2007-09-01
はやぶさ2の実現が非常に難しくなっている
本日四日市市で開催された川口先生の講演「はやぶさ−太陽系大航海時代にむけて−」のレポを,うらにわ宇宙空間観測所さんが書いて下さいました(いつもありがとうございます).
そのレポで,はやぶさ2の実現が予算面できわめて難しくなっていることが明らかになりました.
ただし,極めて重要な事柄が一点。
それは,「はやぶさ2」の実現が非常に難しくなっている,ということ。
以前から言われていることではありますが,JAXAにおける優先度が低く,とてもこのままでは実現できそうに無いということです。当初予定では,「はやぶさ2」の目標天体 (1999 JU3)へのウィンドウは2010年と2011年の2つがありましたが,本日の資料ではウィンドウは2011年のみ,となっていました。詳細は不明ですがおそらく,開発期間の関係でウィンドウが減ってしまったと思われます。
「はやぶさ2」を予定通り打ち上げるためには,これ以上の遅れは許されないというのが現状です。
もちろん,JAXAとしては「十分に検討している」わけですが,やはり予算は次世代地球観測衛星に優先的にまわされているのが実情のようです。
こんな状況を打破するためにも,JAXAや関係省庁へのメールが欠かせないな,と思った次第です。
これはまずいことになってきました.2011 年を逃すと後がありません.いろいろとピンチを凌いできた宇宙研ですがそれは技術上のピンチであって,予算ばかりは中の人がいくら頑張っても限界がありますからね.
管理人はもちろん地球観測衛星の重要性も多少は承知しているつもりですが(京都議定書関連の議論の主導権を握るためにこちらもけっこうシビアなんだそうです.はやぶさスレで教えてもらった),深宇宙探査機は打上げタイミングを逃すと数年待つ必要があるということと,惑星探査は国際競争が極めてシビアな分野であることの 2 点をよく考慮のうえで,優先度をよくよく検討していただきたいところです.
・宇宙開発を応援するには?
Webでは,「勝手に応援ページ」ができて多くの人が応援してくれている。
時期が来たら,また応援をお願いするかもしれない。
今すぐアクションを起こすべきなのかなとも思ったんですが,「時期が来たら」ということはやはり,応援が効果を発揮しやすい時期というものがあるんでしょうかね.それまで待ったほうが良いのかな.どうなんだろう.ともかく「時期が来たら」中の人や松浦さんから何か合図が欲しいところ.
多分,日頃から JAXA 上層部にこつこつファンアピール & 時期が来たら高密度で一気に上層部と関係省庁にメル突,というのが一つの方策なんだろうな.というわけで,はやぶさ2応援に関しては,手前サイトで恐縮ですが以下をご覧下さい.
JAXA 公式サイトで野尻抱介先生インタビュー
おお.JAXA からもお墨付きの野尻先生.
予想通り,はやぶさへの言及もありました.
日本の宇宙活動にはいくつかの柱があり、そのうちの1つであるロケットや実用衛星などはこれまで通り維持していってほしいと思います。しかし、その一方で、国民を魅了するような新しいことをやってほしいという気持ちがあります。最近話題になったプロジェクトに小惑星探査機「はやぶさ」がありますが、「はやぶさ」のように誰もがやったことがないことに挑戦をして新天地を切り開いていくことで、みんなを熱中させてほしいと思います。
これまでのインタビューは宇宙開発の当事者の方々が多かったのですが,たまに今回のような,直接関わってはいないけれど宇宙開発をよく理解しているし愛しているような人物の声があると,当事者からはなかなか出てこないような意見が読めて非常に面白いですね.
かぐや打上げ実況中継,公式版ゲストは岡田先生,CASTY 版ゲストはテラキンさん
CASTY のほうは,いはもとさんとテラキンさんの絶妙な掛け合い漫才がまた見られるかと一瞬wktkしたのですが,いはもとさんは「表」実況中継のほうに岡田先生と出られるようなので無理か…w
進行 岩本 裕之
産学官連携部
技術解説 岡田 達明
固体惑星科学研究系助教授
- no title
- (via 星の情報.jp(2007-09-01))
9月13日(木) 9:00〜12:00(予定)
「かぐや(SELENE)/H-IIAロケット13号機打上げ実況解説配信」が決定!!
