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ハテヘイの日記

2012-12-02

斉藤孝著『<貧乏のススメ>』を読む

22:20

 2012年11月3日のDANGO3兄弟さんのブログhttp://d.hatena.ne.jp/dango33/searchdiary?word=%2A%5B%C6%C9%BD%F1%5D)に、斉藤孝明大教授の「貧乏のススメ」が紹介されており、図書館で借りて読みました。

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 斉藤教授は日本でトップの大学を卒業しており、私がその名を知ったのは、明大でまだ教授に昇格していない頃出た本がよくヒットして売れていたからです。しかしそれはいわゆるノウハウ本が主体で、あまり関心がなかったのです。

 しかし今度の斉藤教授の本の題が、およそ彼にふさわしくない感じがしたので、なぜ?と思いながら、DANGO3兄弟さんのブログを拝見していて、読む気になったのです。好奇心だけは人一倍持っているので。

 斉藤教授は東大法学部を出て、大学院では教育学を専攻した優秀な学者です。どうして官僚とか一流企業、そして母校の大学からすぐ呼ばれて就職出来なかったのか、熟読しましたが、いまだ良く分かりません。

 その代りここでは「癖のある」貧乏人を探し出して来て、その貧乏生活を紹介しながら、その人の貧乏経験の魅力みたいなものを紹介しています。

 それで最初に出て来たのが、有名な独学の世界的建築家安藤忠雄氏です。

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 安藤氏は家庭の経済事情で大学に進む事が出来ませんでした。従って建築学を学ぶには、自分で本を読んで身に着けるしかありませんでした。斉藤教授の表現では「飢えた野獣のような感性」を持って、寸暇を惜しみレベルの高い本を読み続けました。この貪欲さが貧乏を力に変える達人に変えます。それが安藤氏でした。(*ただ今の時代貧富の格差が固定してしまい、貧乏な親の子が学ぶ意欲でさえ喪失している事例が多くあり、胸が痛みます)。

 次に登場したのが二宮金次郎でした。薪を背負って歩きながら『大学』『論語』の本を読み続けました。家に戻っても灯火の中、ひたすら読み、それらを全て暗記してしまいました。それで得た倫理観、様々な知恵を用いて、彼は農業振興策を行い有名になりました。(*後代国家に献身・奉公する国民の育成を狙う政治家たちに祭り上げられたようで、それは不幸な事でした)。

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 斉藤教授はこの二人を要約して、「勉強にはお金も才能もいらない」と言っています。この勉強という地道な努力にお金が要らない事は、私も証出来ます。(*お金がなくて、才能が抜群の人もいます。そういう人はまず人生に悦楽を感じているでしょうし、勉強して得られた知識をひらけかす事もありません)。

 斉藤教授の本の第二章以下はだいたい貧乏を力に変える為のノウハウ集です。

 斉藤教授の実体験も織り込まれています。

 技1「貧乏を受け入れる」、技2「『ちょっとした貧乏性』で働き続ける」、技3「体験の石油化(*若い頃の体験が石油資源のように身体のどこかに埋蔵されているので、あと後で燃料となり、苦境を抜け出せます)。この項に湯浅誠氏の言う「溜め」とか、消費しない生活が身について来るとか、面白い記事が載っています。技4「一冊の本をバイブル化する」。上記安藤氏の「ル・コルビュジェの本」、二宮金次郎の『論議』のように、一冊の本を読むと、体験の深みに入り、一冊を十回読む事で人は変わるのです。ちなみに私の場合「聖書」ですし、メル友のiireiさんは『老子』です。技5「誇りをもってプライドを捨てろ」(*士族の商法が引用されています)、技6「貧しても鈍しない」(*ただ今の時代は貧していると、なかなか良い人間関係を構築出来ません。教会に通うとそれが出来るようになりますよ^o^)。技7『明日はわが身と心得る』、技8「人生を通してのベースをもつ」(*二年分の手帳を持ち、前年と比較するとか、趣味を培う)。技9「かわいがられる」(子ども心を持ちながら社会性を身に着けるとか、感情をコントロールするといった大切な事柄が記述されています)。技10「濃い仲間をもつ」。

 なかなか面白かったです。斉藤教授は『論語』に惚れ込み、『論語』を持ち歩きながら、訳し楽しんでいます。インターネットでは決して深く味わう事が出来ません。私もネット記事の場合、ただ閲覧するより出来るだけ印刷して繰り返し読むようにしています。

