どうやって本を読むか

定期的に帰国すると決まって何冊か同じ本を読む習慣がどこかにある。それでその本の一つが「読書の技法」という本だ。名前の通りどうやったら効率的かつ一番思考力を鍛えられる読書法を実現できるかという方法論が記載されている本だ。いい機会なので自分なりにまとめてみることにする。自分の独断と偏見で掻い摘みながら書いているので詳細な内容や体系的な知識は著書を参考することをオススメする。
読書をするということはどういうことなのか。読書をする目的とは一体何なのか。著者はその目的を「自分の中にある知識を用いて現実の出来事を説明できるようになること」と定義している。読書を通じて専門的な知識を蓄えると同時にそこに隠された論理構造を汲み取って他の分野に応用する、そんな考え方を学ぶことこそが読書の真意だというのだ。
そこで一番最初に読者が行わなければならないことは本の選別であると著者は言う。人生には時間に限りがある。本には役に立たない本もあり、役に立つ本もある。そういった本を上手く見極めて時間を上手く使うことが大切であると。そのために著者は熟読法、速読法、超速読法という3つの手法を上手く使い分けて本を読むことが重要であると述べている。ちなみにこの作業に必要なものはシャーペン、消しゴムとノートである。自分が学びたい分野が一つあるとしたらその分野につき奇数で本を選ぶ。5〜9冊程あれば十分だと思われる。
超速読法:
これはいわゆる本のスクリーニングに使う。やり方は目次を読み、あとはひたすらページをめくっていくだけだ。気になるところはメモをし、そして結論部分の一番最後のページを読む。これを行うことによってその本が「熟読する必要があるのか」「普通の速読の対象にしてノートを作成する必要があるのか」「速読の対象ではあるがノートを作成する必要はないのか」の判定を行う。
速読法:
速読法と似ているが1ページにかける秒数が15秒ほどと多少長くなった。重要なところ(定義、結論や説明部分など)はシャーペンで印をつけ、そのページにポストイットを貼る。迷ったらとりあえず線を引くことをオススメする。分からないところは「?」でもつけておく。一番大切なのは必要とする情報についての明確な目的意識を持つこと。自分はどういった目的をもって何を学んでいるかという意識を持つ。個人的にはブログがアウトプット先になっているのでその辺はブログって便利だなーって思う。
熟読法:

  1. 通読を行なってライン引きを行う。ノート、シャーペン、消しゴムとボールペンを用意し、1回目に引いた部分で特に重要だと思う部分をシャーペンで線を引いて囲む。囲みはどんなに多くても全体の1/10に収めることを意識する。(10日間)
  2. そして囲みの部分をノートに写す。全て写す必要はない。迷ったら書き写す必要はない。具体的には定義、数字、固有名詞などに言及がある部分と、重要とは思うがどうにも意味がよく分からない部分を写す。そして欄外に「わからない」だとか「?」とか書いておく。これはただの写経ではなく理解するための抜き書きであることを忘れてはいけない。ちなみに英語力をつけようとするならば原著も買ってノートに書きだした部分の英語を探し同様に書き出していくと英語力も上達して一石二鳥。
  3. 目次の構成をよく頭に叩き込んで結論部分を3回読む。(3〜4日間)本文の中で挙げられた事例や立論がこの結論とどう絡み合っているかを考えながら通読する。これが結構難しい。
  4. 続けて残りの基本書を処理していく。3日間ほどかけて通読し(シャーペン、ポストイットを使って重要箇所をマーキング)、特に重要な箇所を2日ほどかけてノートに写す。

以上がおおまかな方法論のまとめだ。その他に著者の言及で個人的に面白かった点を列挙してみることにする。

  • 民族問題は勉強するのに時間が掛かるが、一旦大きな流れや論理構造が理解できると民族問題だけでなく人種問題や格差問題や宗教問題などにも応用が非常に利く分野。
  • ロシアの知的エリートは大学入学前に徹底的に教科書を読み込む。特に歴史と国語の教科書は質量共に日本語の量を超える。
  • 毎日読む時間を決めて毎日読み続けることが大切。ちなみにこの筆者はどんなに忙しくても最低4時間と決めているらしい。
  • 本格的な基本書で勉強するときは、その本だけに特化せず、軽い歴史読み物、小説、ビジネス書などと平行して読み進めていくことで能の活性化に役立ち記憶力も良くなる。
  • 能率が落ちてきたら、仮眠を取るか外国語か数学の練習問題を解く。
  • まとまった読書時間を取る。筆者は13時半から19時の間と24時から26時の間らしい。その時のポイントは仕事などで現在必要な本を極力読まないようにする。何度も読み返す基本書や過去に読んだ本などすでに記憶に定着させたものがオススメ。
  • 洋書は最低数十ページは読むようにする。1ヶ月間放っておくと語学力の低下につながるらしい。
  • 細切れ時間が多いビジネスマンでもちゃんと読書時間を確保することが大切。細切れ時間だけでの勉強法では効率が悪い。

読書の技法

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レーニン哲学ノート〈上巻〉 (岩波文庫)

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レーニン哲学ノート〈下巻〉 (岩波文庫)

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