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2008-09-16

マクロスF 異星起源種との殲滅戦争について

そういえば、マクロスF(の筋立て)が面白く感じられるようになりました。色々と仕込んであったんでしょうが、それバラすのはだいぶ遅かったー……というか。バラしたのを前提にしてどうすんの?って話なのでは?とも思いますが、まぁ、それは置いておく。23話のシェリルかわいーとかも思うけど、どう考えても不安の裏返しでしかないので、心が痛くて可愛いとかそもそも思えない(笑)。ともあれ筋立てですよ筋立て。

 

マクロスFって、実は『異星起源種との殲滅戦争』モノでもあるので、このブログでよく記事を書いている『マブラヴオルタネイティヴ』ともかなり深い関連があるんですよね。物語に登場してくるバジュラという生き物は、高い適応能力をもち、しかも人間たちよりも物量という点において勝っているところ、それによって人類が追い詰められている所なんかとくに似ている。

 

もともと、歌とハイスピードバトルシーンを組み合わせるという『発明』を利用したアニメってだけで、見る価値があるわけだけど(笑)、フロンティアが極限状態に陥ってしまった辺りからは、話も普通に面白い。

 

ヒロインのランカに『バジュラと人類を繋ぐ存在』だってことで、コミュニケーションを取って和解に持ち込む可能性が残されていることをどう扱うのか。そして、そのある意味で「最善」の選択をやろうとしているランカが否定される(ように見える)方向へ今の所演出がされているところ。たぶん、ここ数話を見てランカの方を応援したい!と断言できる人間はあまりいないと思う(笑)。対して、シェリルは判官贔屓的な感じになってきてて、彼女を応援したいーという人が増えてそう。

 

ま、それはともかく。

 

ランカがBETAならぬバジュラとコミュニケーション、和解の方向へ(いずれは)持って行くだろう、てのはまず分かる。ランカがバジュラを殺す為に歌うことを拒否したのは、つまりそういう事だし、飼ってたペット=バジュラの子供を返しに行こうとするのもそれ。で、それに呼応する形で、大人(笑)たち……オズマたちはランカのもとへ向かっていくわけだ。

 

しかし、ランカのそういった動きに対して、レオンは徹底抗戦の構えを取り、またアルトやシェリルは近い立場。バジュラとの対応をめぐってランカ側と対立化していることが面白い。また、アルトもその立場を(一応は)理解していて、ランカがバジュラ寄りに行くのならば、ランカを殺すのは俺だと決心する、と。で、シェリルはある種、それをアルトを巡るランカとの戦いの中で「敗北」として捉えていそうなのも面白い(笑)。いや、誤読かもだけど。

 

理想論と現実

 

さて、バジュラとのコミュニケーションを取ろうとしている『ランカ側』と、徹底抗戦の構えの『レオン側』。

 

……果たして現実的なのはどちらか?

 

といえば、当たり前ですが『レオン側』なんですよね。もちろん、理想は戦わずに済むことです。でも……会話もできない……そもそも群体生命であるバジュラにコミュニケーションを取ることがそもそも現時点で不可能に近い……そんな状況でもバジュラと戦っちゃいけません!と叫ぶのは、単なるわがままにしか映らない(笑)。それは、目的にたいして有効な手段が確立していない……そしてその手段が有効なんだ!っていうことをちゃんと主張していないから。だからそう見える。

 

その点、ある意味で苦痛こそ伴うが、徹底抗戦を唱えるレオンの主張は正しい。コミュニケーションを唱えて、その結果滅ぼされてしまったら本末転倒だから。であれば、バジュラから逃げる。そしてそれが不可能であるならバジュラを殲滅する、という発想は非常に正しい。*1

 

マクロスFでは、ランカがコミュニケーションの可能性を残していて、何よりまだ猶予もある。そういえば、シェリルとニュータイプみたいに(笑)話すシーンがあったけど、あれって伏線なのかなーとも思えるし。一体どう持って行くのか非常に楽しみです。

 

頭のいい人や天才は何を考えているのかわからん(ことがある)。

 

で、マクロスFでの問題点のひとつは『ランカ側』の主張の正しさに説得力を欠くことだと思うんですね。あの極限状況で、戦闘中にランカが突然「歌いたくない!」って……(苦笑)。バジュラは殺さなくてもいいけど、人間は殺してもいい!って取られてもしかたないですよ。あれは、正確にはバジュラを殺すのも人間が死ぬのもどっちも見たくない!って意味ですよね。

 

その主張の正しさ……正当性や説得力が無いと思う。しかも、それに賛同する形で動くオズマ達も「レオンは何を考えているかわからない」くらいで動いて(そうに見え)るのが、何とも底が浅く映ってしまう……。本来は彼らももっと深い葛藤があったうえで、その「立場」を主張しているのだと思うのだが。

 

