ホテル「ザ・ペニンシュラ」 フカヒレ提供を停止 :日本経済新聞2012.11.21

ペニンシュラ ホテル(The Peninsula Hotels)が、系列店も含め、ホテル、レストランでのフカヒレ提供をやめると発表しましたね。
→ホテルのコメントはこちら

同社の郭敬文・最高経営責任者(CEO)は「我々の決断が、世界の次世代の海洋環境維持に寄与できることを期待している」とのコメントを発表した。

 中国の経済成長に伴う所得増加などを背景に、フカヒレの需要は増加している。動物愛護団体などはサメの保護を理由に、フカヒレを食べる行為そのものを見直すよう求めている。郭CEOは「我々の決断が(ホテルや飲食など)他の接客業界にも同様の行動をとるよう促すきっかけになることを期待している」としている。 - 2011.11.21 日経新聞記事より

フカヒレ漁ついては、以前から海洋環境維持や動物愛護の理由から、反対運動が繰り広げられ、あちこちで話題になっていたので、ご存知の方も多いと思います。
曰く、乱獲によってサメが絶滅しまう。船上で生きたままサメのヒレだけを切り取って、あとは海に捨てるという方法が残酷である。一方、こういった指摘に反対する意見としては「その国に育まれてきた食文化である(他国の者がとやかく言うべきではない)」というのがお決まり。
倫理問題として熱くなりすぎるのも、「独自の食文化」を主張し過ぎるのも、わたし個人としてはなんだか違和感がある。暮らしの中で、わたしたちが他の命をいただいて生きていることは事実だし、いまどきその土地の食べものだけで日々の食事を賄う人は居ないでしょう(オーストラリアの牛肉、チリで養殖された鮭、メキシコから空輸されたアボカドetc...)。
食の愉しみが大衆化、グローバル化し、ファミリー向けのフカヒレチェーン店とか、回転寿し屋で大トロとか、以前は高級・珍味とされていた食材がそうではなくなっている。このまま、わたしたちの欲望がどこへ向かうかを考えれば、ひとりひとりが取る行動はきっと変わり、そして世界も変化する。
今回のペニンシュラの決断は、その表れではないでしょうか。なにより、欧米系ではなく、中国系のホテルチェーンがこれをしたことは、とても大きな意味を持つよね。
世界人口も70億を越えたわけだし、もうわたしたちは変わらなくちゃならない。
これからは、ローマ時代を懐かしむように「キャビア、フカヒレ、フォアグラ...とかいう食文化があったらしいねー」と歴史を振り返り、その味を想像して楽しむのがスマートな21世紀人かも。

日経新聞記事(2011.11.21)


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