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2007-02-18

彼氏彼女の事情 津田雅美 恋愛における救済

いままで少女漫画をあまり読んでこなくて、何から読もうかな?と思っていた所にやくろさんから薦められて大人買いして読破。いや、正直なめてました。マジで面白かったです。特に後半

ええとね、私はどっからどうみてもage信者なんですけども、同時にTYPE-MOON信者、というか奈須きのこ信者でもあるんです。で、彼氏彼女の事情もすっげー好きになったんですけど、恋愛を描くにあたって、どれも「救済」にむかっているんだろうなっていう事に気づきました(注:遅い)。

 

それも、とくに理解型の救済ですね。*1

 

彼氏彼女の事情(めんどくさいから、以下カレカノ。)は、初期の頃は軽快なテンポでサクサク進むし、一話で完結する(こともある)し、笑えるし、でむしろ前半を良かった!っと捉える人が多そうに勝手に思ってるんですけど、僕の場合は、むしろドロドロしてくる後半の方が大好き(笑)いや、正確にはドロドロした重さ、暗さの中から、最後に救済される姿を見るのが凄く好きです。なんか、後半は重い、暗い、長い、とあんまし良い事なしに見えてしまうんですけどもね。心理描写が分厚く積み重なっていくので、頁数はどんどん必要になる、結果どんどん話は長くなる、と、リアルタイムで読んだ読者は、(まぁ、話が暗いのはともかく)きつかっただろうなぁとは思います。完結した後に読んでよかった。

 

で、タイプムーン(以下、型月)とアージュの話題を出したんですけど、代表作の「君が望む永遠」も「Fate」も理解型の救済に向かっているんじゃないかなぁ、とか思って。あ、君のぞは当然、水月シナリオ限定ね。それ以外ははっきり言ってしまえば、孝之の逃げなので(笑)遙シナリオは水月の重さから逃げた、現実を放棄した、過去に囚われてしまったという逃げです。だから、水月シナリオは孝之は成長するが、それ以外のシナリオでは孝之は成長しない。水月の過去を理解して受け止めたから孝之は(ちょびっと)成長して最終的にはハッピーエンドとして報われる。まぁ、だからこそ遙エンドはちょっとどうかと思ってるんだけどね。Fateの場合はもっと分かり易くて、セイバールートなんかはモロに理解型の救済やってて。セイバーの過去を理解して、そうじゃない!過去は受け入れないと駄目だ!っていう行動を士郎がみせるから、セイバーは士郎を好きになるし、救われる。ようするに過去を受け入れるという行為が救済っていう行為と同じなんだよな。

 

いかん、なんかカレカノの話してない(笑)

 

で、カレカノは、初期こそ軽快であるけれど、多分、かならず最後に有馬一族の話をすると決めていたんでしょうね。それは総一郎が自意識の闇から克服して、受け入れてもらえる環境を作る必要があったという事でもあるし、そういう環境に育てるために、中盤はクラスメートの話がメインになったんだろうなぁと思います。そういえば、雪乃と道が決定的にズレたと確信する、9巻ラストから、一馬とつばさのエピソードを挟んだのって上手いよなぁ、とか思います。このエピソードが大体1〜2年間かかってるんですよね、多分。連載で追っていた読者がちょうど伏線を忘れる辺りにセットしてるという。雪乃が総一郎の嘘に気づくのも1〜2年後。つまり、読者が雪乃とシンクロする事狙ったんだろうなぁって思って。まぁ、これはちょっと考えすぎっぽいけど(笑)

 

で、13〜16辺りで、総一郎自身の暗闇は解決した訳ですけど、当然、今度はそういう事態を引き起こしてしまった父親に焦点が当たるに違いない!!と思っていたら、怜司と総司の話が出てきてドンピシャっていう(笑)*2そういえば、DVを受けて育った子供は、親になったとき自分の子供に同じ行為をしてしまいがち、なんだとか。そういう負の連鎖が有馬一族では続いていたのですね。それを断ち切ろうと総司は果敢に挑むも、怜司に子供ができてしまい、惜しくも夢破れるというのが基本の流れ。親ができなかった(しかも怜司と、総司という二人の父親!)ことを、息子の総一郎が今度こそ成し遂げた!っていう読み方もできるよなーとか思ったり。親の悲願成就!みたいな。

 

それにしても、(話が行ったり来たりしていますが)津田雅美は後半になるにつれて、どんどん心理描写の積み上げが分厚くなってしまって、エピソードが巻をまたぐようになってしまうんですよねぇ。でも、これは決して手抜きという事ではなくて、むしろ漫画として洗練されていってるんだと思いますが。洗練という表現であってるのかよく分かりませんが、少なくとも手抜きではないですわな。そもそも大きなコマを使ったほうがインパクトやら強烈に決まってるんですし、ましてや心理描写をしなければいけないんだから、表現に幅を持たせようとするのはふつうじゃないかなぁ。まぁ、最後の宮沢父の見開きどアップは、さすがに手抜きといわれても仕方ないですが(笑)

 

あと、最後の咲良ちゃんが可愛すぎるのはどうにかして欲しい(笑)(ああいうとにかく可愛く描かれたキャラ、とくに黒髪ロング*3はすげー好き)

