半坪ビオトープの日記

2012-08-28 千畳敷遊歩道

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霧が晴れ上がるかと思う間もなく、またもやガスってきた。剣ヶ池の畔にはチングルマの小さな白い花が咲き、ウラジロナナカマド(Sorbus matsumurana)の白い花が少し咲いている。

落葉低木のウラジロナナカマドは、北海道中部地方以北の高山に生え、高さは1〜2mになる。普通のナナカマドに比べて葉の裏が粉白色を帯びて、葉の先が丸みをおびる。

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千畳敷駅へ上る道端のハイマツの下に、ミズキ科ゴゼンタチバナ属のゴゼンタチバナ御前橘、Chamaepericlymenum canadense)が咲いていた。北海道、中部以北、四国の亜高山帯〜高山帯の林下に生える多年草で、高さは5〜15cmになる。葉は4〜6個が輪生状につき、白い花のように見える4個の総萼片の真中に、小さな花が10数個集まっている。

ゴゼンタチバナの左上に見えるのは、中岳でも見かけたツツジ科スノキ属のコケモモ(Vaccinium vitis-ideaea var. minus)である。

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千畳敷駅直下の草原に、タデ科イブキトラノオ属のムカゴトラノオ(零余子虎の尾、Bistorta vivipara)が群生していた。

北海道と中部以北の亜高山帯〜高山帯の草地や岩礫地に生える多年草で、高さは7〜70cmになる。花序は2〜7cmで、上部に白色の花、下部に珠芽(むかご)をつける。

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足下にはウサギギク属のウサギギク(Arnica unalaschcensis var. tschonoskyi)が、わずかながら咲いていた。北海道と中部以北の高山の草地に生える多年草で、高さは15〜35cmになる。茎葉はふつう対生で、長さ5〜13cmのへら形である。和名はこの葉の形をウサギの耳に見立てた。花茎の先に黄色で径4〜5cmの頭花を1個つける。夏山でよく見かける明るい花の一つである。

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ウラジロナナカマドの花にアサギマダラ(Parantica sita)が蜜を吸いにきていた。アサギマダラは、マダラチョウ亜科に属する大型の蝶である。長距離を移動するのが有名で、日本本土と南西諸島台湾との間を春に北上し秋に南下する。ふわふわと飛翔し、夏山のアザミ等のキク科の花などによく集まり、人をあまり恐れずよく目にするため人気が高い。

これで木曽駒ヶ岳ハイキングを終えた。天気に恵まれ、久しぶりに高山植物も30数種愛でることができてたいへん満足できた。

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駒ヶ根高原に下って昼食をとった後立ち寄ったのは、西国三十三札所観音堂である。元は、大鹿歌舞伎で知られる下伊那郡大鹿村鹿塩に宝暦6年(1756)に創建されていたものを、昭和48年に譲り受けて解体復元したという。観音堂の中には、西国三十三札所の本尊を縮小して彫られた木彫金塗観音が整然と並んでいるそうだ。

2012-08-27 千畳敷カール遊歩道

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天気が下り坂なので、帰りは休憩なしで八丁坂を下り、千畳敷カールの遊歩道に合流し、なおも雪渓を下る。剣ヶ池が認められないほどガスってきた。

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右上に目を向けると、ロープウェイ千畳敷駅から雪渓を横切ってやって来る人も多く、この遊歩道に来る人よりこれから駒ヶ岳に登る人がまだたくさんいるようだ。

まだ11時とはいえ雷雨注意報が出ているはずなので、他人ごとながら気になる。

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雪渓を渡り切ると雪解けを待っていたように咲き乱れる花がにぎやかである。これは八丁坂でよく見かけたシナノキンバイである。

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後ろを振り返ると、いっとき霧が晴れ上がってきたようで千畳敷カールのほとんどが見えるようになっていた。

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千畳敷駅にあるホテルもはっきりと見えるようになったが、疲れてきたせいかわずか数十メートル上るのさえおっくうになってきた。

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あらためて千畳敷カールを眺める。カール底末端のモレーン氷河が運んできた石等の堆積物)が学術上貴重なものとして、この氷河地形千畳敷カールは長野県天然記念物に指定されている。

2012-08-26 駒ヶ岳巻き道

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中岳鞍部への巻き道はほぼ水平なので楽できると思うが、この日初めての南西斜面なので今までと違う花が見られるかもしれないという期待の方が大きい。

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と思う間もなく道端に、アブラナ科ハタザオ属のミヤマハタザオ(深山旗竿、Arabis lyrata ssp.kamtschatica)が目立たぬ小さな白い花を咲かせていた。北海道、中部以北、大峰山大山四国の剣山の山地帯〜高山帯の砂礫地や岩場に生える多年草で、高さは30cmほどになる。日本のほか東北アジア北米北西部にも分布する。

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左手の斜面にはタカネシオガマやタカネツメクサに混じって、コマクサがあちこちに咲いていた。葉はすべて根生し、3出状に細かく裂け、粉白を帯びる。淡紅色の花は2〜7個つく。花弁は4個で外側と内側に2個ずつつき、外側の花弁は下部が大きく膨らみ先が反り返る。反り返ったところが白く見えて独特の姿となり、高山植物の女王と呼ばれる可憐な情緒を醸し出す。

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岩陰に八丁坂でも見かけたイワヒゲ(Cassiope lycopodioides)の群落を見つけた。属名は、ギリシア神話に登場するアンドロメダ(Andromeda)の母カシオペ(Kassiope)の名にちなむ。

