ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

忘れっぽさと遺伝子

 「自分をながめてから立ち去ると、すぐにそれがどのようであったかを忘れてしまいます」(ヤコブ1:24)。
 3月21日のサイエンスデイリサイトに、「遺伝因子が忘れっぽさの一因となっている」という題で、論文が紹介されていました。
 研究したのはドイツボン大学心理学教授のマーチン・ロイター教授やセバスチャン・マーケット博士を主体とするチームです。
 自宅のかぎをどこに置き忘れたか?あの人の名前は何だったか?交差点の停止信号に気が付かなかったのはなぜか…こうした物忘れ又は度忘れは加齢と共にますます多くなっているように見えますが、その忘れっぽさが、脳前頭葉神経伝達物質ドーパミンと結合するドーパミン受容体(5つ)のうち、D2というものと関連している事を、既に研究者たちは2007年の段階で突き止めていました。
 ドーパミンD2受容体遺伝子(DRD2)が、前頭葉での神経伝達で大切な役割を果たしており、それはオーケストラで譬えて見ると、「統率する指揮者に譬えられます」とマーケット博士は言います。DRD2遺伝子が指揮棒です。ですから指揮者がその指揮棒のひと振りを抜かすと、オーケストラは混乱します。
 それでチームはさらに研究を続け、このDRD2遺伝子の変異型が物忘れと関連する事を発見しました。研究は500名の男女から唾液サンプルを採取して、分子生物学の手法で分析しました。全員がDRD2遺伝子を持っています。

 解明されたのは遺伝子座の塩基部分で、一つがシトシン(C)かチミン(T)という変異がある事でした。対象者の4分の1が排他的にシトシンだけを、4分の3がチミンを最低1つ持っていました。
 そこで研究チームはこの2つのタイプの変異型のある人々の日常生活での忘れっぽさを自己評価してもらいました。するとチミンDRD2変異を持つ参加者は物忘れや注意欠陥になりやすく、シトシン型はなりにくい事が判明しました。
 こう書いてしまうと、忘れやすさと遺伝子変異が結びついている為、自分はチミン型だと悲観的になるかも知れませんが、マーケット博士は賛同していません。「忘れやすさを埋め合わせる事が出来ます。つまりメモを書き留めたり、もっと努力をして鍵を特別な場所に置き、ただ何気なくどこかに置くような動作はしないことです。生活の異なる領域にそうした戦略を発展させる人々は、より良くその欠陥を扱う事が出来ます。