なぜ、こういう話をするのかと言えば、物語のダイナミクス……おもしろさって一つに、主張と主張がぶつかり合う葛藤にあるわけですよ。で、片方はともかく、少なくとも『ランカ側』にあまり主張の正当性を感じられないとぼくは思う。そこがちっと勿体ないなーとか。その原因って、ランカが何考えてるか分からないところに結構原因があって……。いやー、天才肌の人間って、何言ってるかわかりません(笑)。彼らには彼らなりの、ある種「確信」があるはずなんですが、あまりに自明すぎて説明する気にならんのでしょうな。凡人にはわかりませんよそんなこと!(笑)。

 

で、更にいえば、だからこそオズマ達がそこに賛同する理由もいまいちハッキリしないわけです。そのうえ、賛同する理由を、アルトたちに説明しようともしない。これは、説明を放棄しているんだろうなー。アルトが問いただすシーンでもオズマは答えようとしない。22話ですね。

 

「ちゃんと答えろよ!」

気にくわんトップのために血を流すのは、趣味じゃなくてな。俺の大事な女たちを守るには、これがベストのやり方なのさ」

「女って……! それが大人の言うことかよ!!」

「悪いが、おれは大人じゃなくて、漢なんだよ!!!」

 

まあ、カッコいいわけですが!

 

……でも、これってある意味、責任の放棄でもあるのは事実なんだよなー。クーデターにしても、レオンが大統領暗殺を狙っていたから、だけでは弱い気がするし、そもそも既に大統領は殺されてしまっている。この危機状況でさらに波紋を広げるのは、本当に正しいのか。仮に、正しくとも、その正当性がすくなくともぼくには伝わらなかった。誤読だったらあれですけど。

 

上のやり取りに対して、更にオズマは「お前こそ、状況に流されてはいないか?」と追求するわけですが、これって言い換えると「もっと、本当に自分がやりたいことやれよ!!」なんですね。家を抜け出してきて、本当にやりたいことをやってるつもりのアルトにとっては随分痛い言葉なわけですが(笑)、この言葉を大人であるはずのオズマが放って、子供であるアルトが大人であることを主張する形になっているのがわかります。

 

ここは、オズマがアルトに説教するシーンとして描かれているんですけど、その割にはオズマさん底浅くないですか……という(苦笑)。ベストの行動をするなら、せめてその正当性を主張するためにあがくべきでは?みたいな。大人である責任を全うした上で、漢であることを主張してくださいよ、オズマさん、と。ここでアルトがピリッとした返答をするなら「あんたこそ、ちゃんと状況を直視してるのかよ!」と(笑)。これって、自分が守りたいミクロなものを守るために、マクロな正しさを裏切っている、とも読めるわけで、そして裏切りを遂行するなら、その裏切りをちゃんと見つめないといけないのでわ……とか思ったりする。そして、おそらくはオズマのやることが正しくもなるであろうから、なおさら良くないと思うんだよな。責任を放棄して子供として振る舞うことが正しいとは思えないなー……。この大人観は、ちょっと首を傾げるところ。

 

それはともかく……

 

ま、ともあれ、ランカ側の説得力が欠けてはいるものの、異星起源種との全面戦争での極限の判断を迫られるのは間違いない。しかも、ランカが絡んでいるから、いちおうはマクロとミクロのリンクもできている。「ここ」まで描けただけでも、評価はできると思うので、今後が楽しみです。

 

アルトの造形も、空に憧れていることと、演じることのどちらが本質なのかという問題もあるし。まあ恐らくは空に憧れることは、抑圧からの解放を願っていることの現れだとは思うんだけど。そのアルトが、「大人であること」を主張するのも、また捻れた話だよなあと思ったりするし。話の流れ的に、子供であること、抑圧から逃げることをテーマとしているっぽいから、恐らく空を選ぶとは思うんだけどね。「マクロス」という冠背負って、歌舞伎に行くのもどうも締まりが悪い気がするし(笑)。

 

ま、ともあれ、残り数話が楽しみです。

*1:この状況で思い出すのは『マブラヴオルタネイティヴ』における、あ号標的を目の前にして冥夜の反応だったりする。あの状況で、冥夜はコミュニケーションの結果……和平やそういったものの可能性を無視して、主砲発射を促すんですね。それは、ある意味で正しいし、ある意味でコミュニケーションの断絶でもある。ある側面では……という話だし、たらればも通用しないしね。

 2008/09/17 17:10 オズマ万歳のブログばかりでなんだかなあと思っていた中この主張には共感を覚えましたよ
願わくばアルトには最期まで大人であろうとする事を貫いてほしいものです
余談ですがアルトの演じることと作中で言われていてもランカの願いは叶えてこなかったのでなんだかなあとも
大人である事ありきって事なんでしょうかね

hasidreamhasidream 2008/09/17 21:55 こんにちは。コメントどもです。
というか、オズマ万歳なブログばっかりなんですか。知らなかった。世の中(略)。
最終的な評価は、もちろん結末で変わるので、そこ次第ですね。

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