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林田力 二子玉川ライズ反対運動

2018-08-14

ランクA病院の愉悦

『ランクA病院の愉悦』は『ガンコロリン』を改題した文庫本である。「ランクA病院の愉悦」は医療格差が進む近未来の日本を描く。病院はランクA、ランクB、ランクCと料金によって分けられる。ランクC病院は人工知能による診断しかしない。この人工知能も近年話題の機械学習のレベルではなく、if文で実装する単純なレベルである。
低所得者は、このランクC病院しか事実上受診できない。格差社会のディストピアを描く作品想像したが、良い意味で裏切られた。価格品質が比例するというような浅ましい拝金主義への批判になっていた。ただ価格が高いだけのサービスには意味がない。
この作品では病院のランク制はTPPのようなグローバリゼーションによって起きたとされるが、その問題競争が起きていないことにある。

後書きで以下のように書いている。「いいものをいじり回してダメにしてしまうのは官僚の習い性だ。官僚の意識には、病で苦しむ患者を救おうという、一番大切な気持ちがすっぽり欠けているように思えてならない」(237頁)

デュー・ブレーカー

エドヴィージ・ダンティカ著、山本伸訳『デュー・ブレーカー』(五月書房新社、2018年)はハイチ系アメリカ人によるオムニバス的な小説である。独裁政権がもたらした傷を描く。タイトルのデュー・ブレーカーは秘密警察の拷問執行人である。独裁政権下のハイチではデュー・ブレーカーが任意市民逮捕連行し、拷問を加えることが横行していた。
国家権力の横暴から人身の自由保障することがマグナ・カルタ以来の人権思想の肝であると再確認した。法の適正手続き意味する言葉にデュー・プロセスがある。デュー・ブレーカーと似ているが、落差がある。
警察の手口はどこも似ている。「最初不愉快にさせておいて、あとで優しくする。そうすれば男は感謝され、いい人だと思ってもらえる」(235頁)
被害者の苦しみ、怒り、絶望は大きい。そこは大いに共感できる。一方で本書の特徴は拷問執行者側の心の傷も描き、被害者側の加害者への思いも憎しみや恨みだけではないことである。特に後者は憎まれて当然、恨まれて当然であり、その不思議さは読者を混乱・困惑させる。悪いのは独裁者の大統領と単純化できる話ではない。拷問執行人は私的利益を追及し、腐敗していた。人は、あまりに絶望的な状況に陥ると怒りや憎しみの感情さえ持てなくなってしまうのかもしれない。
拷問執行人が過去を引きずることは引きずらないことよりは良いが、自分が傷つけた被害者を思ってのことというよりも、自分のトラウマに苦しんでいるに過ぎない。被害者が浮かばれる訳ではない。

2018-08-13

桶川ストーカー殺人事件・遺言

清水潔『桶川ストーカー殺人事件・遺言』は桶川ストーカー殺人事件を取り上げた犯罪ノンフィクションである。一人の週刊誌記者が、殺人犯を捜し当て、警察の腐敗を暴く。
桶川ストーカー殺人事件は1999年JR高崎線桶川駅で発生した女子大生刺殺事件である。警察の杜撰対応や嘘によって被害者家族が心痛に苦しむことになる。真実を歪めて調書を作成する実態も指摘する。市民にとって「悪魔は遠くまで探しに行く必要がなかったということ。それは想像のものではなく、現実存在した」(『デュー・ブレーカー』200頁)
埼玉県警察の不祥事であり、全国的に警察批判が起きた事件である。そのために本書は埼玉県さいたま市浦和区の須原屋でポップ広告でプッシュされていた。埼玉県警の不祥事であり、埼玉県民ならば読むべしと。読んでいて埼玉県警の傲慢さや責任逃れ体質に腹が立って仕方がない書籍である。精神衛生上良くないが、埼玉県民は知る必要がある。
この事件はストーカー規制法成立の端緒となったことで知られている。しかし、典型的個人によるストーカー犯罪とは様相が異なる。集団的嫌がらせ、攻撃である。後に社会問題になる半グレ集団の犯罪に重なる。

須原屋の隣の、いきなりステーキ浦和店では行列ができていました。

2018-08-12

鉄腕バーディー

ゆうきまさみ『鉄腕バーディー』(BIRDY THE MIGHTY)はSF漫画である。OVAにもなった。主人公は巻き込まれ型である。宇宙人が登場するが、動物園仮説の世界観になっている。
第3巻は、日常に非日常が侵食してくる。この巻では悪徳刑事の嫌らしさ、陰湿さが描かれる。悪徳刑事は見込み捜査で犯人扱いし、市民生活破壊する。著者は『機動警察パトレイバー』で警察の仕事は弱い者いじめと少年に評させただけのことはある。
悪徳刑事の強引さは警察組織の認めたものではなく、内部から批判されているが、押し止めることはできていない。現実の警察不祥事内部統制が働いていないことと重なる。既に指摘されているように警察を取り締まる機関必要である。
この悪徳刑事は因果応報の目に遭う。悪徳刑事の人格は因果応報の目に遭うが、もっと嫌らしい存在になる。そのために主人公らの苦しみは続きそうである。

2018-08-09

中野相続裁判さいたま地裁

遺言書の筆跡はガタガタしている。封筒の筆跡はガタガタしていない。

資格を取らせなかった。情景が思い浮かぶように書く。資格を出す。免状を証拠として出す。

茶道教室営業を引き継いだことが大きな利益である
電話料金を支払わせていた。

茶室と水屋は変わっていない。ホールが広くなっただけである。
茶室はいじっていない。いじっていないものに、夢がかなったはない。
稽古場という表現は使っていない。
夢は茶室が一階にあり、露地から入れること。
階段は緩やかになっていない。
一階を主に改装した。システムキッチンに250万円をかけた。領収書を出す。

2018-08-08

琉球のユウナ

響ワタル『琉球のユウナ』(白泉社)は島津侵攻以前の琉球王国黄金時代を舞台とした歴史ファンタジー漫画である。1482年、琉球・第二尚氏王朝の時代である。
主人公は赤い髪の少女で、不思議な力を持っている。ガール・ミーツ・ボーイの物語である。普通とは異なる赤い髪の少女と王という組み合わせは、『赤髪の白雪姫』と重なる。
島津侵攻以前の琉球王国という点が興味深い。琉球王国を舞台とした作品の多くは『琉球の風』のように島津侵攻や『テンペスト』のような琉球処分の時代が多い。琉球の苦しみに寄り添った作品でも、日本なしでは話が進まないものである。それは日本への従属、日本の一部としての沖縄という与えてしまう。日本の支配のなかった琉球王国黄金時代を描く作品が増えることは琉球のアイデンティティー形成資するだろう。
一方で本書は今日知られる琉球文化の多くは島津侵攻後の近世琉球で成立したものと指摘する。それ以前の琉球文化はあまり知られておらず、作者も描く上で苦労したという。島津侵攻前こそ琉球王国が輝いていた時代と考えるが、琉球のアイデンティティーについて考えさせられる。