隠居の独り言 82

テレビのドラマで以前の映画を見た。「楢山節考」だが、年金も保険も無いあの時代の年寄りは非生産者として間引きされる運命にあった。物語では村の掟に従って70歳になった母を捨てるため、息子は山へ連れて行く。息子(緒形拳)と母(坂本スミ子)の好演は胸を打ったが、家族が生きるため誰かが犠牲にならなければならない。映画は貧しさと自然と人間の共生の難しさを知ることを見事に表している。日本では「姥捨て山」があるが、西洋の童話は子供を捨てた「ヘンゼルとグレーテル」の物語もあって自然と直接に向き合う昔の人の家族観は、現代とは違った厳しさと現実感が向きあったに違いない。今は社会全体が老人の面倒をみる制度になっているが老人自身もそれを当然の権利と思わず、社会に対して感謝しなければ罰が当たる。北欧での老人への対応や施設は優れたものがあるが、それに伴うには税が重く、デンマーク・スエーデン・ノルウエーなどの消費税率は軒並み25%も支払っている。来年の10月から日本も消費税10%になるが、今より2%上がるだけであってデフレの心配もあるが、思うより早く吸収されるだろう。膨らむ社会保障費の自然増、法人税の引き下げでの税収の減額など国債、財政状況は悪化しているので消費税アップは待ったなしの状況になってきている。選挙で増税反対、福祉優遇などツジツマの合わない公約の政党もいるが現実的でない。年金を受け取り、健康保険で医者にかかれる幸せは、それを負担する若い人たちがいることを忘れてはいけないと思う。