高木 美帆、15歳中学生日本スピードスケート史上最年少でのバンクーバー五輪代表選出となった

スピードスケート五輪代表選考会最終日」(30日、長野市エムウエーブ)



 スーパー女子中学生が、メダル要員に大抜てきされた。女子1500メートルで高木美帆(15)=北海道・札内中3年=が、田畑真紀(35)=ダイチ=の持つ国内最高記録1分59秒30に0秒17差に迫る1分59秒47で優勝。バンクーバー五輪参加標準記録2分00秒00をクリアし、スピードスケート(ショートトラックを除く)では日本初の中学生五輪代表となった。大会後、男子10人、女子9人の五輪代表が決定し、高木は1000メートル、1500メートルに加え、女子ではメダルに最も近いとされる団体追い抜きチームパシュート)の3種目の代表に決まった。


女子1500メートルで優勝した高木美帆(中央)、2位の小平奈緒(左)、3位の田畑真紀


 表彰台のてっぺんで、金メダルを首から下げた。高木はメーンスタンドに両手を振ってお辞儀。回れ右をして、今度はバックスタンドに向けて同じ動作を繰り返した。そのしぐさも笑顔もぎこちなかった。初のシニア大会制覇。不慣れな優勝セレモニーは緊張しっぱなしだった。



 「この3日間で人生変わりました。来る前と一変しちゃったねー、って友達と話しました」。3日連続の快走。全国中学校大会でも優勝がなかった15歳が、この日はシニア大会で“飛び級”優勝を飾ってしまった。



 第1組で滑った1500メートル。短距離が得意の同走・吉井に先行されたが、慌てなかった。的確なラップは、ラスト1週でも衰えず、最後のカーブで吉井をとらえてのゴール電光掲示板の最も上に記された名前は、最終組終了まで変わることはなかった。



 この日の快走が、連盟の強化委員を動かした。1000メートル、1500メートルに加えて、当初は予定になかった団体追い抜きの五輪代表に抜てきした。鈴木恵一強化部長は「驚き桃の木の結果。きょう見て決めた。身体能力はすごい。正確なラップ、スピード、コーナリングスタミナもある。パシュート(団体追い抜き)に対応できる」。日本は今月のW杯カルガリー大会で2位に入っている有望種目だけに、メダル要員としての起用だ。



 「パシュート団体競技的。そういう面では、みんなで力を合わせてという感じでいい。(団体競技の)サッカーも好きですし。迷惑を掛けないように、少しでも力になれるように頑張りたい」。たった3日間で、いきなりメダル候補にのし上がった15歳。力を普通に発揮すれば、大仕事も不可能ではない。

◆スピードスケート・バンクーバー冬季五輪代表選考会最終日(30日、長野市エムウエーブ)女子1500メートルで、高木美帆(15)=北海道・幕別札内中=が国内最高記録に0秒17と迫る1分59秒47で優勝を果たした。ともに3位だった1000、3000メートルに続き3種目で表彰台。スピードスケートでは史上最年少(ショートトラックを除く)で1000、1500メートル、団体追い抜きの3種目でバンクーバー五輪代表に決まった。日本スケート連盟は高木も含め男子10人、女子9人の代表を発表した

最終組のレースが終わったとき高木はロッカーにいた。リンクに戻り見上げた電光掲示板。一番上に15歳の名前が映し出されると声が裏返った。



 「きょうは順位がビックリしすぎて、まだ実感がわかないな〜と。掲示板見たら『え〜!』みたいな感じでした♪」



 まっさらな氷の1組目で、同走は五輪内定の実力者・吉井。700メートル通過時点では1秒84の後れをとったが、徐々に差を詰めると最終カーブで抜き去った。国内最高記録に肉薄する1分59秒47。抜群のスタミナで表彰台の真ん中に上がった。



 ともに3位だった28日の3000メートル、29日の1000メートルに続く3度目の表彰台。団体追い抜きでもメンバー入りが決まった。だが、大問題が浮上した。姉・菜那さん(17)も通う帯広南商高への進学希望だが、推薦入試の面接日が五輪開幕の来年2月12日。来年3月上旬に行われる一般入試も世界ジュニアと日程が重なる可能性が高く、指導する桜井知克士コーチも「公立なので融通がきくのかどうか…」と頭を抱える。



 「スーパー中学生。スケート界の(石川)遼クン」と絶賛する日本スケート連盟橋本聖子会長(45)は素早く反応した。「そこ(受験)に不安を持って五輪に臨んでほしくない。どういう特別措置がとれるかお願いする」と受験日程変更などの特例を、北海道教育委員会などに申し入れる意向を明かす。参議院議員でもあるスケート界トップの“センセイ”まで動かした。



 19人の代表が決まっての会見では、23歳年上の岡崎が「若い子から年寄りまで、親子みたいな感じ…」と苦笑い。岡崎が銅メダルを獲った98年長野五輪当時3歳だった高木は、「初めての経験なので、全部吸収したい。精いっぱい力を出し切れるようにがんばりたい」と、夢舞台に瞳を輝かせた。

◆スピードスケートのバンクーバー冬季五輪代表選考会、女子1500メートル1組目で滑った高木美帆(15)のタイムは中学新の1分59秒47。これを誰も破ることができなかった。「1組目は重圧もなく滑れた。でも、びっくりしすぎです」



 同走者はスプリンター吉井小百合。前半に先行されたが慌てず、追った。最終周の最終カーブで吉井を抜いた。



 五輪代表が発表され、23歳上の岡崎朋美らと記者会見に並んだ高木は「びっくり。やばい。でも、これからはそうも言っていられない」。ぽつり、ぽつりと語った。



  目標を果たし「五輪ではすべてを学び、吸収したい」と話した。





★高木 美帆(たかぎ みほ、1994年5月22日 - )は、北海道中川郡幕別町出身のスピードスケート選手。163cm。幕別町立札内中学校在学中。主に1500mを得意とするが、500mから3000mまでのオールラウンダーである。



略歴

家族は両親と兄・姉の5人家族。兄・姉もスピードスケート選手。

5歳でスケートを始める一方で、7歳からはサッカーにも打ち込み、中学では男子に混じりフォワードレギュラーを獲得。北海道選抜としてJヴィレッジでの有望選手合宿にも参加した。

スケートでは2009年2月にポーランドザコパネで開催された世界ジュニア選手権で総合4位となる。

バンクーバー五輪選考会では1500mを1分59秒47の中学新記録で優勝。同種目に加え、1000m・団体追い抜きで五輪出場権を獲得(3000mは体力面を考慮して補欠とした)。1980年レークプラシッド五輪の加藤美喜、アルベールビル五輪糸川敏彦の17歳を抜いて日本スピードスケート史上最年少での五輪代表選出となった。

2010年には姉と同じ帯広南商業高校に進学予定。

一言 中学生で五輪出場なんて信じられな〜い。管理人は中学時代はただのほほ〜んと過ごしていました。遊んで食べて寝るこれだけでしたね。
若い人がどんどん台頭してくれると日本の将来は明る〜いと感じる今日この頃です。