浅葉ちくしょー!!!とか思いつつ、唯一報われていない存在だったのが浅羽だっただけに、しかたあるまいとも思ってしまいますな。21巻初話でのエピソードでそういう落とし所作るかぁーとは思ったりしたのですけど。でも浅羽にも「救済」が来たという事ですか。

 

咲良「でも、私以外の女 本気で好きになること できないくせに

 

この台詞なんか、浅葉を理解してなきゃ出てこない台詞じゃないですか。一応全員救われたんだなぁと思うと嬉しくなりますね。恋愛描くなら、やっぱこういう理解に向かわないと駄目なんだなーとか思ったりしたのでした。あと、最終回の冒頭には思いっきり釣られた。ちくせう。

いまさら俺が言うのもあれですが、おススメ。

*1:でも、マブラヴは違うか

*2:……すいません、ちょっと調子のりました。

*3:誰も聞いてない。

    2007/02/27 12:15 後半が好きな人って珍しいですね。

__ 2007/02/27 15:25 初めてコメントします。
連載第一回からリアルタイムで読んでいた身ですが(笑)私も実は後半の方が好きです。
初期の明るいラブコメとしても、かなりの衝撃を受けましたが、
後半の、まず問題(不幸)が膨れ上がって、それからの救いへの持って行き方に「やられた!」と…
一つ難点を言うなら、当初は「漫画的な味付けは多少あれど平凡」だったキャラ達が、
ほぼ全員常軌を逸した存在になってしまったのは寂しいなぁ、と(笑)
それでも勿論好きですけれども!

hasidreamhasidream 2007/02/28 00:17 まぁ、初期から微妙にすれ違っているんですよねぇ、雪乃と総一郎は。それが解消されるカタルシスが最高でしたね。あと、後半を好きになれるかなれないか?っていうのは僕の場合、まとめて読んだからってのも大きいかもしれないですね。僕そんなに気は長くないんで(笑)
>ほぼ全員常軌を逸した存在になってしまった
僕は、英雄記みたいなもんだな、と思うようにしてます(笑)

rasoraso 2007/02/28 23:56 初めてコメントさせていただきます。「でも、私以外の女 本気で好きになること できないくせに」名ゼリフだとおもいます。
 あの咲良のセリフを聞いた時、目の前が開けたような感じを受けました。最終回は思い出すと胸が熱くなります。家族とうまくいかない。いつもどこか満たされなかった。そんな浅葉に、最後の最後にこの様な出会いが用意されていたことが嬉しかったです。

hasidreamhasidream 2007/03/01 02:12 津田雅美なら、作ろうと思えば、浅葉のエピソードも絶対に作れるはずなのに、おかしいなぁとは思っていたんですよ。最後に二人の娘を救済に使うか!っていう構成の仕方は上手い!って思いますよね。

奏 2007/12/08 16:27 遅ればせながら、初コメントです。
カレカノの後半は私も大好きです。
「でも、私以外の女 本気で好きになること できないくせに」って台詞は
リアルで言われたら呪いですけどね(笑)
長い積み上げがあって生きてくる台詞ですよね〜
作者は本当に良い作品描いてると思います。

hasidreamhasidream 2007/12/08 21:53 >奏さん
カレカノ楽しめたのでしたら、一緒に羅川真里茂の『しゃにむにGO』もあわせておススメしますよ。おもしろいですよ。

ポートレイトポートレイト 2007/12/16 22:10 彼氏彼女の事情 大変面白くて何か私たちに共通しているところがあるような
気がします。

luxinluxin 2008/09/10 01:54 はしさんとは君望解釈でも対立してることが分かったぞ(笑)
(遙、水月、茜の三シナリオで一番逃げてるのが水月という認識のluxin)

……本題じゃなくてすんません。彼氏彼女の後半は私も好きです。最後の最後の方が微妙に「所詮は能力ある者、持てる者たちのドリーム設定解決」になってるのが少し気になりますが。

hasidreamhasidream 2008/09/10 14:16 >如星さん
いや、正直君のぞキャラはほぼ全員どっかで「逃げ」てると思いますよ(笑)。モトコ先生だけがすべてを見渡している感じで(笑)。水月と孝之は、ちょっと共依存っぽく逃げてる感じがしますね。遙が目覚めて現実に直面するんだけど、ギリッギリまで逃げ続けてるから、孝之も水月も「逃げ」てるっていう意味じゃあまり変わっていないような気がしますねぇ。

あとカレカノのは英雄譚だと思えば!(笑)。

しょう太郎しょう太郎 2009/05/06 13:25 はじめまして俺つばの感想から飛んできました。
前半は普通の少女マンガでした、おもしろかったですけど。
ただしわたしも後半の虐待の過去から立ち直る部分に
ひきつけられました。
(虐待の描写は神がかっていた!)
オレつばもカレカノみたく母親や父親の話を膨らませれば
名作になりえたと思います。
いい作品を紹介していただきありがとうございました。
タブンここで紹介されなかったら一生読まなかっただろう
ものでした。

なまえあああなまえあああ 2011/10/10 01:06 在学中に妊娠っていうのが
好きじゃない部分。。。

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