 「わたしは豊かにシオンの食物を祝福し、その貧しい者をパンで満ち足らせよう」(詩132:15)。

 主なる神は霊的にも物質的にも貧しい者を支え、満ち足りた生活を保障されます。

 「貧しくても、誠実に歩む者は、曲がったことを言う愚かな者にまさる」(箴言19:1)。

 

dango33dango33 2012/12/02 23:10 こんばんは。
ブログ紹介して下さってありがとうございます。
hateheiさんと私とでは、同じ本を読んでも掘り下げ具合が全く違っていて、
再度自分のブログを確認すると、とっても薄っぺらい表現で後ずさりしています(汗)
(天カスぬきのうどん話とかですね・・・)
斎藤先生の本は誰でも簡単に読めるからいいですね。
今回の本のお題は貧乏とあって、共感もできますし。
「10回以上読んだ本」として私の頭に思いついたのは
群よう子の「きもの365日」でした、てへっ。

hatehei666hatehei666 2012/12/03 00:34  dango33 さんへ
 そんな卑下しないで下さい。もう2回もdango33さんが紹介して下さらなければ、目に留まる機会がなかったと思います。感謝してますよお〜。
 では3度目はどうか?実は図書館に群さんの本はいっぱいあるのに、予約予約と予約ばかり。結構人気があるんですね。やむを得ず別の題の本予約入れてみました^o^

iireiiirei 2012/12/03 02:04 齋藤孝さんは私とちょうど同学年です。だからキャンバスですれ違ったこともあったでし
ょう。ただ、私は彼の著作に批判的なブログを書いたことがあります:

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20061028#1292166368

齋藤孝の「天才論」に欠けているもの

群ようこさんは、初期の小説を除くと、「鞄に本だけ詰め込んで」という書評エッセイ集
を楽しく読んだことがあります。「ニジンスキーの手記」とか梶井基次郎の「愛撫」など
は私も既読だったので、群さんと私の感受性の相違に思いをはせながら読んだものです。

iireiiirei 2012/12/03 02:11 あ。追加・・・「貧乏のススメ」は面白そうですね。論語が好きなら、齋藤さんは極貧の
うちに死んだ顔回も好きなのでしょうね。孔子は顔回をべた褒めしていましたが、孔子の
教団を金銭的に支えたのは頭脳明晰、商売の才にも恵まれた子貢ですが。

hatehei666hatehei666 2012/12/03 10:08  iireiさんへ
 以前のブログ読ませて頂きました。斉藤さんの「天才論」、完璧に反論されたと思います。極めて興味深いブログでした。
 私も最初に斉藤さんのノウハウ本は読まないと書きましたが、この『貧乏のススメ』は、自分もそんな生き方をしているので、思い当たるフシが多く、面白かったです。
 iireiさんの言及された顔回ですが、「「賢なるかな、回は。人は貧乏の憂いに耐えることができないが、回は貧乏の憂いに耐えるだけでなく学問の楽しみを改めない」とネットにありました。これが斉藤さんの貧乏のススメの下地になっているのは、間違いないと思います。
 私も天才と聞くと、まずアインシュタイン、そして音楽からシューベルト、数学からは私も全くわかりませんが名前だけは知っているガロアあたりが頭に浮かんで来ます。
 群さんについてはdango33兄弟さんと通じるところがありそうですね。ブログコメントの楽しさは、こういう論議の発展にあると思います。

EPOMEPOM 2012/12/03 15:36 hateheiさん
私は実に実に「独学で」という人々を敬愛する者です
彼らこそが本物であると信じられます 誰彼から師事を受けたというようなことが全面に出ているのではいけません
自らの奥底から湧き出でるものに翻弄されながら事は成ってゆくものと思うのです
ですから金持ちでも貧乏でも立場の違いなく生まれ出てきた才能の結晶が人の心をつかみ揺すぶるのだと考えます。
話は逸れますが私は短歌で結社に属することを嫌いました ご存じの通り無教会派でもあります
ささやかに生活を送りながら人生を全うしたいものだと切望します。
斉藤さんの本も群さんの本も心地よく読んでおります。

springflowerspringflower 2012/12/03 16:12 こんにちは♪

私も斉藤教授の本は、図書館から借りて来て何冊か読みましたが
タイトルは忘れました…子供向けの本だったかも…(苦笑)
以前、斉藤教授が「世界一受けたい授業」というTVで、赤、青、緑の3色ボールペンで記憶したり、
スケジュールを管理したりする方法を紹介していて…私は今でも実践中しています(*^^)v

「貧乏」とて言う表現はあまり好きではありませんが
全て満ち足りているよりは、ちょっと我慢や工夫しながら生きて行くのが良いと思っています!

hatehei666hatehei666 2012/12/03 23:15  EPOM さんへ
 これはEPOMさんの持論ですね。迫力があります。私は「また、人がみな、食べたり飲んだりし、すべての労苦の中にしあわせを見いだすこともまた神の賜物であることを」(伝道3:13)という聖句が好きですが、人は皆生まれ落ちた時から賜物が与えられ、また罪の性質も固有のものとされたと信じます。ですから人は、等しく罪の結果としての労苦の中で、与えられた賜物に従い、共にその労苦を分かち合いながら、幸せを見出して行けたらよい人生になると考えます。現実は各人の出自でだいたい決まってしまい、悲しい事にその格差が固定されています。

hatehei666hatehei666 2012/12/03 23:32  springflowerさんへ
 そうそうその3色ボールペンですね。私は赤と青の2色ですが、いまだ自分の本であるなら、それを手元においてアンダーラインを引く習慣になっています。ゆえにその本は古本屋では売れませんが(苦笑)
 「飽き足りている者は蜂の巣の蜜も踏みつける。しかし飢えている者には苦い物もみな甘い」(箴言27:7)ということばがありますが、貴方の言われる事とよく似ていると思います。

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