出演:若松 武史さん/宇宙航空研究開発機構 教育センター
寺薗 淳也さん/会津大学助教
打上げ予定時刻:平成19年9月13日(木)10時35分47秒(日本標準時)
どちらも見逃せませんね.二重音声でお楽しみくださいwww
ちなみに管理人はこの日出張が入ってしまいました…orz.時間が許せば東京駅から JAXAi に寄れると良いのだけど,無理かも知れないなあ.
JPL 職員が行き過ぎた個人調査に対し NASA などを集団訴訟
JPL の中の人もたいへんですね….守衛から客員教授まであらゆる構成員が個人調査の対象なんだそうです.
個人の収入や資産状況、外国への渡航記録、病歴、果ては性生活まで調査の対象となるのは法的根拠はなく、個人のプライバシーの侵害だと主張し、ロサンジェルス地方裁判所に集団訴訟を起こした。
JPL はあくまで大学の一研究所であって,他人から「NASA の JPL」と言われると「そうではない,Caltech の JPL だ」と文句を言うくらいだそうですが,今回も連邦政府職員でもなんでもないのにこんなことになって,さぞかし理不尽な思いをしてることと思われます.
かぐやのメッセージプレート
はやぶさのターゲットマーカも手がけた印刷会社,渕上ミクロさんの職人技.「文字の縦横は100分の7ミリ」とのこと.拡大写真をみるとすごいクオリティです.
次期固体ロケット,開発第 2 段階へ
着実に進んでますね.森田先生のビジョンの賜物か,逆境を逆手に取って当初予想していたよりも良い方向に向かっている気がします.松尾先生も多少は安心されたでしょうか.もっとも,第 2 段階は第 1 段階より格段に大変だとは思いますが.
普段なかなかお目にかかれない宇宙開発委員会の写真などあって面白いです.
宇宙開発委員会といえば,月探査ワーキンググループというのが気になる.
はやぶさ2アウトリーチペイロードの宇科連アブストラクト
頑張っている彼女たちのためにも,はやぶさ2は早期に実現しなければならないと強く思います.
・はやぶさ2アウトリーチペイロードはあくまでエンターテイメント性を追求する。
・カメラは画像だけでもその目的を達成しやすいが、その他のペイロードに関しては
データ取得後、それを他団体で製作が進められている「宇宙楽器はやぶさ」の一音として
提供し、ペイロードデータを音楽として人々に楽しんでもらう。
・今後の展望としてはより高精度のデータが取得できるように各ペイロード、実験を重ねていき、
同時に「大学生だからこそ伝えられる宇宙の魅力」について常に考えていかなければならない。
Journal of Space Technology and Science ではやぶさ特集
Vol. 22, No. 1(2006)で "Special Issue : HAYABUSA ; Asteroid ITOKAWA Sample Return" とのことです.Wiki へのタレコミありがとうございます.(残念ながらぐぐってもほとんど情報が出てきませんが…orz)
- The Journal of Space Technology and Scence, Vol. 22, No. 1, 2006 Spring.Special Issue : HAYABUSA ; Asteroid ITOKAWA Sample Return
- Hitoshi KUNINAKA, Kazutaka NISHIYAMA, Ikko FUNAKI, Tetsuya YAMADA, Yukio SHIMIZU and Jun'ichiro KAWAGUCHI, Deep Space Flight of Microwave Discharge Ion Engines onboard Hayabusa, pp. 1-10.
- Takashi KOMINATO, Masatoshi MATSUOKA, Masashi UO, Tatsuaki HASHIMOTO, Takashi KUBOTA and Jun'ichiro KAWAGUCHI, HAYABUSA's Optical Hybrid Navigation for Approaching to and Station Keeping around Asteroid ITOKAWA, pp. 11-20.
