ディドルディドル、猫とバイオリン

2010-10-09

[][]創刊!ヤングライトノベル

ライトノベルにおける新規参入レーベルや高年齢読者層の増加によるものなのか、ラノベの主流とは毛色の違った作品が増えているような印象があります。

そこで、ラノベ青年誌、とくにヤング誌を構成してみる実験をしてみました。ツッコミ待ちなので見落としや誤りがあればコメントお願いします。


選ぶに当たっては、まずヤング誌を構成する作品のジャンルを経済・サラリーマン」「ギャンブル・テーブルゲーム」「ストリートギャング・ヤクザ」「ハードアクション・アーバンFT・ホラー」「格闘」「中華・異世界FT」「エロコメ」「スポーツ」「料理」「特殊職業・薀蓄」「コラム等」「萌えコメ・萌え4コマ」「同世代文学」「時代劇」「ギャグ」の15種に分類し、これに該当するラノベを探しました。

そのうえで、「可能な限り新しい作品を」「スポーツや萌えコメを除いて、できたら主人公が大学生以上」「レーベルごとの優先順位は→電撃ほか主要な文庫ラノベレーベル>ガガガ>MW文庫・講談社BOX・一部ノベルス>表紙がキャラ絵じゃないノベルス・非ラノベ文庫レーベルラノベ寄りの作品」といった判断基準のもとで作品を選んでいます。


なおツイッターで幾人かの親切な人に候補作品を御推薦いただきました。どうもありがとうございました。


経済・サラリーマン

経済を扱ったライトノベルは少ないですが、とりあえず経済ラノベといえばこのひと、至道流星がいるので安心して選べます。ほかに行商FTの『狼と香辛料』もありますし、あるいは“もしドラ”みたいなライトノベル風ビジネス書もあわせるとかなり選択肢が広がります。

雷撃☆SSガール (講談社BOX)

雷撃☆SSガール (講談社BOX)

ギャンブル・テーブルゲーム

基本的にめったにないんですが、昨年の『ナナコ・チートイツ』に今年の『アスカ麻雀餓狼伝―』と立て続けて麻雀ラノベが出版されました。もしかして『咲』のアニメ化の影響でしょうか。

ほかに、集英社SD文庫に『ブラックランド・ファンタジア』という賭けチェス士が殺人事件を追う話があるそうです。

アスカ―麻雀餓狼伝 (集英社スーパーダッシュ文庫)

アスカ―麻雀餓狼伝 (集英社スーパーダッシュ文庫)

ナナヲ・チートイツ (メガミ文庫)

ナナヲ・チートイツ (メガミ文庫)

ストリートギャング・ヤクザ

日本のヤクザものはまず無いですが、ストリートギャングや海外を舞台とする作品であれば成田良悟がいます。あわせて、ストリートギャングやヤクザの登場シーンも多い群像劇『15×24』を挙げました。

デュラララ!! (電撃文庫)

デュラララ!! (電撃文庫)

ハードアクション・アーバンFT・ホラー

このジャンルは選びやすいです。現代伝奇ラノベはいくらでもありますので。該当する作品群の中から特に主人公が社会人である作品を選びました。『レイセン』は現代伝奇、『コップクラフト』はアメリカの刑事ドラマ風の異文化交流FTです。

コップクラフト (ガガガ文庫)

コップクラフト (ガガガ文庫)

格闘

意外な事にこれが思いつきません。超常設定を含むバトルものはあっても、徒手空拳の格闘のみを描いたものはない。初出1985年の『餓狼伝』まで遡ってしまいました。異世界FTかつ武器ありで『上を向こうよ―格闘少女スズ』、ロボットもので『ランブルフィッシュ』が多少近い気がします。

新装 餓狼伝〈the Bound Volume 1〉 (FUTABA・NOVELS)

新装 餓狼伝〈the Bound Volume 1〉 (FUTABA・NOVELS)

世界史・異世界・近未来

見慣れない世界での戦記ものや冒険ものです。三国志とか宇宙開発とか。西洋中世風戦記FTならラノベにもたくさんありますけど、それだとあまり青年誌っぽく無いので偽中華武侠ラノベの『ケルベロス』を選びました。

エロコメ

ラノベには萌えはあっても直截なエロはそんなに多くありません。しかし多くないながらも確実に存在します。エロは強いですね。もしジュブナイルポルノにまで範囲を広げると無尽蔵ですし。

かのこん (MF文庫J)

かのこん (MF文庫J)

サディスティック88 (ガガガ文庫)

サディスティック88 (ガガガ文庫)

スポーツ

ロウきゅーぶ!』は小学生女子のバスケ部をコーチする話で人気作です。『暴風ガールズファイト』はラクロスもの。それ以外では『大正野球娘。』くらいしか思いつきません。架空のスポーツならば、階段駆け下りレースを描く『学校の階段』や近未来SFの『ヴィークルエンド』が。

