隠居の独り言 30

今はペットブームという。色々な動物がいるけれど中でも犬と猫が殆どで、それぞれが、ペットは家族の一員として飼っている人が多い。人の好みも犬派と猫派に分かれる。孫たちも犬を飼いたいとせがむが製造業をしている以上、商品に匂いや毛が付くのでその関連で飼える状況でなく、職業的に衣料、食品、医療、飲食店などペットは飼えない。それに犬は飼い主に忠実すぎて何か切なくなってしまう。その点、猫は犬よりも不実で、飼い主に、ニャーニャーと体にすがって自己中心なドライな性格で冬の寒い日など自ら炬燵に潜り込むが飼主が抱き寄せると逃げてしまう。猫好きは、負け犬、犬侍、犬畜生の文字にニンマリと笑う。独立自尊の猫は主人にべたつかずそこが猫好きの所以で、犬派は、猫は引っ掻く、ネコババ、猫なで声、化け猫など猫好きでない。両派言い分に異を立てるつもりはないが中には犬猫両方とも好きという結構な御仁もいらっしゃる。どちらにしても現代の犬や猫は飼い主に愛されて幸せだ。その昔、徳川3代将軍・綱吉公は犬を大切にせよとの、お触れを出して犬公方と称されたがその実情は野良犬が可哀想と一箇所で保護したが犬小屋が狭すぎ殆どの犬がストレスで狂死したというから何のための政策だったのか。江戸市民にとっては野犬がいなくなって喜んだというから犬には有難迷惑だった。けれど市中の怖い犬が一掃され、その後江戸市民は犬が可愛く思うようになったというからその点は面白い。江戸の市井の庶民は猫が好きだった。和室に猫がいると絵になるし、天井に居候している鼠を退治してくれて大いに重宝され愛された江戸の猫だった。犬派も猫派も動物愛護の精神は人間味そのものと思う。