- Hideo MORITA, Ken'ichi Shirakawa, Masashi UO, Tatsuaki HASHIMOTO, Takashi Kubota and Jun'ichiro KAWAGUCHI, Hayabusa Descent Navigation based on Accurate Landmark Tracking Scheme, pp. 21-31.
- Masashi UO, Ken'ichi SHIRAKAWA, Tatsuaki HASHIMOTO, Takashi KUBOTA and Jun'ichiro KAWAGUCHI, Hayabusa Touching-Down to Itokawa -Autonomous Guidance and Navigation-, pp. 32-41.
- Takeshi Oshima,Shinji Hagino and Jun'ichiro KAWAGUCHI, Asteroid Explorer "HAYABUSA" Contingency Operation, pp. 42-51.
「天使は結果オーライ」
今日のエントリは野尻先生のインタビューもあったことですし,ロケットガール 2 作目を紹介したいと思います.
天使は結果オーライ―ロケットガール〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 野尻抱介,むっちりむうにぃ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/11
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 9回
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以下,ネタバレ含みます.
今回は「茜!」「宇宙研!」「探査機!」これですね(笑).
ゆかり,マツリと対照的な優等生タイプの新キャラ,三浦茜が登場したことで,ロケットガールの物語世界が完成しましたね.自分がヲタなせいか,この手のヲタキャラには弱いです.神運用を自分の頭で考え付いて実行するタイプだし.話のほうも前作でお膳立てが整ったので,もう冒頭から主人公達が当たり前のように軌道上にいます.素晴らしい世界です.
宇宙研が当然のように出てくるのもまた野尻作品らしくて良いですね(まだ「宇宙科学研究所」の時代ですが).以前にもご紹介しましたが,茜と金魚を乗せたヘリが不時着した地点が,ISAS メールマガジンで紹介されています(笑).
そして探査機.本書後半は NASA 冥王星探査機オルフェウスの救出ミッションです.現実に今飛んでいる冥王星探査機 New Horizons は普通に地上からの打上げでしたが,オルフェウスはかつてのマゼランやガリレオ,ユリシーズと同じくスペースシャトルからの投入で,これだけでもかなりwktkです.しかしそのオルフェウスが危機に瀕し,それをとんでもない方法で救出するロケットガールたち.神運用キタコレ.でももし実際に同様のトラブルが起こったとしたら,ヒューストンはこんな無茶な救出ミッションを許可しないでしょうねえ.大事なスペースシャトルと乗組員の無事の確保,また SSA の飛行士の人命と健康を考慮したら,オルフェウスを失うことを選択するのではと思います.
しかしそれだと,このオルフェウスのプロマネはさぞかし悲しむだろうなあ.プロマネと茜の交信シーンにはやはりじーんと来ますね.数十年かけて開発し,そしてさらに何年もの歳月を経て目的地に到着する.それに生涯を捧げる研究者たちが世界中にいる.惑星探査とはこういうものだと読者もあらためて実感させられますが,茜もこの真摯な情熱に打たれたからこそ,こんな無茶なミッションを立案し実行したわけですよね.野尻さんの宇宙探査に対する思いを垣間見ることのできるエピソードです.
それにしても様々な試練が乗り越えられていくたび「すげー.しかしこんなにページが残っている…まだ何かあるのか?これ以上一体何が起こるというのか!?次は何だ!!」とこちらの気持ちを容赦なく加速させながら,どんどん試練の難易度と読者の興奮とが増していって最後に頂点を極めるというこの展開は,毎度ながら実に痛快で見事です.
あと,このシリーズでいつも疑問なのが,主人公達が英語ペラペラなのと宇宙酔いにまったくかからないこと(笑).ゆかりは勉強嫌いのわりにはロシアや NASA の宇宙飛行士たちとネイティブばりの会話を交わしているし,茜も過重力には滅法弱いのに無重力は全然平気.英会話がからきしダメで絶叫マシンの落下部分が大の苦手な管理人にはうらやましすぎる素質です.SSA の適性検査でこのあたりの項目もひっそりとチェックされてるのかな.


