半坪ビオトープの日記

あづり浜、御座の潮仏


和具から4kmほど西へ進んだ先志摩半島の太平洋岸に、白浜がきれいなあづり浜(阿津里浜)がある。あづり浜には、おあつらえ向きの小島・すずめ島が入江の真ん中にあって、打ち寄せる波しぶきとあいまって、絶景となっている。すずめ島の周囲の岩礁が堤防の役目を果たして、きれいな静かな海水浴場となっている。とりわけ太平洋に沈む夕陽が美しいと評判である。

施設としては公衆トイレがあるのみだが、夏のシーズンのみ宿泊施設がオープンして、更衣室やシャワーが利用できるようになっている。あづり浜から歩いて数分の所には、志摩オートキャンプ場もあり、エアコン・冷蔵庫・テーブル椅子セット付きのバンガローもある。しかし、堤防の海側の草地にテントを張って楽しむ若者たちもいた。
また、県道の外側には海女小屋体験施設もあり、海女さんの話を聞きながら海の幸を焼いてもらって食べることができるという。

あづり浜を目の前にした海女小屋風の「海女ダイニングあづり」では、海女が焼く採れたてのアワビや伊勢海老、サザエなども楽しむことができる。昼のランチも数多く揃っていて、テラスから海を眺めながら気楽に食べられるのはうれしい。

志摩名物のてこね寿司には、小鉢とアオサの吸い物が付いている。

お得なあづり定食には、刺身やアジの干物のほかにサザエのつぼ焼きも付いている。

あづり浜から北西3kmほどにある御座港の最奥に建つ鳥居の奥に風変わりな石仏地蔵尊がある。

海中に祀られている地蔵尊で、潮の干満によって現れたり消えたりすることから「潮仏」と呼ばれている。

御座浦石仏地蔵尊縁起には、昔、この村の弥吉老人の午睡の夢枕に地蔵菩薩が現れ、「至心に祈願するものには腰より下の病疾を必ず治す、海水の浸す所に在りて苦忠を洗浄するゆえ、高所に移すことなかれ」とのお告げがあったという。次の歌も添えられている。
「かぎりなき世のもろびとを救わんと 御座の浦わにおはすみほとけ」大和国総本山 長谷寺化主 小林正盛

漁港近くには潮仏を詠んだ木俣修の歌碑がある。「志摩の津に海女が悲願に生(あ)れまして 潮のもなかにいますみほとけ」
ほかにもいくつか潮仏を詠んだ俳句が知られている。
水無月の青波かぶる潮仏」加藤三七子、「顔摩滅せし潮仏海女拝む」山口誓子、「漂泊や北風の波退く潮仏」石原八束

毎年3月15日が潮仏の例祭である。翌日から海女漁が解禁になるので、海女さんが大勢お参りに来るという。赤い柱の左の岩が「潮仏」と呼ばれる地蔵尊で、右の石仏は昭和30年代前半に建立された、前立地蔵である。