ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

外側から人に入って来る物は人を汚すことができない

 江戸時代の事をよく研究している人々の中に、早世した漫画家杉浦日向子さんと、法政大学教授の田中優子氏がいます。両者とも想像力を最大限に働かせその時代の生活に迫り、まさに昔江戸で暮らした事があったようなリアルさを持つ本を著しています。
 例えば江戸時代の非常に効率の良い省エネ生活が挙げられます。当然電気もガスもなかった時代ですから、特に和辻哲郎の規定した三つの類型で「モンスーン型」に属する日本の夏は、極めて蒸し暑かったに違いありません。そこで江戸時代人の知恵が働き、その中から今日に至るまで継承されて来た方法が幾つかあるわけです。
 それらがこの電力供給不足になると予想された夏に活用されました。打ち水、すだれ、すのこなどがあります。ちなみに私の古いマンションでは「蚊帳」が重宝しました。このルーツはずっと古そうです。おかげで一度もクーラーを使いませんでした。
 それがリサイクル生活になると、もっと凄い、ここまでやるのかといった事柄が多くあります。http://www.simofuri.com/recycle/recycle.htmなどを参照してみて下さい。実に無駄が無く、使い捨てが当たり前となっている私たちには、むしろ衝撃を与えるはずです。古紙、古着、古布…すべて商いがされ、大切に取り扱われて来ました。杉浦さんの本を読んで記憶しているのが、現在の日本でほとんど使用されていない褌のリサイクルです。古布屋が買ってくれるからには、清潔な江戸人普段からよほどの入念な管理がされていたに違いありません。
 また現在は下水道の普及で見られなくなった「糞」の再利用が徹底していた事が挙げられます。人糞や動物の糞という排泄物が高い売買の対象となり、重要な有機肥料として再利用されていたのです。今のただうわべだけきれい好きな若者など、考えもしない事でしょう。
 聖書の時代それがリサイクルされていたかは書かれていないので分かりませんが、和辻の類型で「砂漠」と「牧場」の気候を併せ持つイスラエルの地では、人糞は土を掘って埋めるだけの簡素な「厠」で処理されますから、すぐ乾燥してしまい主食である麦の栽培では利用されなかったと思われます。いずれにせよそれが「汚れたもの」という聖書の重要な基準に当て嵌まらなかった事は、次のイエス・キリストのみことばから分かります。
 「エスは言われた。『あなたがたまで、そんなにわからないのですか。外側から人にはいって来る物は人を汚すことができない、ということがわからないのですか。そのような物は、人の心には、はいらないで、腹にはいり、そして、かわやに出されてしまうのです。』イエスは、このように、すべての食物をきよいとされた」(マルコ7:18−19)。
 このように人間の排泄物は「人を汚すことができな」かったのです。
 では今度の東電原発事故で明るみに出た放射性廃棄物はどうでしょうか。
 鉱山という外側から掘り出された天然ウランは、人手により濃縮されて原爆や原子炉にはいって来ましたし、プルトニウムも外部の実験室から同様にして原爆や原子炉の中へと投入されました。そこから燃やされ出て来た放射性廃棄物は人を汚すものとなり、もはや再利用出来ず、地球全体を汚染しようとしています。それは神であるキリストのみこころを大いに損ねました。さらに上記マルコ伝の続きを読むと…。
 「人から出るもの、これが、人を汚すのです。内側から、すなわち、人の心から出て来るものは、悪い考え、不品行、盗み、殺人、姦淫、貪欲、よこしま、欺き、好色、ねたみ、そしり、高ぶり、愚かさであり、これらの悪はみな、内側から出て、人を汚すのです」(マルコ7:20−23)。
 つまり原発で言えば、放射性廃棄物の処理法・処理施設など、確たる技術も展望もないまま、営利の為に見切り発車させた関係者たちの心の悪は、被害を受けた人、これから受けようとする人、さらに広範な良心的日本人の心を震撼させ、絶望させ、不安に追い込み、深い傷を負わせました。
 ですから原子力推進者らは、イエスの時代と異なり、いわば二重に人を汚す結果となり、その罪は極めて大きいと言わざるを得ません。そして全ての食物がきよいとはされなくなってしまったので、彼らの排泄物だってどうだか分かりませんよ。でも幹部たちは密かに汚染されていない外国の美味しいものばかり入手して食べ、自分の糞は清潔だ、清潔だと叫んでいるかも。
 一方でこの反省に立ち、朝日の9月20日報道では、「家畜の糞用尿 夢の電力」の題の下、江戸時代の政策を加味し、現代の技術を結集して、新たな再生可能エネルギー創出の試みが報じられていました。これこそ上記みことばの如く、汚れの少ないみこころに沿った科学技術になろうかと、多少は期待しています。