ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

スラップ訴訟

 不正な人は正しい人に忌みきらわれ、行いの正しい人は悪者に忌みきらわれる」(箴言29:27)
 2014年7月23日の東京新聞朝刊に「スラップ訴訟 市民団体が最高裁に抗議 『国の提訴はどう喝』」という見出しで、記事が載っていました。
 この言葉は聞き慣れないので、早速調べてみました。
 東京新聞には「<スラップ(SLAPP)> strategic lawsuit against public participation(住民の集団行動に対する戦略的な対抗訴訟)の頭文字」とありました。『権力が弱者や個人をどう喝する』訴訟の事です。
 確かにウイキペデイアなどで調べますと、過去にそのような訴訟が幾つかありましたし、外国でもそうした訴訟を禁じる法律を作ろうとする動きも活発にあります。
 例えばカナダでは「オンタリオはスラップ訴訟を禁止して言論の自由を守らなければならない」といった題のサイトもありました。その訴訟は表現の自由と民主主義がオンタリオでむしばまれつつあると書かれていました。大企業が行う訴訟は資金の乏しい被告人を黙らせ、言論の自由を凍えさせるものです。
 カネにものを言わせる大企業や政治権力によるこうした訴訟は、非常に効果的であり、通常普通の市民や公益団体は、当然巨額の訴訟費用が見込まれるので、脅威を感じますし、その活動は破壊されてしまうでしょう。裁判所による大きな損害賠償金支払い命令の可能性もあります。
 最近米プロバスケットボールの試合観戦中に、あからさまな黒人差別を行ったドナルド・スターリングなどは富裕ですから、訴訟を起こされても、資金的困難はないでしょう。しかし私たちごく普通の市民は、全国に広く支援金を求めても敗訴し、多額の借金を背負う事になるかも知れません。
 東京新聞での実際のスラップ訴訟例は、沖縄県東村高江での米軍用ヘリコプター着陸帯建設現場で、抗議の座り込みをしていた住民を、国が「通行妨害」と訴えた裁判で、その勝訴が今年6月の最高裁で確定した事でした。その判決に対して首都圏の市民団体が、表現の自由に対する侵害と、最高裁に抗議文書等を提出した事を受けて、記者が抗議の写真を添えて、それを記事にしたわけです。

 訴えられた伊佐真次さん(52歳)に通行妨害の禁止を求めた訴訟で、1、2審とも敗訴、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は、伊佐さん側の上告を棄却する決定をしました。ネットで調べると、それは交通妨害禁止命令だけでしたが、当然それまで膨大な訴訟費用がかかったでしょう。しかし沖縄のみならず、全国各地からの支援で、最高裁まで行く事は出来たのでした。左画像はhttp://satoru-kihara.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/06/post_e13e.htmlからお借りしました。
 こうしたスラップ訴訟のもう一つの例として、ウイキペデアによりますと、明大教授野中郁恵氏が公表した学術論文等の内容が、名誉毀損にあたるとして、投資ファンドの昭和ホールデイングズなどの経営陣の3人が、5,500万円の損害賠償を求めて提訴した事件があります。これはまだ係争中ですが、野中氏は2013年に反訴しているそうです。
 無謀な権力者のスラップ訴訟は、今後増大の一途を辿るでしょう。カネのない私たちは、表現の自由に関して、いっそう慎重に行動せざるを得ないと思います。