これは八丁坂で見たものに比べて花つきがあまりよくないが、花つきがよいものや枝の太い、細い、花の大きい、小さいなど形態変化が大きいといわれている。

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ミヤマキンバイの上に見える小さくて白い花は、イワウメ科イワウメ属のイワウメ(Diapensia lapponica ssp. obovata)である。北海道と中部以北の高山帯の岩壁や礫地に生える常緑小低木で、枝は地を這い、厚い革質の葉を密生するので枝は見えない。花冠は15mmほどの短い鐘型で5中裂して平開し、形は梅の花に似るが基部は筒となる。5個の雄しべが黄色く目立つ。

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この斜面には高原でよく見かけるクジャクチョウが元気よく飛び回っていて、ハクサンイチゲの花などに止まる姿が見られた。

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中岳鞍部に近づいたところで、またもやヒメウスユキソウをいくつか見つけることができた。駒ヶ岳特産で個体数が少ないことから、環境省と長野県絶滅危惧種に指定しているので、写真は撮っても絶対に採ってはいけない。中岳鞍部から宝剣荘までの巻き道は、危険と書かれていた通り、大きな岩の間をよじ上るなど歩きづらく、少しも楽にはならなかった。

2012-08-25 頂上木曽小屋

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頂上の西側には木曽前岳を経て上松町へと下る登山道があり、すぐ下の頂上木曽小屋から中岳鞍部への巻き道があるのでそこまで下ることにする。

頂上直下は風雪が厳しいため極端に背の低いハイマツなどの植物が地面にへばりついている。頂上木曽小屋の屋根が見えたが、その先の北側は湧き上がる雲と霧で視界が遮られている。

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黄色いミヤマキンバイと白いイワツメクサも久しぶりの晴れ間に精一杯咲いているように見える。もうじき雲がかかり、予報通り雷雨になるかもしれない。f:id:hantubojinusi:20120723095039j:image

こちらの斜面には、ミヤマシオガマが咲いていた。鮮やかな花色はタカネシオガマと同じだが、花数がわずかに少ない。葉まで目立つといわれるように、ニンジンに似た葉は細かく切れ込みがあってタカネシオガマより繊細である。

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背の低いハイマツの間に盛りを過ぎたキバナシャクナゲ(Rhododendron aureum)が咲いていた。北海道と中部以北の高山帯の風衝地、ハイマツ林の縁などに生える常緑小低木で、高さは10〜20cmほどと低い。花は淡黄色または帯黄白色で、枝先に数個つく。

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頂上木曽小屋のすぐ上で、ミヤマダイコンソウの大株を見つけた。今までいくつも小さな株は見てきたが、これだけまとまった株はなかったように思う。

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頂上木曽小屋の入口に着いたが、もはや前方の木曽前岳は雲と霧でみえない。まだ朝の10時だが、中岳鞍部への巻き道を通って急いで戻る。

2012-08-24 駒ヶ岳山頂

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駒ヶ岳山頂近くの左手にキク科ウスユキソウ属のヒメウスユキソウ(姫薄雪草、Leontopodium shinanense)が咲いているのを見つけた。木曽駒ヶ岳の岩礫地のみに特産する多年草で、日本のウスユキソウ属の中では最も小さく、コマウスユキソウとも呼ぶ。ウスユキソウ属といえば、ヨーロッパに1種のみ産するエーデルワイス(L. alpinum)が有名だが、日本には5種も自生していて、本場スイスアルプスの大柄のエーデルワイスより、こちらのヒメウスユキソウの方が一段と可憐である。

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花茎は高さ4〜10cmで、茎葉には白い綿毛が密生する。白い花弁に見える苞葉は6〜10個、直径2〜3cmの星形に開き、中心に薄黄色の頭花が2〜3個つく。近くの赤紫色のタカネシオガマや黄色いミヤマダイコンソウの間で、全体が雪化粧したような姿を見せていてなんとも風情がある。

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ようやく木曽駒ヶ岳(2956m)の山頂にたどり着いた。木曽駒ヶ岳は、昔から信仰の対称とされてきた。古くは、暦応元年(1338)に高遠家親が山道を開設し、八社の大神を祀ったとされる。天文元年(1532)には、上松町の神官の徳原長大夫春安が頂上に駒ヶ岳神社(保食大神)を建造した。江戸時代には、上松町から信仰目的で盛んに登られている。現在も登山道にはその建造物が多く残り、山頂には木曾側と伊那側にそれぞれの駒ヶ岳神社がある。これが伊那側の駒ヶ岳神社である。石が高く積まれて風雪をしのいでいる。右に方位盤が見える。

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こちらが木曽側の駒ヶ岳神社である。こちらも周りには石が高く積まれて風雪をしのいでいる。残念ながら北アルプス方面は、湧き立つ雲によって何も見えなくなっていた。

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木曽側の駒ヶ岳神社には風雪にしごかれてきた鳥居が立ち、しっかりとした玉垣に囲まれた中に、小さいながらも千木のある社殿が建っていて、頂上本社の風格を備えている。

もちろん里宮は麓の上松町にあり、例祭で奉納される太々神楽は国の文化財に指定されている。

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木曽側の駒ヶ岳神社のすぐ下には、鮮やかな紅紫色のタカネシオガマが固まって咲いていた。高山植物の中で最も華やかな花の一つであり、特異な形の花を密に咲かせていてよく目立つ。

よく似たミヤマシオガマとの違いは、葉の切れ込み方であり、こちらは大まかな切れ込みとなっている。