ファンタジーにはなにか無いんですかね。『ハリー・ポッター』のクィディッチみたいな。

ロウきゅーぶ! (電撃文庫)

ロウきゅーぶ! (電撃文庫)

暴風ガールズファイト (ファミ通文庫)

暴風ガールズファイト (ファミ通文庫)

料理

マンガ界では一大ジャンルなのにラノベだと全然無いですね。全国高校カレー選手権での優勝を目指す『激辛!夏風高校カレー部いもうと付)』以外だと、半額弁当争奪戦を描く『ベン・トー』や調味魔導とかでてくる『食前絶後』みたいなはるかにかけ離れた話しか思いつきません。

特殊職業・薀蓄

挙げたシステムエンジニア以外だと、コンビニ店長を主人公とする『俺のコンビニ』がありますし、またラノベ作家・編集者を描くラノベは結構あります。ただどれも読者との距離が近いですね。その作品を読まなきゃ一生知ることもなかったような職業では無いのが残念。

なれる!SE 2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)

なれる!SE 2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)

コラム等

スニーカー文庫からエッセイが出ることもあるのです。なんでわざわざスニーカー文庫から出したんでしょうか。

萌えコメ・萌え4コマ

超常要素の無い萌えラノベというフィールドを成立させたのは『とらドラ!』の功績ですが、4コマ漫画を模してエピソードや人物描写を細切れに羅列していく『GJ部』は路線の最新型のひとつといえるでしょう。

とらドラ!1 (電撃文庫)

とらドラ!1 (電撃文庫)

GJ部(グッジョぶ) (ガガガ文庫)

GJ部(グッジョぶ) (ガガガ文庫)

同世代文学

「もうガキじゃねーけど、いまだなにものにもなれないでいるオレ達」のための文学。探せば他にもありそうな気はしますが思いつきません。森見登美彦は狭義のラノベ作家とは言えませんが、かなり近いところにいるように思われます。

伝説兄妹! (このライトノベルがすごい!文庫)

伝説兄妹! (このライトノベルがすごい!文庫)

時代劇

時代劇はノベルスにはいくらでもあるでしょうけれど、文庫ラノベでも徐々に増えているように思われます。電撃大賞受賞作『幕末魔法士』も記憶に新しいですが、なるたけ設定が現実に近いものを選びました。『あやかしがたり』は江戸時代の架空の藩を舞台としてますが、『観―KAN』は能の開祖・観阿弥を主人公にしています。

あやかしがたり (ガガガ文庫 わ 3-1)

あやかしがたり (ガガガ文庫 わ 3-1)

観―KAN (メディアワークス文庫)

観―KAN (メディアワークス文庫)

ギャグ

富士見ファンタジアのギャグ特化のスピンオフ短編集のなかでも、魔術士オーフェン無謀編の特に後半は乾いた日常と枯れたギャグを特徴としていました。萌えコメでも活劇でもないギャグは希少性高いです。


まとめ

  • 毛色の変わった作品が増えているのかはよくわからなかったです。
  • 青年誌ライトノベルでは思った以上に作品のタイプが違いました。
  • ライトノベルは複数ジャンルのハイブリッドが目立ちます。作画でケレン味を出せないけれど情報は詰め込みやすい文章媒体ゆえでしょうか。
  • 取材した情報が面白さの中核になるような作品がライトノベルに少ないです。職業ものも作者・読者の文化圏に近い。ライトノベルが読者の共感を喚起することを目指すジャンルだから、とかでしょうか。
  • しかし週刊どころか季刊も心配になるメンツがちらほら。
  • 意外に集英社SD文庫がジャンルの辺境レーベル
  • 気が狂った大金持ちが開いたトレーディングカードゲームの大会に参加して空気をざわざわ言わせる話とか、幽霊憑きの包丁を手にした主人公が変態料理人たちと七番勝負するラノベとか誰か書けばいいのに。出たら買うんですが。

じろうじろう 2010/11/10 23:50 こんにちは。
「格闘」ジャンルのライトノベルが全くといっていいほど存在しないのは、
なんというか、今のジャンルの限界を感じます。
餓狼伝はいわゆるライトノベルのイメージからは遥か遠い作品ですし……。

ただ例外はあります。桜庭和樹の『赤×ピンク』です。
一巻ものですが、戦うという行為を深く掘り下げた作品だと思います。
今のところ、私が見つけた唯一の格闘ものライトノベルであり、
お勧めの一作なので、不躾にも通りすがりに申し上げました。
それでは。

hatikadukihatikaduki 2010/11/15 21:41 ありがとうございます。桜庭一樹は砂糖菓子と読書クラブしか読んだ事ないので、赤×ピンクも読んでみます。

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