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初心者向け マジックカット入門
id:debedebeによる折本。(おおむね同じものが初心者向け マジックカット入門 - とある理系男子の書斎には、どうしても小説が少ない。っていうか無い。 - ファック文芸部で公開されています)
マジックカットを成り立たせている原理を平易に解説した掌編。テクニカルタームが頻出するわりに読みやすく、なんとなく理解できるし、面白く読める。こういう由無し事を始終ベラベラと垂れ流してくれる彼女がいたら俺はもう炊事から洗濯からもう何でも世話するのになあと思う。思うのだが。
俺が内容を理解できたのは俺の素養と理解力によるものでもなければ著者の工夫と構成力によるものでもなく、この文章が単に「小学生でも知ってることを難しい言葉で言い直しただけ」だからと考えるのが妥当であろう。平易に語ろうとする著者の努力は認めるが、平易に語ろうとするあまり、付随する様々な(有意義かつ興味深い)疑問に答えられていない。そもそもマジックカットの「微小孔を無数に穿つ」というアプローチはかなり突飛な発想であって、その前に当然存在したはずの「多数のIノッチを設ける*1」「裂けやすい素材を使う*2」といった方法がなぜ採用されなかったのか、という疑問は当然出てくるし、ポテチの袋にマジックカットが採用されていない理由もまた疑問だ*3。そうした疑問にこの文章は答えないし、それ以前にそもそも「なぜマジックカットは切れるのか?」という問いにすら答えられていない。「切込みを入れるとそこから切れやすくなります。これを難しい言葉で『応力集中』と言います」以上のことを語っていないからだ。
この文章では袋の端の応力特異点に注力して説明しているけれども、マジックカットにおいては袋の端は直線であり連続である。つまりこの文章はマジックカットの原理まで到達できておらず、「マジックカット入門」としては失格と言わざるを得ない。袋の端がギザギザな理由から初めて、最後に「現代科学が達成した異形のノッチ」としてマジックカットを持って来たほうが構成として面白かったのではないか。