之条町六合(くに)地区というが、平成22年の合併前は六合村であった。六合村は明治33年(1900)に草津村から分かれたが、明治22年(1889)に草津村となる前に6つの独立した村だったため、6つの大字を合わせて「六合」の名が生まれた。古事記上巻序文に「乾符を握りて六合を総べたまひ」、日本書紀神武天皇即位のくだりに「六合を兼ねて都を開き」とあり、「六合」とは天地と東西南北、すなわち支配の及ぶ範囲「国」を表すことから、「六合」を「くに」と読んでいる。なお、古事記に「天地四方を以て六合と為す」という文があるわけではない。
その六合地区の尻焼温泉からなおも南下すると世立八滝の案内板がある。大仙(おおぜん)の滝や殺人(さつうぜん)の滝など白砂川支川の八石沢川の八つの滝の総称である。

世立八滝の中で、道路端にあって遊歩道を2分程で行ける、大仙の滝を見に向かった。

直下型の落差約22m、巨大な滝壺のある滝である。八滝の最下流にあるので、この滝を見れば上流の滝の水量を推し量ることができる。

滝のそばの斜面には、コゴメウツギ(Stephanandra incisa)の花が咲いていた。北海道〜九州の低山地に普通に生える落葉低木で、高さは2.5mほどになる。よく分枝し、葉は卵形で先は細く尖る。本年枝または葉脇から総状花序を出し、径約4mmの白い花を開く。和名の由来は、花序の様子を米が砕けた小米に見立てたことによる。

大仙の滝入口付近の道路から滝の上部を眺めると、巨大な縦長の岩壁に大きな足跡のような窪みが空いていて「天狗の足跡」と名付けられている。大仙の滝の奥にある「段々の滝」を見るため上っていくと、もっと真近に見ることができるそうだが、世立八滝はかなり奥深いので、次の機会に残しておいた。

道路脇を歩いて行くと、長い花穂を垂らしている木を見かけた。葉の形と果穂の長さからサワグルミ(Pterocarya rhoifolia)と思われる。北海道〜九州の山地の谷筋などに生える落葉高木で、高さは30mほどになる。葉は奇数羽状複葉で互生し、小葉は5〜10対ある。雌雄同株、雌雄異花。5月頃、新枝の先に雌花序が垂れ下がり、枝の基部から雄花序が多数垂れ下がる。雌花序は花後伸びて20〜40cmの果穂になる。この果穂も30cm以上ありそうだ。