日光

harimaya2016-06-20

美しい新緑の風景を見たくて日光を訪れた。
「日光見ずして結構というなかれ」と言葉も
宣伝文句だけではないと、いつも実感する。
男体山中禅寺湖、戦場ヶ原、華厳の滝など
観光的にも奥深さは関東随一を誇っている。
また東照宮などの歴史建築物も素晴らしい。
以前は紅葉観光で、秋半ばに行ったけれど
あの大混雑に入り込むスタミナはもうない。
だから今年は新緑の日光を見る口実で東部電鉄の特急「スペーシア」に飛び乗った。
今年は初めてだが、何回訪れてもいい。新鮮な空気と景色で何年か寿命が伸びる。

隠居の独り言(1506)

今の商いの内情は知る由もないが自分が働いた頃の会社には「符牒」というのがあり
商品の原価や見積もりなどで手帳に符牒が使われた。仲間内でのみ通用する言葉で
売買の場や顧客が近くにいる現場などで使われる。「符牒」というのは独特な言葉で
仕事場での状態や金額や作業や物事など顧客など内部以外に知られたくない事を話す
時に使用される。証券会社の「場立ち」も魚河岸の「手やり」も符牒の一種だろう。
得意先の売りで商品の単価を尋ねられると手帳で原価を符牒で確認し売値を相手に
伝えるが駆け引きのため符牒が必要だった。符牒とは数字の0-9を文字に変換して
手帳に書き込んで完璧に覚えることから始まる。それは会社内だけ通用する言葉で
例えば「小田原の次熱海」にすれば「おだわらのつぎあたみ」10個の文字はそれぞれ
1から0までの数字を言葉に隠されている。お得意先で商品の原価が650円のものを
3割儲けの845円で売りたい場合、手帳には原価は「つのみ」売値は「ぎのみ」と記す。
符牒は10の文字にダブリなく「ん」がない言葉を作る。例えば「おいてはこにしたがえ」
「わがはいわねこである」「かのじよはうつくしい」「おめでとうございます」何でもいい。
ちなみに自分の社の符牒は「NEWHATMYCO」のアルファベット文字を使用していた。
得意先で相手が手帳を覗いても解明できない。一種の暗号だが店員は自社専用の
符帳を覚え商売に臨んだものだが、現在の商いは殆どがネットのやりとりで人対人の
取引の温もりが薄くなってしまった。昔は全国の得意先を出張している商人もいた。
今はネットの普及で符牒も用無しになった。商売も人間味に欠けた気がしてならない。
しかし中にはそれを悪用する奴もいる。例えば麻雀で二人が組んで後で山分けする。
麻雀のルールを知っている人は分かるだろうが、組んでいる片方がテンパイしたとき
何気なく言葉で麻雀牌の数字を知らせ上がらせて稼ぐ方法だ。麻雀は4人で遊ぶが
残りの2人は、いいカモで、そんなイカサマも自分は知った。しかし博打というものは
儲かる気がしても回数が進めば結局はテラ銭の形で仲介者に吸い取られ泣きを見る。
博打で儲け家を建てたという話もみんな嘘だ。麻雀然り、競馬や競輪然り、宝くじ然り、
最後は「無」の切なさの快感だけ虚しく残る。「ノム・ウツ・カウ」の男の符牒の言葉も
快楽に溺れてしまうと毒に犯される。世の中の善悪は紙一重だが様々なことを経験し
80数年を生きた。今やID、パスワードの時代。符牒の言葉遊びをした頃が懐かしい。