ウェブ国産力

『ウェブ国産力』(佐々木 俊尚著)


ウェブ国産力―日の丸ITが世界を制す (アスキー新書 047) 790円 272p 1.10.2008


Contents
はじめに
【1 未来検索ブラジルはグーグルの夢を「見ない」】
   ベンチャー企業の新発想・国産検索エンジン
   ダジャレな名前の、まじめな会社
   スタートは2ちゃんねる検索エンジンの必要性
   なぜ今さら国産検索エンジンを作るのか?
   「グーグル」登場前の検索エンジンの世界
   ベンチャーキャピタルが無視したグーグル
   マイクロソフトとヤフーの反撃
   コモディティ(日用品)化の破壊力
   グーグルよりも進んでいる検索エンジン「テオマ」
   グーグルを使わなくなる日
   個人に合わせたパーソナライズ型検索エンジン
   守られた個人情報で検索の精度を高める
   迷惑メールビジネスが成り立つ理由
   検索結果をみんなで評価する
   キーワード検索を超えていく
   国産検索エンジンの「グーグル前史」
【2 持ち運ぶ「ライフログ」端末、ニッポンのケータイ】
   「ガラパゴスケータイ」が新たなプライバシービジネスを生む
   ケータイと私の一日
   ケータイだけができる「生活日誌」
   二十代のパソコン利用者が減っている利用
   秘密の花園、ニッポンのケータイ
   ケータイがもたらす国産検索エンジンの劇的向上
   ケータイが個人の属性、趣味思考を記録する
   ライフログ検索エンジンに活かす
   NTTドコモの「マイ・ライフ・アシストサービス」
   利用者の行動が取得できるケータイ
   「お勧め」が自動で検索される
   小田急グーパスの成功例
   消費者の行動にあった検索サービス
   プライバシーを守り、サービスの質も上げる
   ケータイの中に自分専用のエージェント
   中央制御ではなく、個々のケータイで分散処理する
   レコメンデーションの「コールドスタート」を乗り切る
   ガラパゴス進化した日本のケータイ
【3 ブログ検索でマーケティングが一変する】
   検索そのものではなく、検索から得られたデータをマイニング(解析)するビジネス
   自分の行動履歴でパスポートを作る
   ブログ検索エンジンという新潮流
   ブログから注目度や評判を解析する
   「やばい」はどう「やばい」のか
   用途に特化した検索エンジンから見える突破口
   ブログから性別、職業、年齢を推定する
   ベイズ理論とインターネット
   ブロガーの行動分析ができる
   blogWatcherが2つのビジネスに
   マイニングがニッチでマイナー、だけど優良コンテンツを見つける
   自分の行動履歴を提供して利便性の高いサービスを受ける
   マーケティングの世界が一変する
   ブログのプライバシー
【4 「気づき」を与えるアーキテクチャー】
   事故につながりそうな要因を検索、解析して対策を作り出すシステム
   リアル世界のマイニング技術
   なぜ事故は起きたのか −ハインリッヒの法則
   日本航空インターナショナルの「新総合安全運行支援システム」
   事故につながる共通因子を見つけ出す
   「ヒヤリハットレポート」の重要性
   ITの力で運行レポートをマイニングする
   テキストマイニングの三つの応用分野
   なにげない店長日誌も価値ある分析結果を生む
   労働災害の安全報告書のテキストマイニング
   報告書から推測を導き出す
   事故の要因が「可視化
【5 リアル世界とインターネットをつなげるウェブ国産力】
   災害や健康管理をデータ化するP2Pの可能性
   P2Pがネット世界とリアル世界をつなぐ
   P2Pビジネスの隆盛
   苦杯を嘗めたP2Pビジネス
   常にデータの流通が必要なP2Pビジネス
   スカイリー・ネットワークスの無線P2Pビジネス
   失敗後の大きな活路 ―RFIDとデセントラ
   救急活動でRFIDが命を救う
   被災地の情報をP2Dでリレー中継
   ユビキタスセンサーの4つの分類
   国産P2P技術が世界を制する
   高齢者の健康管理にセンサーネットワークを使う
   企業が本気になりはじめた
   「健康情報検索」
【6 情報大航海プロジェクトを推進する男】
   彼は何を追い求めているのか
   新聞各紙も驚いた「ありえない人事」
   日本の技術で世界を変えることが減ってきた
   誤解された情報大航海プロジェクトの目的
   「検索」という単語では説明しきれない
   優秀な国産検索技術が勝てなかった理由
   グーグルが支配できない豊かなデータの世界
【7 ウェブ国産力が世界を制するために】
   立ちはだかる三つのハードルを超えて
   便利なだけの「素材屋さん」になるな
   二つの国家プロジェクトの壮大な失敗
   「官」ビジネスに群がるコバンザメは誰か?
   閉ざされた日本の要素技術
   日本のITベンチャーの三つの世代
   ビットバレーという「祭」
   技術に乏しかったネットベンチャー
   日本のITのいびつな構造
   もう消費者は「作り込み」だけでは満足できない
   製品のネットワーク化に遅れる国産技術
   技術系ベンチャーを選ぶ人が増えてきた
   ベンチャー企業志望者が増える三つの要因
   第一のハードルは大企業とベンチャー結合
   ベンチャーに人材を流す
   国家プロジェクトらしからぬ、情報大航海の四つの仕掛け
   極めて異例な日立コンサルティングの登用
   ITの特許をめぐる裁判
   1.カシオ計算機 対 ソーテック
   2.松下電器産業 対 ソーテック、ジャストシステム
   情報大航海プロジェクトの裏の狙い
   著作権という第二のハードル
   第三のハードル、プライバシー問題
   曖昧な個人情報保護法
   個人情報の安全性を担保する仕組み
   個人情報と消費者の感覚
   情報大航海の個人へのアプローチ
   情報大航海プロジェクトは理解されるか
エピローグ/あとがき/引用文献


