半坪ビオトープの日記

中央構造線博物館


ろくべん館のすぐ手前には、大鹿村中央構造線博物館が建っている。建物のほぼ真下を通っている中央構造線と呼ばれる大断層と、大鹿村の岩石標本の展示を中心に、地震地殻変動、地盤・土砂災害と地形の出来方などを紹介している。

正面の小渋川を北にたどって中央構造線が走っている。中央構造線の西側になるこの河原では白っぽい石が多く、鹿塩温泉のある塩川では緑色の石が多い。

中央構造線とは、阿蘇山の下から四国の吉野川を通り、そのまま近畿を東に突き抜け、天竜川の東側を諏訪湖まで北上し、向きを東に変えて茨城まで達している、延長1000kmに及ぶ日本列島最長の谷である。
中央構造線を境に、内帯(北側)と呼ばれる領家変成帯の岩石と、外帯(南側)と呼ばれる主に三波川変成帯の岩石が分かれている。博物館岩石園では、大鹿村の地質配列通りに石を並べ、地質帯を砕石の色で区別している。入り口に向かって最も左手前には、三波川帯の緑色岩や蛇紋岩などが並べられている。

その先の左側には、秩父帯のチャート石灰岩など、その奥に四万十帯の砂岩、戸台帯のれき岩が並べられている。

入り口に向かって右側には、領家帯の花崗岩類やマイロナイト類が展示されている。

館内正面には、大鹿村北川沿いの崖に見られる、中央構造線の断層路頭剥ぎ取り標本がそのまま展示されている。

館内中央には、大鹿村南アルプスの1万分の1地形地質模型が、分かりやすく塗り分けられて展示されている。さらに壁に沿って大型切断研磨標本が各地質帯ごとに展示され、断層路頭標本の右には三波川帯の標本が並べられている。

その手前右側には、秩父帯や四万十帯の標本がずらっと並べられている。

路頭標本の左手には、領家帯の鹿塩マイロナイトなどが展示されている。マイロナイトとは、断層深部の深さ10〜20km付近で、鉱物が再結晶したり流動的に変形してできた変成岩である。大鹿村のマイロナイトは、6500万年前にできたのち隆起して地表に現れたものである。東京帝大の最初の地質学教授となった原田豊吉が1890年に発見して鹿塩片麻岩と命名し、1935年に東京高等師範の杉健一教授がマイロナイトと結論した。