Information
可能性の総量
この本では、国産競争力を定量的にではなく「可能性の総量」として扱いたかった。
それは、「国産力」という抽象的な題名にも現れている。


グーグルがカバーしているのはあくまでウェブの世界。
しかし、ウェブの外に眼を向ければ、様々な画像、音声、センサー類のデータなどを上手く解析する解析技術というのは、日本のお家芸だ。


3つのハードル
国産ウェブ技術が世界に出て行くには三つのハードルがある。
1.技術とビジネスのギャップ
2.著作権問題
3.プライバシー問題
1は自助努力に任されるが、2,3は制度的問題である。
政府の果たすべき役割(果たさないといけない最低限のこと)は大きい。


プライバシーの問題をクリアする方向は二つある。
1.利便性を得るためなら、仕方がないコストだとユーザが割り切る場合
2.例えばオープンソースにするなどして、「このソフト、サービスなら大丈夫だ」という信頼感を培う


徹底的な実証分析で消費者一人ひとりの行動や属性への踏み込みがネットでのマーケティングの課題となっている。
M1F1で終われないというのは、もう業界標準かな?
データからテキストへ。
特定の質問をするのではなく、どういった単語・イメージが連想されていくかリンクされるかを把握する。
そういったことがIT技術の進歩で可能になりました。
マインドマップに近いものを想像してもらえればいいかな?


変化していく機械
かつて、ハンドルは部品によってダイレクトに駆動車を動かしていた。
しかし、現在では電気信号となっており 物理的には車軸とつながっていない。
ハンドルの形状をしている必要はないのだ。


現在使われているケイタイにも変化の可能性はある。
ケイタイという機器自体が高度化し、ケイタイとリアルとの接点がどんどん増えていくのであれば、
従来のような サーバに何でも送るという中央制御的なモデルではなく、ケイタイである程度の処理を行うという分散型モデルが主力になってもおかしくはない。




About author
佐々木 俊尚
早稲田大学政治経済学部政治学科中退
毎日新聞社入社
アスキーに移籍
03年に退職後フリージャーナリスト
著書 『フラット革命』など
HP 佐々木俊尚


「検索」というものを、より広く捉えて アイデアのきっかけにしてもらいたいです。    


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